あらすじ
筆者はかつて、医薬品企業の研究所で新薬の研究に携わり、医薬の可能性と危険性について考える日々を送ってきた。もしこの薬があの時代にあったら、あの薬があの人物を救っていなければ、と考えるのは、歴史の愛好者として必然であった。もしコロンブスがビタミンCを知っていたなら、もし特殊アオカビの胞子が、ロンドンの病院のあるシャーレに飛び込んでいなかったら、間違いなく、現在の世界地図は大きく変わっていたはずだ。
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Posted by ブクログ
面白い。わかりやすい。
私が高校の時にこの本に出会ったら薬学の道に進んでたかもなあと思うくらい刺激を受けた。
話のストーリーが、
導入が歴史上の有名な話から入り、
実はそこに起きてた病気、逸話があり、
その病気がなぜ起きるのか?
誰が薬を作ったのか?
病気はどういう構造で、なぜその薬が効くのか?
結果どうなったのか?
と、単純明快に分かりやすく解説してくれており高校化学で止まってる私でもすんなり頭に入った。
Posted by ブクログ
わかりやすくて面白かった!
・ヨーロッパの宮廷でかつらが流行ったのは梅毒による脱毛を隠すため
・フレミングが長旅に出るために放置した培養シャーレに、珍しい種類のアオカビが飛び込んで繁殖した。ペニシリンの発見はいくつもの奇跡がかさなったおかげ。
・アスピリンの発見は人々を痛みから救う一方で、製薬会社同士の泥沼の特許闘争につながった。
・エイズの治療薬を発見したのは日本の満屋裕明博。イギリスの製薬会社バローズ・ウェルカム社は満屋博士の発見を断りもなく特許を取得して治療薬に高値をつけた。怒った満屋博士はよりよい新薬を適切な価格で世に送り出した。
ノーベル賞受賞レベルの功績だと思うが、ヨーロッパ学会はバローズ社の悪行が世に知れ渡るのを恐れているのだろうか。
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文句なく面白かった。内容はタイトルどおり、世界の歴史に影響を与えるほどのインパクトのある薬物についてである。「世界史」と「薬」という微妙に遠い二つのものの間をつなぐ物語を紡ぐには、それぞれについての正確で豊富な知識が必要であり、読む人にこじつけと誤解させないための明瞭な語り口も駆使しなければならない。筆者にはこれらが備わっており、平易な文章で次々と繰り出される話題に、読んでいて贅沢な気持ちになってくるほどである。
新書は本当に玉石混交で、手持ちのトピックが少ないために読んでいて苦痛なほど内容を薄めて回り道させられることが(残念なことに)よくあるのだが、本書はその真逆である。全11章のうち最初の1章を除き各章で一つの薬について紹介していくのだが、それぞれが本当にエピソード満載なのである。あ、この話はもっと引き伸ばせそうなのにこんなに簡潔に切り上げて次の話に行っちゃうんだ、くうう勿体ないけど贅沢!みたいなこともよくある。有名な薬も多くとりあげられているので、聞いたことのあるような話もあちこちで出てくるが、そのたびに「ああ、あの話ってそういうことだったのか!」と目から鱗のようなおまけがついていたりもする。脳内に散らばっていた知識が結びついた瞬間であり、気持ち良いことこの上ない。
科学的な読み物が好きな人にはもちろんだが、化学的な要素はときどき出てくる分子模型の絵くらいなので、ガチ文系という歴史好きな方にも普通に読み物として楽しめるだろう。そして何より、薬学や化学に興味があるかも?と思い始めた中学生高校生にもやさしく読める新書としてうってつけである。物質科学は生活ととても密接に結びついているものなのだということも再認識できる良書。
Posted by ブクログ
歴史的に有名な薬の誕生秘話などを含めた物語が面白かった。
製薬研究者の卵として、薬を開発した人々のお話はこれから研究を勧める上での活力にもなった。特に満屋裕明博士が4つもエイズ治療薬を開発したお話は圧巻された。
Posted by ブクログ
これは、世紀の大発見と言われる様々な薬の発見や進歩を素人にも出来るだけ分かり易く世界史と併せて紹介した一冊です。ビタミンCから始まり、キニーネ、モルヒネ、麻酔薬、消毒薬、サルバルサン、サルファ剤、ペニシリン等々・・人類の歴史を変えた素晴らしい薬ばかりです。医療の未来を考える良いきっかけになる本だと思います。
Posted by ブクログ
ここ数年で、一番読み応えがった。
人類の最大の敵の1つである細菌に対して、
作られた人類の武器である薬。
それらのなかでも、歴史を変えたであろうという
薬剤をピックアップした本書。
漫画ワンピースでも紹介された壊血病へのビタミンC
人類初の抗菌薬、サルファ剤
奇跡のセレンディピティが起こした神の恩恵とも
いえるペニシリン
20世紀に出現した最悪のウイルスであるエイズの
治療薬を生み出した日本人、満谷裕明さん
人類文化史初期の治療では、動物の糞や血を薬にする事で
汚れによる悪魔を追い出すという発想の汚物薬から、
消毒という概念が理解できなかった中世医学。
今では、信じられないような治療を駆逐し、正しい薬効を
追求していった研究者達。
『解らない事の道筋を探すその過程を科学という』
この言葉が深く感じられる。
そして、特に印象に残ったのが、ペニシリン以降に多くの発見をされた、より優秀な抗生物質の数々。
一度、限界を超えることができたら、
雪崩のように進化していく『1マイル4分の壁』
この言葉は人類の進化にとって、とても本質をついた
言葉だと思われる。
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著者の本領発揮の作品。自分のフィールドの製薬については、ちらりと裏側をのぞかせるだけで、難しい話はほとんど出てこない。薬品の周辺のエピソードもしっかり載っていて読んで面白くためになる。
理系というか化学畑に進学を考えている中高生にはぜひ読んでおいてもらいたい作品。
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感染症の治療薬を中心として、代表的な医薬品の歴史が概説されている。医薬品に詳しくない人でも理解できるように語られている。雑学的な知識も得ることができたので、とても面白かった。
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おもしろかったですね〜!分かりやすくて読みやすいです。うんちくがふんだんで好みでした。
人類はずっと昔から病と共存していて、今の私たちはそれらの蓄積の上に、生きていることがよく実感できます。
直近ではコロナウイルスの流行がありましたが、あれから数年、気づけば以前の生活にすっかり戻っています。
今更ですが、それは本当にすごいことに感じました。世界中で蔓延しているということは、そこに投資することにまず正当性があったのだと思いますが、きっと個人単位ではこのウイルスをどうにかしようと思って、尽力してくれてたのだと思います。
コロナウイルスのピークの状況が具体的解決策となく続いていたとしたら、それは恐ろしいです。
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古代に遡って、医薬の歴史を学ぶことができた。いかに今が恵まれた状態か、改めて思い知らされた(全ゲノム解析が進んだ未来から見たら、今も遅れているのかもしれないが)
Posted by ブクログ
ビタミンC、モルヒネ、キニーネ、麻酔薬、消毒薬、サルバンサン、サルファ剤、ペニシリン、アスピリンなどの薬について、発見までの歴史、与えた影響、作用原理をわかりやすく説明してくれる一冊。読み物としておもしろい。
人類の歴史を変えたのは間違いない。
Posted by ブクログ
病気になり薬のありがたさを心底感じたことをきっかけに手を取りました。誰がどんなことをきっかけに薬を制作したか、発見したかを複数事例とともに紹介。病気や発見者などの知名度から引きがあるエピソード多数。今ではあり得ないと感じる間違った治療法なども、少し前の時代までは当たり前のように使用していたことからも日々の薬品の進歩を感じる。
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医薬品メーカーで開発研究者であった著者による、歴史的に重要であった医薬品の紹介です。鎮痛剤や抗生物質、麻酔剤などの歴史やその社会的ニーズ、開発の過程などが判りやすく詳述されています。現代における医薬品は莫大なお金が動くので、それら利権等における人間模様なども記述され、薬という側面からの歴史が理解できます。また薬効機序の解説もありますので、その薬剤の一通りがりかいできます。可能な限り使用しないのが望ましいと考えますが、いざ使用するときに前向きに理解できる良書と思いました。
Posted by ブクログ
人類の歴史とともに語られる薬の誕生秘話が全10話。歴史好きな方、医療従事者の双方におすすめできる。
医薬品というものの存在が、いかに大きく生命の助けになってきたか。その背景にはどんな苦悩があったのか。そこまでしっかりと解説されている。
ストーリー性を帯びたことで、暗記に頼らず薬の歴史を学ぶことができる良書。
なぜこの薬が生まれたのか、という疑問が湧いて悶えていた人にはぜひ読んでみて欲しい。まるですっきりと雲が晴れるような心地よさを感じられると思う。
Posted by ブクログ
国内でエイズ関連の患者・死者が出たときに個人情報やガセネタが報道されていた、当時はプライバシー保護の概念が薄かった、というような記載があったけれど、21世紀のコロナ禍でも大して変わっておらずとても残念
端的にわかりやすくまとまっていたので読みやすかった
分子構造はイラストじゃなくて構造式の方がよかったなーと個人的には思う
Posted by ブクログ
人類の歴史を変えた医薬品を時代背景を踏まえて解説した本。
内容は主に医薬品の歴史の紹介であり、化学的な部分もわかりやすく説明されているため、誰にでも読みやすい本であると思います。
ウイルスは標的となるタンパク質が少なく、変異が早いため、薬を作りにくいことから、本書では「人類の最後の敵」と紹介されており、現在の状況から痛感させられました。
人類の歴史は感染症との戦いであるというのを考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
今の書き方だとこんななんだなあ。この内容の本を50年後に書いたらどんなになるんだろう。50年前だとどんなだろう。などと思いながら読んだ。タイトル通りだし。アニリンの荒っぽさを思い出しながら。
Posted by ブクログ
製薬会社研究員による、歴史を変えた薬について紹介した本。人類の歴史に大きな影響を与えた薬をいくつか取り上げて説明している。興味深い内容であった。
「ほんの100年前には、日本人の平均寿命は現在の約半分に過ぎなかった。1921〜1925年の平均寿命は、男性42.06歳、女性43.20歳。新生児の6〜7人に1人は、3歳までに亡くなるという時代であった」p14
「天才の着想というものは、その後一般に普及して当たり前になってしまい、後世から見るとその凄さがわからなくなることが少なくない」p32
「キニーネを含む健康飲料も開発された。キナノキなど薬草を抽出した液に、炭酸を加えて飲みやすくしたトニックウォーターがそれだ」p50
「モルヒネは、ケシの未熟な果実から得られる。ケシの果実を未熟なうちに傷をつけると、白い乳液が滴り落ちてくる。これを集めて乾燥させたのがアヘンだ。モルヒネにアセチル基を結合させたものがヘロイン」p61,72
「16世紀に使われた医薬のうち、現代の目で見て真に有効といえるものは、アヘン以外にほとんど見当たらない」p63
「医師は免許を取ったら、内科、耳鼻科、皮膚科など何の科を名乗ってもよいが、麻酔科だけは厚生労働省の資格審査に別途合格する必要がある」p84
「アメリカ人は驚くほどのアスピリン好きで、年間1万6000トン、世界で生産される1/3を消費している。全国民が年間100錠ほどのアスピリンを飲んでいる計算になるから、にわかには信じがたい数字だ」p149
「薬というものは同じ成分であっても、細かな技術によって、効き方に違いが出る。これは現在のジェネリック医薬などでも、同じ問題となる」p155
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紹介されている薬の発見の歴史は、
大抵は知識として持っているものが多かったが、
どの薬もその時代の人物を中心に、
歴史を絡めてざっくりと紹介してあって読みやすい。
「もし」という部分はそれほど深くはないので、
その期待には応えていないけれども、
十分に楽しめました。
Posted by ブクログ
ビタミン、モルヒネ、鎮痛剤、ペニシリン・・など現在日常生活や医療現場で使われている薬がどのように発見されたかをその歴史とともに解説。
現在では当たり前のように使われている薬がどんな苦労を伴って開発されたのか、ということを知るのには非常にいい。
普段薬のことなど意識もせずに暮らしているが、感染症など、先進国でその脅威が克服されたのはひとえに薬の影響が大きいだろう。
薬局で買えるような薬が当時の人々にとっては国家全体で取り組むような規模のプロジェクトだった。そんなことを教えてくれる。
また長年、害にしかならない薬をその害毒を認識せずに使い続けていたというところも興味深い。
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この本が発行されてから約10年の間に新しい感染症が現れ、対抗策としてmRNAワクチンという新しい手段や治療薬が約1-2年というスピード感で開発された
私たちが思っている以上に技術は日々発達していることを実感した
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薬品開発の歴史は、医学の歴史であることはもちろんだが、化学の歴史でもあるんだなあ。
マラリアの薬キニーネも、鎮痛剤アスピリンも、もとは自然界に存在する(キニーネはキナノキ、アスピリンはヤナギの樹皮に含まれる)ものだが、それを化学的に合成できて初めて、大量に生産できるようになるのだ。
この本は最初が滅法面白くて、ちゃんとした薬の歴史は浅く、ハーブ(薬草)なんかかなりマシな方で、(水銀を薬として使ったり、瀉血などの無意味どころか害になる治療をしたりというのは知っていたが)動物の血や糞尿、腐った肉なんてものを薬として使っていたと書いてあり、ゾッとする。病気は体に悪魔が入ることだから、追い出すために、悪魔が嫌がる汚物を体にいれたんだと。
一番驚いたのは、「統計」という概念がなかったので、効いたかどうかをきちんと把握していなかったってとこ。
壊血病とビタミンC、モルヒネの鎮痛効果と依存性、麻酔薬、消毒など今では一般人でも当たり前に知っていることも昔は知られておらず、古人が身をもって実験台になってくれてようやくわかったんだなあ、と感慨深い。
ビタミンCを過剰に評価した天才化学者ポーリングのエピソードは、ノーベル物理学賞を受賞しながら心霊研究に没頭したジョセフソン、錬金術に25年も費やしたニュートンらのエピソードと合わせて「ノーベル賞科学者だから、教授や博士だからといって、無条件にその言葉をありがたがるべきではないことは、我々も肝に銘じておくべきだろう」(P40)って、ホントそうね。よく広告に○○博士推奨みたいなのあるけど、ニュートンクラスの超天才でさえおかしなことにこだわりだして変なことを言い出すんだから、その辺の先生なんかは推して知るべし。(もちろん金目もあり。明晰な頭脳持ち主コナン・ドイルが晩年妖精や降霊術にハマったことも思い出す。)
エイズ治療薬を熊本大学の満家裕明博士が4つも開発したことなんか、日本人なのに全く知らなかった。もっと知られていいと思う。
薬の歴史は化学の歴史でもあるが、人間の愚かさと賢さと努力の歴史でもあった。
Posted by ブクログ
有名な薬が誕生した経緯を時代背景とともに紹介した本。「歴史のifを筆者と一緒に愉しんでいただきたい」と書かれているが、とくに「ifの物語り」は書かれていない。筆者が正確な記述に徹していることが感じられる点が大変気に入った。感染治療薬と鎮痛剤にフォーカスされている。
心に残ったフレーズ:
1.汚物薬の時代。病気は悪魔が体内に侵入したためにおこると考えらえていたため、悪魔が嫌う悪臭を放つ汚物が有効と考えられていた。
2.不老不死の薬。移ろいゆく動植物でなく、永遠に変わらない姿を保つ鉱物の力を取り入れる、と考えられていた。
3.薬効の判定の難しさ。医薬の効能の有無の議論は統計学が進展してからのこと。
4.大航海時代の壊血病とビタミンC。
5.マラリアとキニーネ。
6.人類がもっとも古くから使用してきた薬は鎮痛剤、アヘン、10%のモルヒネ、アセチル基付加でヘロイン。
7.麻酔薬の作用機序はいまだ不明。
8.感染症治療薬のサルファ剤。
9.抗生物質ペニシリンの発見、アレクサンダー・フレミング。
10.鎮痛剤・アスピリン。ヤナギの木からサリシンが分離、鎮痛剤として使われるが、激しい胃痛を引き起こした。アセチル基を付加したアセチルサリチル酸、アスピリンが誕生。
Posted by ブクログ
普段から多々お世話になっている様々な薬。今の日本で生きていると、そのありがたみを感じにくかったりもしますが、この本を読むと薬のありがたみがよく分かります。
例えば麻酔。考えてみれば当たり前ですが、麻酔のない時代は、患者を押さえつけて外科手術やってたんですよね。それだけで麻酔薬開発に関わった、すべての先人に足を向けて眠れません…
きっと麻酔がなければ、僕は親知らずを抜くことはできなかったでしょうから。
そのほかにも、ビタミンCや消毒薬、アスピリンなど、今ではおなじみの薬の歴史や、開発秘話、科学的な考察が書かれています。
内容はいずれもあっさりしているので、読み応えは少し物足りないところもあります。
しかし化学式などもわかりやすく解説してくれているのは、文系にはありがたい限りです。
一番印象的だったのは、エイズ治療薬の話かな。日本人が開発したというのも初めて知ったのですが、そのエピソードも本当によくできているというか、素晴らしいというか。
映画・ドラマ関係者は、今すぐこの話を映像化できるように掛け合ってもいいんじゃないか、と思いました。