無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
「グランドミステリー」は、僕がはじめて読んだ奥泉作品だ。相当前に読んだもので、ストーリー云々はまるで記憶になかったが、時間を迷宮的に超越した、軍艦とベニスと加多瀬と志津子の物語、というふうに記憶していた。
実に何年振りか(何十年ぶり?)かの再読だったが、記憶していた以上に辛辣な日本、日本人への批評的文学だったように思えた。ただしそこは奥泉さんなので、あくまでもエンターテイメント要素が前面に押し出され、むしろそちら方面に傾きすぎて重心が散らばってしまっているところが本作の弱点でもあるように感じた。夕鶴事件の真相、と銘打たれてスタートした物語だが、結局のところその真相などはたいした真相ではなく、手紙の紛失事件もその真相はたいした真相ではなく、川崎整備兵の失踪もまたたいした真相ではなかった。重心の散逸は、もしかしたらわざとなのかもしれないが、奥泉さんの小説を常に蝕んでいる。どた馬、豆だいふく、貧乏神などのエピソードに見られる悪ふざけも気に入らない。
でも、それでもなおかつ魅了されてしまうのが奥泉さんの凄いところだ。なにを置いても絶賛されるべきは圧倒的なその表現力、描写力、文章力だ。ほぼすべての文に感嘆してしまう。連続ドラマの終わり方のような、章の締めくくりの一文も素敵だ。そして毎度の迷宮感。僕が奥泉さんの小説を読むのは、この迷宮感を味わいたいからに他ならない。グランドミステリーは、その名の通り、ミステリーチックな迷宮感を味わうには最適な作品です。
今回文庫版を読んだのですが、ラストシーンが記憶と違っていました。単行本と変えてますか??それともただの記憶違いかな。
Posted by ブクログ
いままで著者の奥泉光に対する印象は「理屈上は面白いが体感はイマイチ」「他人から説明してもらうとすごく面白そうなのに、自分で読むとそこまでではない」というもの。2、3冊しか読んでない段階での感想だけど、それ以上は追いかけなくてもいいか、と判断していた。
それがこの『グランド・ミステリー』でかなり変わった。グランド=壮大な、という名に恥じない大作。ミステリーとしても、SFとしても、戦記としても、人間観察としても、面白い。多様な読み方ができる、というのは良作の証拠。
単行本では上下巻になる分量なのに残り100ページあたりで「残り少ないが大丈夫か?」と楽しさと寂しさの入り混じった感想を持ったということは、ミステリーとして成功と言える。
(ちなみに一つだけ書かれずに不満な点があるけどネタバレになるから書かない。)
ただし、冒頭に書いた著者に対する感想は、量の面では変化したが質の面では覆るとまではいかなかった。作られ過ぎ計算され過ぎとでもいおうか、著者が書きながら「主人公たちはこの先どうなるんだろう」と楽しんだり悲しんだり苦しんだりしている気がしない。そこが星一つ欠けるところ。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸