あらすじ
筆者はかつて、医薬品企業の研究所で新薬の研究に携わり、医薬の可能性と危険性について考える日々を送ってきた。もしこの薬があの時代にあったら、あの薬があの人物を救っていなければ、と考えるのは、歴史の愛好者として必然であった。もしコロンブスがビタミンCを知っていたなら、もし特殊アオカビの胞子が、ロンドンの病院のあるシャーレに飛び込んでいなかったら、間違いなく、現在の世界地図は大きく変わっていたはずだ。
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Posted by ブクログ
著者の本領発揮の作品。自分のフィールドの製薬については、ちらりと裏側をのぞかせるだけで、難しい話はほとんど出てこない。薬品の周辺のエピソードもしっかり載っていて読んで面白くためになる。
理系というか化学畑に進学を考えている中高生にはぜひ読んでおいてもらいたい作品。
Posted by ブクログ
今の書き方だとこんななんだなあ。この内容の本を50年後に書いたらどんなになるんだろう。50年前だとどんなだろう。などと思いながら読んだ。タイトル通りだし。アニリンの荒っぽさを思い出しながら。
Posted by ブクログ
ビタミン、モルヒネ、鎮痛剤、ペニシリン・・など現在日常生活や医療現場で使われている薬がどのように発見されたかをその歴史とともに解説。
現在では当たり前のように使われている薬がどんな苦労を伴って開発されたのか、ということを知るのには非常にいい。
普段薬のことなど意識もせずに暮らしているが、感染症など、先進国でその脅威が克服されたのはひとえに薬の影響が大きいだろう。
薬局で買えるような薬が当時の人々にとっては国家全体で取り組むような規模のプロジェクトだった。そんなことを教えてくれる。
また長年、害にしかならない薬をその害毒を認識せずに使い続けていたというところも興味深い。
Posted by ブクログ
薬剤師ではありますが、あまり薬の歴史については勉強したことがなく、知識もありません。
普段何気なく調剤している薬には、それぞれに開発者の思いがあると思います。また、そこには悩んでいる患者さんがいます。
本書では、限られた薬剤についてですが、そういったことが丁寧に書いてありました。
大変勉強になりましたし、歴史を学ぶことで薬に対する有難味が出たというか、やさしくなれたというか。業務に対する姿勢が少し変わりそうです。
Posted by ブクログ
有名な薬が誕生した経緯を時代背景とともに紹介した本。「歴史のifを筆者と一緒に愉しんでいただきたい」と書かれているが、とくに「ifの物語り」は書かれていない。筆者が正確な記述に徹していることが感じられる点が大変気に入った。感染治療薬と鎮痛剤にフォーカスされている。
心に残ったフレーズ:
1.汚物薬の時代。病気は悪魔が体内に侵入したためにおこると考えらえていたため、悪魔が嫌う悪臭を放つ汚物が有効と考えられていた。
2.不老不死の薬。移ろいゆく動植物でなく、永遠に変わらない姿を保つ鉱物の力を取り入れる、と考えられていた。
3.薬効の判定の難しさ。医薬の効能の有無の議論は統計学が進展してからのこと。
4.大航海時代の壊血病とビタミンC。
5.マラリアとキニーネ。
6.人類がもっとも古くから使用してきた薬は鎮痛剤、アヘン、10%のモルヒネ、アセチル基付加でヘロイン。
7.麻酔薬の作用機序はいまだ不明。
8.感染症治療薬のサルファ剤。
9.抗生物質ペニシリンの発見、アレクサンダー・フレミング。
10.鎮痛剤・アスピリン。ヤナギの木からサリシンが分離、鎮痛剤として使われるが、激しい胃痛を引き起こした。アセチル基を付加したアセチルサリチル酸、アスピリンが誕生。