奥泉光のレビュー一覧

  • もの語る一手

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    (この本自体は読んでなくて『小説現代』を読んだのですが、備忘録として登録)

    将棋を観るのが好きなので読んだのだけど、どれもこれも面白くて驚いた!
    人生で読んだ短編集でベストかも。
    将棋しばりなので中には面白くないものもあってもおかしくないのに。
    理由は書き手を見れば一目瞭然で(と言っても私は知らない人もいたんだけど笑)、人気作家ばかり。
    将棋好きな作家さんて多いんですよね。観戦記を書かれてる方もいらっしゃったり。

    私は将棋はほとんど指せないので、将棋難しそう…という方でも楽しめると思います。

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    2025年04月11日
  • 天皇問答

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    原武史はいつの間にか、ただのお召し列車好きではなくなった。
    天皇の在り方の変遷の一つの見方が、この対談でまとまって把握できる

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    2025年03月31日
  • 天皇問答

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    譲れない反戦平和の意志を持つ自分が「天皇制」というものにずっと感じ続けている疑問を相当に解き明かしてくれた書であると思う。
    奥泉光さんの分厚くて重たい「虚史のリズム」を読み終えたとき感じたモヤモヤもかなり晴れた。
    奥泉、原の両氏のようにこれからも考え続けていこうと思う。

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    2025年03月07日
  • 虚傳集

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    偽書歴史小説集。実在してもおかしくなそうな資料を実在してそうな歴史学者の解説を踏まえて小伝を記した体裁の小説。著者の博識と小説技巧で、まさに「凄面白くて唸らせる」小説集。

    【収録作品】
    「清心館小伝」 「兵は詭道なり」と説き異彩を放った江戸の道場
    「印地打ち」 真田氏の下、投石の奇襲で名を馳せた山の三兄弟
    「寳井俊慶」 出奔した天才仏師の数奇な生涯
    「江戸の錬金術師」 猫屋敷の蘭方医にしてからくり興行の山師
    「桂跳ね」 幕末の世、将棋で結ばれた若者二人の友情と運命

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    2025年02月18日
  • 虚史のリズム

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    まずは最初に目にした時のインパクトといったら!分厚すぎでしょ!それに装丁のDADADAは何ぞや?と、ページをめくる前から期待度が上がります。内容は…重厚かつ軽妙。ミステリーでもあり、SF要素もあり、怪奇・幻想小説っぽくもあり、純文学でもあり、大衆文学でもあり。作家さんって、すごいなあ…。最高に好みの作品でした。

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    2025年02月06日
  • 虚史のリズム

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    厚さ5センチ、重さ1240グラム、1095ページというスーパー鈍器本

    内容も器にひけをとっておらず、並列式「豊穣の海」に浸れます

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    2024年12月31日
  • 虚史のリズム

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    ネタバレ

    dadaの氾濫に導かれ大著に手を伸ばす

    大東亜戦争敗戦後の日本に有象無象が蠢く
    登場する人物は四人の女性はじめ皆魅力的だ
    探偵が狂言回しとして恋に冒険に奮闘努力する

    物語は未来を予知した謎文書を中心に回る
    隣の次元の書物が捲られるあたりから狂気が溢れでる
    人間は鼠集合体となり、主人公は戦争の泥沼から抜けられないはぐれ鼠となる
    人間になり象徴となった天皇の代わりに、国家民族を信仰する集団は本物の天皇を迎えようとする
    儀式は溢れる死者の声で埋もれる
    自決した者はあちらの世界に行ったのだろうか

    最後に霧子が顔を出すのが嬉しい

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    2024年12月10日
  • 死神の棋譜(新潮文庫)

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    将棋×ミステリで、普通のミステリとは異なる作風。解けない詰将棋の謎と失踪の謎で読者を「寄せ」、終盤の「詰み」でどんでん返しが待っている。また、登場人物たちの将棋の勝負にかける情熱、人生が伝わり、将棋小説としても面白い作品。

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    2024年11月19日
  • 虚史のリズム

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    初めての作家奥泉光。何という筆力か!
    ジェットコースターに乗せられたような感覚に、これは何の本だ?
    1095ページのどこをとっても密度濃く、頭の中にモヤモヤっとしたものが渦巻く。
    日本の戦後史と見えるがSFのようでもある。もちろん探偵小説でもあって登場人物が生きている。
    読み始めてすぐ、これは大変な読書になると予感したが、9日かけて最後の1ページにたどり着いた。
    大きな仕事を成した感がある。

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    2024年10月18日
  • 虚史のリズム

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    ネタバレ

    偶然出版されてすぐに本屋さんで並べられているのを見て、ずっと気になっていた奥泉光先生の作品+かっこよすぎる装丁+紹介文の秀逸さのコンボにやられてしまった。
    読み始めると戦後の日本が舞台で、ある夫婦の殺人事件について追っていく話が始まり、本の見た目とは裏腹に小さな事件をどんどん解決していくようなお堅めの小説なのかと思っていた。
    しかしそんな予想はすぐに裏切られ、「K文書」なるものや、怪しげな宗教、夢なのか現実なのかわからない世界に迷い込んだり、dadadadadadadadaのリズムが聞こえ始める。
    それらに心をガッチリ捕まれ、さらに読み進めて行くとさらに大きな「企み」が分かってきて、、ラストま

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    2024年10月13日
  • この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか

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    歴史学と文学の先鋭が混じり合い、戦争が浮き上がる様はとてもスリリングであり、とても読み応えがあった。

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    2024年08月30日
  • 旧約聖書がわかる本 〈対話〉でひもとくその世界

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    「正義を貫くこと」こそ「応報原則」。神はその自由を人間に与えた。神は自身の絶対的力で悪を壊滅しない。人間は自分達の強い意思と力を持って正しいことを成し、悪を寄せつけず、世の中を正しい方向に導かねばならない。遥か太古からのヨブ記のメッセージ、確かに受けとりました!

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    2023年04月29日
  • 旧約聖書がわかる本 〈対話〉でひもとくその世界

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    対話とは自由が保障されている中で生じる。
    解釈の視点が愛情溢れる教養から滲み出ている対話は、類まれな歴史に残る名著になると思う。
    日本人の感じる神とはいい意味で違う。欧州の文化を理解する基本書にもなり得る。

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    2023年03月18日
  • 死神の棋譜(新潮文庫)

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    ネタバレ

    将棋を題材にしたミステリー小説。名人戦の最中、ある詰将棋が描かれた矢文が見つかる。
    そして、その矢文を持ち込んだ奨励会員がそのまま失踪することに。矢文に描かれた詰将棋が意味することとは。さらに、彼が失踪したことの意味とは。元奨励会員である主人公が探偵のように二つの謎を解決すべく、各地を巡ることとなるミステリー。
    作中では、実在の棋士の名前が数々登場し、現代の時代感を匂わせながら、中心になるのは架空の元奨励会員や棋士と女流棋士。また、主人公が謎を探りながらも過去に起きた同様の失踪事件の謎をだんだんと明らかになっていくところも面白かった。将棋にのめり込んでいるからこその将棋教なるものに傾倒していっ

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    2023年03月11日
  • この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか

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    歴史を学ぶ意義を重く認識させてくれる名著 「歴史は『物語』として理解される」
    ここに歴史の面白さと同時に「怖さ」がある
    1.国家の統合 ①統治=政治 ②統帥=軍隊 明治は分立 民主国家は政治優位
     日本・ドイツは後発国、ゆえに政治の熟成を待てず、皇帝主導・軍優位の国家体制
    2.日本の稚拙な植民地経営
     朝鮮の創氏改名 「文化」最大の難問 ジリアン・テッドANTHROPOLOGY
     満洲の犠牲『物語』英霊20万人 戦費10億円 > サンクコスト経済合理性
     →満蒙は特殊権益 冷静な議論できず 石原莞爾「日本の生命線」=空論
      石橋湛山「植民地経営はペイしない」小日本主義・満洲放棄論
    3.対米開

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    2022年09月19日
  • この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか

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    小説家の奥泉さんと歴史学者の加藤さんの対談集。
    単一の物語に回収されないように歴史を語るべきとはポストモダン以来の歴史の見方だとは思うのだけれど、それをアジア・太平洋戦争に当てはめて語ってくれている。
    当初単なる軍人のモラルだった軍人勅諭が変質し政治に関わることの正当化に使われたところから、共通の思想的バックボーンがない日本という事情に気がついた新渡戸稲造が作った武士道の話、満州国・国連脱退はまだ相手側の顔を立てるつもりもあったなど、勉強になることは多い。
    その中でもやはり白眉は色々な小説に基づきながら、当時の状況を考える後半部。将校の目からだけでなく、一般兵の目からみた戦争をみることで、軍隊

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    2022年09月12日
  • この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか

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    歴史は「物語」の形でしか語られ得ず、またそうならなければ人を動かす力を持ち得ない。多くの国々で、明白に贋物とわかる歴史の「物語」が流通する現状があるのも事実だ。

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    2022年09月04日
  • グランド・ミステリー

    H

    購入済み

    面白い! 最初は、少しとっつき難いかもしれないが、読み進め重層的な世界が見えてくると、一気に最後まで読んでしまう。さすがベテラン作家です。

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    2022年01月24日
  • 雪の階(下)

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    ネタバレ

    さすが奥泉氏という作品。文章は上手いしストーリー、小物から情景描写までいやらしいところなく丁寧に描かれている。どうやったらこんな文章が書けるのだろうという思いがするし知識量も比類なきものを感じる。
    ストーリはいよいよ佳境を迎え上巻で伏線として張られていた兄惟秀、伯父白雉博允、紅玉院が回収される。途中よくある神話的妄想の世界に取り込まれるかに見えた惟佐子が最後に客観化されるあたりや、蔵原と千代子のシーンで日常に戻して幕にするストーリーの構成はお見事というほかない。
    これでいてビビビ・ビバップのような作品も書けてしまうんだからなあ・・・。惜しむらくはグローバルで受ける内容ではないので世界の人が知る

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    2021年11月21日
  • 雪の階(上)

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    昭和初期、2・26事件を翌年に控えた昭和10年。華族の娘、笹宮惟佐子を中心に友人の宇田川寿子、ドイツ人音楽家カルトシュタイン、父の笹宮惟重、母の瀧子、弟の惟浩、友人の牧村千代子、宮内省の役人木島征之、記者の蔵原誠治、寿子の友人の槇岡貴之中尉とその友人の久慈中尉、そして伯父の白雉博允、兄の惟秀が時代の危うい雰囲気の中、神智学の魔力的な引力とともに事件が描かれる。
    戦争を控えた時勢が天皇機関説排撃や満州事変、近衛、ヒトラーなどを絡めることで上手く描かれていて、そこに数学や囲碁が得意な惟佐子の数学に宿る神秘性や、松本清張的な電車のダイヤ問題、華族の世界の和装や洋装、建築的な意匠の詳細な描写などにより

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    2021年11月14日