佐藤健太郎(サイエンスライター)のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とんこつラーメンとかにあるこなおとしみたいな一冊。「好きな人はとことん好き」の極致。実にいい。
鋭意作成中の「全国高校データベース」と重なる内容もあり実に楽しく拝読しました。とっかかりはなんでも良くて、好きなことをとことん突き詰めていくと、帰納的に何か本質が見えてくることがある。そしてそれは欲求のままにやってることなので、何かを導き出せるかもとかいう期待なんて何もしてない。故にモチベーションに波がなく、寝食を忘れて没頭できる。書いてる本人は楽しいとあとがきで触れる作者の気持ち分かるなぁ。生業にしてる以上は多少打算が入るんだろうけど、こういうのを好きなことを仕事にするって言うんだろうな。ただ、とっても好きなものを少しでも嫌いになる可能性がある時点で、趣味にとどめておきたいなと個人的には思う。 -
Posted by ブクログ
科学者による、歴史的に見て優れた素材について説明した本。金や陶磁器、鉄、紙、ゴムなど社会に大きな影響を与えた素材を簡潔に説明している。身近にある物の発明経緯や歴史的な価値を知ることができ、たいへん有意義な内容だった。
「考古学というものはどこの国であれ、まず壺とその破片を探すところから始まる。土器、陶器、磁器などの発達度合いは、その文明の成熟度を測るよきバロメーターだ」p33
「粘土を低温で焼いて作ったものは、いわゆる「素焼き」と呼ばれ、縄文式土器や弥生式土器は全てこれに当たる」p37
「(地続きから島になったタスマニア)(人の行き来がなくなると文明は衰退する)結局タスマニアからは、ブーメランや骨製の釣り針、魚とりの罠や衣服を作る技術が、わずか数千年で失われてしまった。外部との交流を絶たれて自給自足の状態に追い込まれると、進歩が止まるどころか衰退さえ起きてしまう」p50
「スズで鋼板をメッキしたブリキ、亜鉛でメッキしたトタン、ダラス質を焼き付けた琺瑯(ほうろう)」p73
「(製紙の開始年)中国105年、スペイン1056年、イタリア1235年、ドイツ1391年、イギリス1494年、オランダ1586年、北米1690年。以外にもその拡大速度はかなり遅い」p88
「東洋では、書道や水墨画など、紙を画材とする芸術が発展した。これに対し、西洋では長らく彫刻などが芸術分野において重要な地位を占め、絵画もフレスコ画や油絵といったジャンルが主流となってきた」p88
「8世紀から13世紀にかけて、イスラム圏の科学技術は世界の最高水準にあったが、ルネサンス以降のヨーロッパに逆転を許し、大きく水を開けられた。これは、印刷技術の導入に抵抗したため、知識の普及が阻害されたことが大きな原因と指摘されている」p91
「(ワシントンモニュメントの頂点をアルミキャップで覆った)このアルミニウム1オンス分だけで、この塔を建てた全労働者の1日分の給料をまかなえたという。ほんの数百年ほど前のアルミニウムは、金やプラチナなど足元にも及ばぬほどの高価な「貴金属」であったのだ」p165
「破壊的なイノベーションとは、その種を発見することよりも、それを形あるものとして世に送り出すことのほうが、難しい」p180
「(破壊的イノベーション)(トキワ荘など)才能の異常な結集と爆発が起きているケースには、いくつかの共通点がありそうだ。新しく切り開かれた分野であること、十分な資金が集まっていること、リスクのあるチャレンジができる状況であること、自由闊達に議論ができる環境であることなどだ」p210