奥泉光のレビュー一覧
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加藤陽子との対談「この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか」の、相手は代われど続編的な本。
実は高校の頃は中上健次や大江健三郎、三島由紀夫、吉本隆明にカブレたクチなので、いろいろ考えたものだが、その後はとんと。
実際天皇と聞けば必ず、もう何百回も思い出すのが、女子高生のツイート「「天皇誕生日おめでと あんま絡みないけど、素敵な82歳にしてね」の、唐突なブッコミ作法と、無知ゆえのフランクさと。
で、その想起にこちらの頭も浸されてグズグズになったくらいに自分も落ちていたわけだが、その地点に片足置いて、またいろいろ考えるようになったのが、やっぱり文芸経由で、しかし四半世紀後に背中を押してくれているのは石 -
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帯に、「神話」より「対話」を! とあるが、まさにそれ。
人は歴史を物語として理解するが、その認知に落とし穴がある、という、冷静になればまあ当然の意見を、何度も、多方面から、手を変え品を変え、しつこく、投げかけてくるのが、奥泉光の小説だ。
ネチネチ、しかしユーモラスに、文体の工夫、引用の多層性、書く人であると同時に読む人。
ユーモアは奥泉光の生来の志向だと思うが、同時に認識をズラす(物語批判)ための意図的な武器でもある。
その材料を提供してくれる歴史学者との対談が、面白くないわけがない。
上のテーゼに加えて、改めて気づかせてもらったのが、軍部と国民の間に「社会」が挟まる時間的余裕が、日本の近代化 -
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『将棋は決断のゲームである…決断をテーマに書かれた一挙8編の短編集』という紹介文に惹かれて読みました。
将棋は子供の頃に親に教えてもらって2、3度指したことがある程度でほぼルールも難しいことも分からない状態で読みました。分かってた方が面白いんだろうなぁと思う物語もありましたが、全体的に、話の筋に関わる程度に上手に解説が挟まっていて、あまり調べたりせずに理解でき、読み進めることが出来ました。
強く印象に残ったのは、葉真中顕さんの『マルチンゲールの罠』、白井智之さんの『誰も読めない』でした。
『マルチンゲールの罠』は、最後の最後で、見えている世界がグルンとひっくり返るような感覚がお見事で、読み終 -
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ネタバレクワコーシリーズ3作目。桑潟准教授(助教授時代あり)含めて4冊あるって、継続は大事やね。
相変わらず、スタイリッシュというより、サバイバーな生き方をするクワコーと周囲の個性あふれてこぼれてしまってるキャラクターたちの愛すべきドタバタ劇。深そうで実はそうそう深くない小説で、純文学的読みづらさを抱えつつも、結構読み流せるギャップが面白い。
しかし、Fランと言われる大学では学生よりも先生連中が大変なんだろうなぁ。授業よりも研究よりも営業活動ってのは、この作品ほど大げさじゃなくても現実世界でもある話なんだと思う。
野蛮な政治って文化や教育をないがしろにするからなぁ。科博の維持費がクラファンで万博