奥泉光のレビュー一覧
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ネタバレ将棋は全く興味はないが好きな作者さんが多数いたので読んでみた。
将棋が分かればもっと面白かったのだろうけど、分からないなりにも面白かった。
・授かり物 ★★★★★
大好きな青山さんの作品。
離婚して1人で子供を育てたお母さんの話。ほっこりとするし、泣きましないが感動する。
・マルチンゲールの罠 ★★★★
1人語りの話。初めて読む作家さんの話。
オチは読めたが、話に引き込まれ結構面白かった。
・誰も読めない ★★★
将棋は全く分からないので、具体的な話はちんぷんかんだったがザ、ミステリーって感じでまあまあ良かった。
・なれなかった人 ★★★★
読後がかなり良い!!
将棋はちんぷんかんなので将棋については分からない事が多かったが、段の生き方が泥臭く良い!!
最後は泣きかけた。
・王手馬取り ★★
うーん、イマイチ。
貴志さんの作品なんで期待してたが、ガッカリ。
・おまえレベルの話はしてない(大島) ★★
イヤミスかと思ったら、ちょっとしたミステリー?的な話だった。
・女の戰い ★★★★
初めて読む作家さんの話で読後感が良い作品。
夢に向かって頑張ってる人って素敵だなと思いながら読んだ。
・桂跳ね ★★
歴史もの?はあまり好きでなく、文章も昔風で読みにくかった。
最後の諒四郎の将棋の指し方と彼の死に方が似てるというのが良かった。 -
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一家言ある者同士の対談は読みにくい、と感じる。小説家と政治学者、立場を異にするとはいえ、両名ともに近現代日本史に関する著作を書いている。また「天皇制」に対する考え方も、一致はしないが、遠いとも言い難い。
本書で目についたのは“皇后の強さ”。本書によれば、貞明皇后(大正天皇の皇后)、美智子上皇后、紀子皇嗣妃は、宮中祭祀に熱心であった/であるらしい(紀子皇嗣妃も“皇嗣妃”となったことから宮中三殿に上がることとなった)。「家父長制的イエのトップ」(p.184)として天皇家を捉えたとき、外から皇室に嫁いできた女性というのは、そのイエの中でのアイデンティティ確立のために、熱心になってしまうのではないか、と思った。目一杯「俗」に引き寄せてイメージするなら、テレビのホームドラマ(橋田壽賀子ドラマ的な家庭劇)において奮闘する「嫁」の立ち位置。なお、雅子皇后と香淳皇后(昭和天皇の皇后)は「宮中祭祀に熱心」というふうには語られないのだが、雅子皇后は「体調が万全ではない」(p.189)からということだろう。また、香淳皇后は本書にまったく登場しないのだが、生まれながらの皇族(誕生のときから「女王」の身位)というところが前後代の皇后と異なるものと思う。 -
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河出新書奥泉光対談3部作(今のところ)の中間。
「この国の戦争」と「天皇問答」、それぞれの2倍くらいの厚み。
ある程度の前知識は必要。
・小説として読む。とりわけ「ヨブ記」に紙幅を割いて。
・アジア太平洋戦争にも言及。現代に活かすのは対話ならでは。
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旧約聖書とは、問いかけ、働きかける姿勢があれば、驚くほど面白くなってくるテクストである。小説のように自由で、思想書のように挑発的なその本質をつかみ出す〈対話〉による入門。
「あまりの面白さに、ベッドから跳ね起きてメモをとる。神を外部に創造し、人権を基礎づけた旧約聖書の真の姿がグッと身近に迫ってくる。」
――加藤陽子さん(東京大学教授/日本近現代史)
「軽快な調子で読みやすいが、内容は深遠である。(……)旧約聖書が、いかに圧倒的独自性を持つものであるのか、さらにはそれがなぜ、自由、平等、人権といった近代的理念の淵源とされるまでの世界史的影響力を持ちえたのか、といったことが、浮かびあがってくる。」
――柄谷行人さん(哲学者、『朝日新聞』2022年11月12日 承諾番号22-3439 ※朝日新聞社に無断で転載することを禁じる)
「何が何でもこの本を手にとってもらいたい。思想の力に圧倒される、という実感をしていただきたい。(……)二人によると、旧約聖書はそもそも対話の書である。神と人との間だけでなく、人間にもはじめから複数性が想定されており、さらには神の内部にも複数性がある。」
――森本あんりさん(神学者/東京女子大学長、『読売新聞』2022年10月16日)
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目次
第1部 旧約聖書とその時代(世界を創造する神;旧約聖書はどんな書物なのか ほか)
第2部 創造と、文明批判の伝統(神による世界の維持と文明の抵抗;自己拡張を図る文明と神のリアクション ほか)
第3部 神と人間(行動を考え直す神;人のとりなしに耳を傾ける神 ほか)
第4部 ヨブ記を読む(水準の高いテクスト;序曲 理不尽な苦難と従順なヨブ ほか) -
Posted by ブクログ
加藤陽子との対談「この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか」の、相手は代われど続編的な本。
実は高校の頃は中上健次や大江健三郎、三島由紀夫、吉本隆明にカブレたクチなので、いろいろ考えたものだが、その後はとんと。
実際天皇と聞けば必ず、もう何百回も思い出すのが、女子高生のツイート「「天皇誕生日おめでと あんま絡みないけど、素敵な82歳にしてね」の、唐突なブッコミ作法と、無知ゆえのフランクさと。
で、その想起にこちらの頭も浸されてグズグズになったくらいに自分も落ちていたわけだが、その地点に片足置いて、またいろいろ考えるようになったのが、やっぱり文芸経由で、しかし四半世紀後に背中を押してくれているのは石牟礼道子や森崎和江だったり。
しかしこの停滞の時期ずっと読み続けていたのが、奥泉光だったので、その当人がまるで自作解題のように出してくれた対談、面白くないわけがないし、四半世紀のあいだ自分にマスキングしてきた考えが、ぶわっと沸騰した思いがする。
が、結論としてはグズグズ考え続けなければというものでしかないが。
このおふたりが本書の最後のほうで天皇制反対の理由を簡潔に述べているが、その落ち着いた、現実的な口調に、同意するものである。
ファナティックになってはいけない。
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明治・大正・昭和・平成・令和……今こそ問う、この国にとって天皇とは、皇室とは何なのか? しばしば天皇制を扱ってきた小説家と、天皇研究の第一人者が、対話を通じてその本質に迫る。
この国には天皇がいる、皇室がある。
それはいったいどういうことなのか――――?
神格化のはじまり、「大正流」の可能性、昭和の戦争と熱狂、行幸啓の変遷、宮中祭祀の内実、「平成流」の功罪、「象徴」の意味、令和の空気、皇室のこれから……
【目次】
まえがき(奥泉光)
Ⅰ 天皇制の見方・考え方
天皇制の何が難しいか/フィクショナルな出発点/徳川時代と変わらない/生き神がやってくる/三つの層で考える/「新しい伝統」は誰がつくったのか/「祈る天皇」というイメージ/貞明皇后が立ちはだかる/昭和・平成・令和の宮中祭祀/文明開化は天皇とともに/明治天皇の神格化と一般大衆への浸透/現れる天皇、見えなくなる天皇/神出鬼没の大正天皇/昭和天皇を神格化する演出/主導する中間層/秩父宮と二・二六事件/一般大衆の想像力と空虚な支配構造
Ⅱ 昭和の戦争と天皇制
江戸時代との断絶と連続/「国家神道」への道/天皇が東京に移るということ/男性化する「玉」/「国民」をどうつくるか/明治憲法が孕んでいた矛盾/日清・日露戦争に勝ったことの意味/世代による感覚の違い/大正天皇という人/封じ込められる「大正流」/君主制の危機と新しいイメージ戦略/天皇崇拝が止まらない/「政治」が消えてしまう/とにかく神器を失ってはならぬ/大衆の熱狂はどこへ行ったのか/最大の疑問/新憲法下での昭和天皇/変わらない国民/なぜ熱狂に火がついたのか/反省しても反省しきれないポイント
Ⅲ 昭和から平成へ、平成から令和へ
代替わり体験/天皇崇拝の構造/昭和の聖性、平成の聖性/ひざまずく皇太子妃──「平成流」の萌芽/宮中祭祀という使命/天皇が私たちの代わりに死者を悼む/一人一人と相対してきた厚み/国民は「象徴」の意味を考えてこなかった/自衛隊との結びつき/反天皇制の理由/平成と令和の皇室の違い/秋篠宮家の存在感/令和の空気/天皇制は続くのか
あとがき(原武史) -
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帯に、「神話」より「対話」を! とあるが、まさにそれ。
人は歴史を物語として理解するが、その認知に落とし穴がある、という、冷静になればまあ当然の意見を、何度も、多方面から、手を変え品を変え、しつこく、投げかけてくるのが、奥泉光の小説だ。
ネチネチ、しかしユーモラスに、文体の工夫、引用の多層性、書く人であると同時に読む人。
ユーモアは奥泉光の生来の志向だと思うが、同時に認識をズラす(物語批判)ための意図的な武器でもある。
その材料を提供してくれる歴史学者との対談が、面白くないわけがない。
上のテーゼに加えて、改めて気づかせてもらったのが、軍部と国民の間に「社会」が挟まる時間的余裕が、日本の近代化にはなかったということ。
このへんが夏目漱石の心の乱れにもつながっているのかしらん。
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目次
はじめに(奥泉光)
Ⅰ 太平洋戦争とは何かを考えるために
戦争と物語
国民統合の方法としての軍隊
お天道様と公道
民衆にとって天皇とは?
自制を失う「帝国」
主権線・利益線論と物語としての日露戦争
不戦条約と軍隊像の転換
リットン報告書を拒絶、そして満州事変へ ……
Ⅱ なぜ始めたのか、なぜ止められなかったのか
なぜ満州か
国際連盟脱退と各国の思惑
感情に訴える国民向けの宣伝
陸海軍共通の仮想敵・アメリカ
南進論と三国同盟の要点
変わりゆく「中立」
「もやもや」が消えてゆく
対米開戦の裏側
日本の勝算?
日本的「空気」という謎 ……
【解説コラム】「ポツダム宣言」を読む/「終戦の詔書」を読む
Ⅲ 太平洋戦争を「読む」
戦争を支える気分――清沢洌『暗黒日記』
物語を批判する小説――田中小実昌『ポロポロ』
個人と国家の媒体なき対峙――山田風太郎『戦中派不戦日記』
現代日本のこと?――山本七平『一下級将校の見た帝国陸軍』 ……
おわりに(加藤陽子) -
Posted by ブクログ
『将棋は決断のゲームである…決断をテーマに書かれた一挙8編の短編集』という紹介文に惹かれて読みました。
将棋は子供の頃に親に教えてもらって2、3度指したことがある程度でほぼルールも難しいことも分からない状態で読みました。分かってた方が面白いんだろうなぁと思う物語もありましたが、全体的に、話の筋に関わる程度に上手に解説が挟まっていて、あまり調べたりせずに理解でき、読み進めることが出来ました。
強く印象に残ったのは、葉真中顕さんの『マルチンゲールの罠』、白井智之さんの『誰も読めない』でした。
『マルチンゲールの罠』は、最後の最後で、見えている世界がグルンとひっくり返るような感覚がお見事で、読み終わった瞬間、ほわ〜!と感嘆の声が出て、脱力するほどでした。
『誰も読めない』は、読み始めは方言になれなくて、読むスピードと意味を汲み取るスピードが合わずに少し苦労しましたが、途中から気にならなくなるほど引き込まれてドキドキしました。最後は、良かった〜!と安堵。クライマックスへの引き込まれ方が凄かったです。
決断がテーマ、という意味では、青山美智子さんの『授かり物』が、あまり将棋慣れしていない私には一番親しみやすく、また、決断に対しての心の流れに共感して最後は少しウルウルしました。
全体を通して、将棋の世界の厳しさと奥深さにも触れられて、とても興味深く感じた短編集でした。