高野和明のレビュー一覧
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モキュメンタリーホラーとも言えるし、不思議な社会はミステリーとも言える。
巻末の解説にもあったけど、宮部みゆきの火車を彷彿とさせた。大変に文章が巧く、またドキドキさせられる展開で一気読みできた。
この本の直前に読んだスティーヴン・キングのチャーリーの数奇な人生と類似するところもある。
個人的には「死」というもの対する恐怖は絶大である。自らの意識がなくなるということはどういうことなのか想像がつかない。
死に対する恐怖への特効薬となるわけではないが、チャーリーの数奇な人生の「人々にはそれぞれ頭の中に壮大な世界があり、そこにこれまで関係した人たちが存在し、生活している」という世界観はある種救いとなり得ると思う。
本作の主人公も死が無であることを恐れている。これは自分の生きた痕跡を誰も覚えていないということも指しているだろう。だからこそ主人公は妻(や彼女)が生きた痕跡を残す為、死ぬという選択をしなかった。主人公が彼女(幽霊)を理解し、救ったこと。その事が主人公が奥さんの死と向き合えるきっかけとなった事が非常に感動的。
ところでこれは「踏切の幽霊」という明らかなホラー小説の感想のはずだ。だってタイトルに幽霊って書いてあるのだもの!怖いに決まってる!何故ここが怖かった等の恐怖ポイントを書かないのか!
確かにホラー的演出は数多くあったものの、この本の本質はホラーでない。あくまで死生観を描いた小説かと思うので、是非ホラーが苦手な人も読んで欲しい!
敵意がこちらに向いていない霊が相手だとなんとまあ気楽なことか!彼女の霊が出てきても「やっぱりこの場面居ますよね!流石です。分かってるね!」って感じ。 -
Posted by ブクログ
江戸川乱歩賞受賞作品「13階段」
ミステリー好きの友人がオススメしてくれたこの作品は桁違いのスリル感でした。
死刑という日本で置かれている法律の在り方についてやその他の罪を犯した者たちのその後をリアルに風刺したこの作品。
僕は「贖罪」とはなんなのかということを真剣に考えました。
罪滅ぼし、償い、赦しを得ること。
罪にはもちろん被害者と加害者の構図があるけど、
必ずしも加害者が贖罪のためだけに後世を送り続け、
いつ赦しを得られるかもわからないジレンマに陥りまた再犯を繰り返す。
死刑には必ず処刑する者もいて、その人らの感情もリアルに感じられて読むページが止まらなかったです。
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本当にすごい景色を見させてもらった傑作でした。エンタメ小説としてのクオリティもさる事ながら、色々と考えさせられる重ためのテーマも扱う社会派の側面もある凄まじい小説です。
ジェノサイドというタイトルの通り、アフリカ大陸の内乱や、米国大統領の愚行だったりと、人間の醜い側面に焦点を当てた場面が頻発します。特に子ども兵の登場シーンは本当に心が痛みますね。
超知能との相対シーンも、人間の醜い側面が見える中で際立ったメッセージが包含されています。
本書を読むと、トランプ大統領のもたらす無秩序、超知能AIが人類を滅ぼすかもみたいな現実世界の話が想起されますが、本書の新装版がこのタイミングで出たのは偶然でしょうか、または狙いだったのでしょうか。 -
Posted by ブクログ
踏切に現れるという“幽霊”の噂を追う中で、過去の出来事と人間関係が複雑に絡み合っていく。やがてその背後にある、思いもよらない真実が明らかになっていく。
ひとりの幽霊の想いを紐解いていくミステリーでありながら、描かれているのは「記憶」と「喪失」とどう向き合うかという物語でもある。丁寧な心理描写と地道な取材によって、断片だった事実が少しずつ繋がっていく過程に強く引き込まれる。
事故や報道によって形づくられる“事実”と、当事者の内面にある“真実”のズレが印象的で、何が本当に残され、何が忘れ去られていくのかを考えさせられる。幽霊という存在を感情ではなく“事実”として追っていく構造が、この作品に独特のリアリティと緊張感を与えている。真実を明らかにしていく展開には、警察小説にも通じる面白さがあった。
松田の視点を通して描かれるのは、失ったものをただ受け入れるのではなく、「意味を見出そうとする営み」だったように感じた。失われたものと向き合うことの重さと、その意味を静かに問いかけてくる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった〜〜!
13階段から引き続き、高野和明の直木賞候補作にもなったこちら。
ホラーかあ、と思いながら読み出したけど、ホラーだけどホラーじゃない。泥臭く聞き込みから幽霊の正体に迫っていく社会派ミステリーでした。何言ってるかわからんと思うけど。ホラーミステリーとも違うんだよな…
謎解きの積み重ねには説得力があるし、怪異は怪異として本当に怖い。読みながら驚きの連続で、最高に満足の読書体験でした。何回驚かされたことか。
あの女の名前が最後まで明かされなかったことは、きっとそういうことなんだろう。悲しい。
彼女が踏切にいる理由、ぜひ読み届けてほしい。
あまりに悲しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれはとんでもなく良作。
絶対読んだほうがいい。
自殺した4人の幽霊が、天国へ行くために自殺志願者100人を助けるお話。
設定は少しファンタジーだけど、内容はとても心に刺さる。死んだらあかん。
お揃いのつなぎを着て、まるでゴーストバスター。
最高にカッコいい。
実は私も元自殺志願者。
詳細は省くけど、17歳で家を出て、夜の世界へ飛び込み、初めは刺激的な世界に楽しくしていたけれど、根が真面目な私は、すぐにダメになっていった。
区切りがついたら…このタスクが片付いたら…
死ぬ事を目標にする様になっていた。
けれど19歳の秋に『捨て猫拾ったんやけど飼ってくれへん?』と。
産まれて約2週間の母猫から育児放棄されたらしい子猫。
ゲームのコントローラーより小さい猫を見たら、小さすぎてヤバない?(笑)なんて可笑しくなってしまって、その瞬間から、私の死亡予定日が『いつかこの猫が死ぬ時』に更新された。
そんな猫が去年のクリスマスの夜に19年の命を終えた。
私も一緒に死ぬはずだったけれど、いつの間にか38歳になった私には他にも大切な人や物が増えていて、一緒に逝く事は出来なかった。
大きな伸びをする様な最期は、心臓が潰されるみたいにとても苦しく悲しかったけれど『先に逝っとくでー』と言われた様な気がした。
私にとって最高の救助隊だったな。
救助後に19年もアフターケアついてた。
別の話だけど、天国へ繋がる虹の橋を渡って向こう側へ行くらしいんやけど、その橋の袂で待ち合わせ出来るんだそう。
迎えに来てくれるといいけど。
しばらく本もうまく読めなかったけれど、やっと気持ちに余裕が出てきた。
この本に出会えて、本当に良かった。