高野和明のレビュー一覧
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◼️高野和明「踏切の幽霊」
次はどうなる?という畳み掛けはさすが。評判の良い幽霊事件ストーリー。
高野和明といえば佳作「13階段」、本屋大賞2位「ジェノサイド」がすぐ思い浮かぶ。今作は「ジェノサイド」以来の長編だそうだ。SNSの本好きさんの動きを見ていると好評ということが窺えた。
大手新聞の元敏腕記者だった松田。妻の病死が原因で会社を辞め、いまは売れ行きの悪い雑誌「女性の友」の契約記者をしており、評価が良いとは言えない。いまの職を斡旋してくれた井沢編集長からは、次の仕事として心霊特集の取材を命じられる。投稿ネタから拾った下北沢三号踏切の心霊映像や写真を調べるうち、近くで起きた殺人事件に突 -
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主人公の記者である松田が心霊ネタの取材をする中で、下北沢3号踏切の怪異とそこで起こった殺人事件について調べるお話。
殺人事件の被害者の身元を調べる展開は社会派ミステリーのようで夢中になって読んでしまいました!
そこに怪異が織り交ぜられており、2つを融合させるなんてすごい…!
ホラーとは少し違い、ただ怖いのではなく死後の世界について考えたり、温かみも感じるストーリーになっていたので、帯にある幽霊譚という表現がピッタリな作品と感じました
個人的には、殺人事件について追いかけている時がすごく重厚な物語に感じていたので、ラストが「もう終わり?」と少し物足りなさを感じました。
あと、プロローグが少 -
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ネタバレすっごい久しぶりの高野和明さんの作品で楽しみでした。ジェノサイド以来かな。
まず、感想として作品の舞台がそうだからなんだけど、めちゃくちゃ昭和の小説を読んでる気分にもなりました。時代背景という部分だけでなく、なんか当時に書いた感溢れてました。解説読んで少し納得かな。
作品のジャンルとしては、何だろう。やはり幽霊小説なのかな。写真や電話やラップ音、降霊など、あらゆる超常現象にも特にカラクリがあるわけでもなく、そのまま不思議なまま。
ふだんミステリばかり読んでるから、そういう観点では少し拍子抜け感ありますが、それなければ話としては好きなタイプ。
なかなか、報われない人が沢山いる話だったけど、事 -
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【2025年136冊目】
病気で妻を亡くした松田は事件記者から、婦人向け雑誌の担当になり、うだつのあがらない日々を過ごしていた。契約終了まで残り2ヶ月になり、心霊特集を担当することになった松田が出会ったのが踏切での事故だった。いつしか亡くなった女の正体を追いかけるようになったが――。
作家さん買いです。ホラーとミステリーとファンタジーをかけ合わせたようなお話でした。話の方向性や真実がどこに帰着するんだろうなと思いながら読み進めてましたが、もう少し妻要素を絡めて欲しかったな〜と思ったり。どんでん返しというか、大きな驚きもなかったので、結構凪!って感じのお話でした。文体も、ちょっと変わった気が -
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ネタバレ「避妊をしなければ子供ができる。そんなことも分からない奴らは、恋愛するな」(P403)
一時の快楽に身を委ねるのはダメ、絶対。テーマはめちゃくちゃシンプル。女を孕ませて堕ろそうとした男が改心して出産させる話。当たり前ながらも改めて「避妊の大切さに」気付かされた。面白かった点は2つある。
1つめは、オカルト(死霊の憑依)か、化学(精神の病)か、どちらの説か分からないこと。
果波に取り憑いた霊をめぐって、憑依説を推す夫(修平)と、精神の病だと言い張る精神科医(磯貝)の対立が興味深い。どちらの言い分にも納得できる。
磯貝による精神分析が興味深い。憑依は現代においては、精神疾患の一種だという -
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ネタバレ【2025年105冊目】
ベストセラー作家である修平の妻である果波は幸福の最中にいた。狭いアパートから高層マンションに移り住み、新たな暮らしをスタートさせた二人。だが引越ししてしばらくしてから、収入の見込みがなくなることがわかり、修平は焦り始める。そんな折、果波の妊娠が発覚。苦渋の決断で中絶を決意した二人だったが、徐々に果波の様子がおかしくなり始めて――。
ミステリーとホラーを混ぜ合わせたような一作。果たして精神的なこととして片付けられるのか、それとも幽霊のような説明のつかない現象なのか、どっちなんだ!と最後まで読者を翻弄させる建付けにまんまとやられて一気読みでした。
個人的にはもうひとひ