奥泉光のレビュー一覧

  • もの語る一手

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    将棋をテーマにしたアンソロジーです。
    地味な表紙に反して、作者陣は華やかです‼️
    ガッツリ将棋の作品もあれば、エッセンスとして取り入れているものもあり、作風もバラバラ。なかなか贅沢な1冊です。
    橋本長道「なれなかった人」
    綾崎隼「女の戦い」
    が好きです。好みの作品も別れそう…。

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    2025年07月06日
  • もの語る一手

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    将棋ほとんど知らないけど惹き込まれる。将棋に魅せられた人たち。子どもの成長。賭け将棋。子どもの頃は天才。それて世界は厳しい。かーくん。千代倉。なれなかった人。なれなかった人はやっぱりなれなかった人。天才は天才。おまえレベルの話はしてない。やめ時。女。

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    2025年06月13日
  • もの語る一手

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    ネタバレ

    将棋がテーマのアンソロジー。

    お気に入りは青山さん「授かり物」

    有名な棋士と、同じ年で同じ誕生日の息子を持つ松原芳枝。シングルマザーとして息子を育てていたが、20歳になった歳に漫画家のアシスタントになると言い出し…

    ひょんなことから出会った将棋を指す老人と出会い、将棋の奥深さにハマっていく芳枝。これまでの人生と将棋を掛けた描写にじんわりきました。

    綾崎さんの「女の戰い」

    あくまで棋士を目指す朱莉。女流棋士とは違い狭き門で、保険で東大へ入学できるのも凄いです。
    ライバルだけど、友達以上恋人未満な関係の京介が心地よく、認めてくれる人がいるだけで強くなれる関係がまた更に朱莉を上へ連れてって

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    2025年06月09日
  • もの語る一手

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     将棋に絡めた短編集。どれもこれもおもしろかった。ドキドキ、ハラハラ、おおっ、しみじみ、ほろり。いろんな感情を味わえました。1番のお気に入りは「なれなかった人」。棋士たろうとする凄みがすごかった。

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    2025年05月25日
  • もの語る一手

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    全く将棋が強い訳でもないが、将棋にまつわる小説やノンフィクションは個人的に好きな分野。粒揃いな作品群の中でも、葉真中氏の「マルチンゲールの罠」、橋本氏の「なれなかった人」、綾崎氏の「女の戦い」、そして奥泉氏の「桂跳ね」あたりが特に面白かった。芦沢氏は「神の悪手」が滅茶苦茶面白かったので期待大だったが、本作の「おまえレベルの話はしていない(大島)」はそれほどでもなかった。

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    2025年05月15日
  • もの語る一手

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    『テーマ小説の旨味が凝縮された至極の一冊』

    将棋にまつわる8話のアンソロジー。総じて良かった。特に将棋の細かいルールがわからなくとも読めるのが良い。全体的に夢を諦めない姿勢と将来の不安に対する心の葛藤を描いた作品が多く、勝負師たちの手に汗握る緊迫感が伝わってくる。奨励会の描写は「ヒカルの碁」を思い出した。

    ●授かり物 青山美智子
     親子の優しい物語、ブラマンが出てくるのは青山ファンに嬉しい
    ●マルチンゲールの罠 葉真中顕
     賭け将棋師の物語、真剣勝負に手に汗握る
    ●誰も読めない 白井智之
     本格ミステリー、アリバイ崩しのトリックと将棋の先読みを掛けた白井先生らしい作品
    ●なれなかった人 橋

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    2025年05月09日
  • 虚傳集

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    ネタバレ

    小説とはこんなにも自由で虚構に満ちていて楽しいものなんだとあらためて感じることができました。(ヘビーなノンフィクションを直前に読んでいたせいもあるでしょうか)
    わたしの知識量が少ないためどこからが虚構なのかわからない状態なのですが、普段は大長編を書かれる先生の初の短編集を堪能させていただきました。

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    2025年04月13日
  • 虚傳集

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    書名のとおり史実に織り交ぜた虚構に次ぐ虚構。

    幕末に逃げるが勝ちを奥義とした一風変わった剣道場、戦国末期の石礫投げを専らにした傭兵団、江戸中期の仏師、江戸末期の舎密師、同じく将棋好きの幼馴染二人。

    架空の文献やそれに対する架空の解釈も持ち出すなど細かい芸を駆使し、作者が楽しんで書いている様子がわかる、ストーリーテラーたる作者の面目躍如となる怪作。

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    2025年04月02日
  • 虚傳集

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    見も聞きもしない、というかそもそも存在しない事柄を恰も有る様に平然と語ってみせるのが小説の根幹だとするなら、この短篇集は正に小説らしい小説といえる。初めからまるっきり嘘しかないと分かって読み始めていたのに、文献の引用が重ねられる程にどこか真実味のようなものが芽生えてくるのが面白く、また恐ろしい。個人での情報の発信受信が容易になった反面、フェイクも横行するようにもなったポスト・トゥルース以後の現代社会を生きていく上で、提示されたものに飲み込まれず冷静に真偽を見極める能力は、私たちが最も磨いていかなければならない部分である。

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    2025年03月15日
  • 天皇問答

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     書名にある通り、対談がまとめられたものなので、まとまった論考が展開されているわけではない。でも、明治以降令和にいたるまでの天皇や皇室の変遷を二人で振り返ってくれているので、頭の中を整理できる。昭和天皇の崩御で、それまで存在感が薄れていた天皇の身体が急に表面に登場し、天皇のタブー性を再認識させられたこと(p156)、平成天皇は雲仙普賢岳の大火の時被災地を訪れひざまずいて国民と対話する姿が印象的だったが、一方で戦地訪問先は敗れたところのみ訪れ、旧満州や真珠湾などは意図的に回避しており、平成天皇の訪問した戦地のみであの戦争を振り返るのは実態を歪めてしまうこと(pp166-177)、眞子さんのニュー

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    2025年03月08日
  • 虚史のリズム

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    ネタバレ

    あり得たかもしれない戦後史を陰画として描いた伝奇ミステリー。まずはモノとしての本の厚さに圧倒されるが、主役級の数名は言うに及ばず、次々登場する端役キャラに至るまで1人1人異なる味付けがされているところや風景事物の細部を描いて戦後の匂いがしっかり再現されているところ(特に下山事件を彷彿とさせる各種団体名には事件の臭いがプンプン)など注入されたエネルギーには恐れ入るしかない。
    序盤どんどん話の風呂敷が広がり続けるなか、インテリ層による新憲法評価の議論に一つのクライマックスがあるが、そこから話がオカルト方面に転換して少しテーマを見失いそうになった。最後には再び本テーマに回帰するが個人的には最初の疾走

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    2025年02月24日
  • 天皇問答

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     20世紀の総力戦に取材した小説を多く発表してきた小説家と、近代天皇制とメディアとのかかわりを粘り強く追いかけて来た政治学者との対談本。新書という媒体的な制約もあって、基本的な知識の確認に多くのページが費やされているが、大正天皇の振る舞いを「大正流」として取り出したり、徳川時代の身分差をめぐる人々の身ぶりと近代天皇制のそれとの連続性を問題化したりと、興味深い論点も提示されている。原武史が、近代天皇制を研究していて最も分からないのは、「なぜ民衆が天皇制を支持し続けたか」「いったい誰が宮中の儀礼を設計したのか」が分からないことだ、とコメントしていたことも印象に残った。原が構造的な女性差別性を提起す

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    2025年01月28日
  • 虚史のリズム

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    表紙のデザインに惹かれて読みました。
    第二次世界大戦の頃に学生で、兵隊になった人たちの戦後の思いが重く伝わってきました。ミステリーとしては、とても面白く読めました。

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    2024年12月29日
  • シューマンの指

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    この小説で語られる「幻想曲の夜」が主題になっている。つまりシューマンの幻想曲ハ長調Op.15の「幻想」が肝なのだ。

    奥泉氏の作品は、なかなか事件が起きないのが特徴的(例「雪の階」)だと思う。前半は散々、シューマンについて「勉強」させられる(小生はシューマン好きでもあるから苦にはならなかったけれど)ようだ。

    音楽を素材に使った作品は、曲が頭に浮んでこないと、読者にはきついんだろうな。

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    2024年10月09日
  • 虚史のリズム

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    テーマもページ数も分厚い力作。不穏な空気を垣間見せながらも、軽妙な石目の章を織り交ぜながらなので、単なるミステリーかとも思わせるテンポで延々と話が進んでいく。かなりの終盤になって物語は一気に混沌の度合いを増し、虚構と現実の並行世界を体感できる。
    とにかく文章が抜群に上手いのでいつまでも読み続けていられるけれど、並みの文章力でこの話を読まされたら「なんじゃこりゃ」になってしまうかもしれない。K文書や第一の書物のことなどを始めとして、様々な謎がスッキリと解消されずにモヤモヤが残ってしまった。

    石目とか橿原いう名前に既視感があったのですが、これは「神器」とリンクしている作品なのでしょうか?(的外れ

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    2024年10月02日
  • ビビビ・ビ・バップ

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    読むのにめちゃめちゃ時間がかかったけど、楽しい作品だった。
    パンデミック前に書かれた、パンデミックを予想していたかのような作品。
    関連する登場人物が出てくるという鳥類学者のファンタジアも読んでみたいな。

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    2024年08月10日
  • 東京自叙伝

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    読んでるうちに「つまりこういうことでは」と疑問が生まれるのだが、最後まで読むと「やっぱりね」と思います。

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    2024年08月01日
  • 葦と百合

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    叙述トリックとはまた違う、虚実の入り混ざったミステリー作品。
    途中から作者の筆がどんどんヒートアップしていき読者はほぼ置いていかれる展開だが、着想はかなり斬新で、読後は暖かなユーモアに包まれるという不思議な読後感を味わえる作品。単純に乗り切れない部分はあったが重厚で遊び心ある筆致で読まされてしまった。

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    2024年06月01日
  • 漱石漫談

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    夏目漱石の作品について、筆者の二人が対談する本。

    自分の好きな作品が多くて嬉しかった。やっぱ「猫」はサイコーですよね!「門」もいいよね!「坑夫」好きだっていう意見は今まで見なかったから、同じ意見で嬉しい!
    夏目漱石の作品を読み込んでるんだろう二人の意見はとても参考になった。夏目漱石はコミュニケーション不全の話をずーっと書いてるんだということは今まで気づかなかったけど、言われるとそうだな…
    「坊っちゃん」も威勢が良くて好きだけど、坊っちゃんってあんまり話してない、と書かれてて、あ、確かに…と気づいた。なんか坊っちゃんが可愛く思えてきて、再読したくなった。猫も門も坑夫も読もうかな。

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    2024年05月17日
  • 雪の階(上)

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    ネタバレ

    226事件を全く考えもしない角度から描いた傑作長編です。時代背景と当時の社会の焦燥感、熱気、思惑を重低音のように響かせながら、身分の違う二人の女性が一つの事件を追います。まるで冬の木立のような貴族の姫君の魅力と力強く羽ばたく市井の女性の活動力、明かされる秘密となお残る疑問。本当に不思議な魅力を持った物語です。
    結末に首肯しつつも、続編を探してしまう読後感とともに、その時代に、その場所に心を残して旅を終わりました。

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    2024年03月29日