奥泉光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『浪漫的な行軍の記録』は南方の戦線で孤立無援になった日本軍兵士の行軍の記録だ。とはいっても著者は戦後の生まれのなので、もちろん体験談とは一線を画す。
主人公は弾の出ない大砲(故障ではなく張りぼての大砲。もともと出ない)を上官の理不尽な命令により運び続けなければならない。大砲の名は「国体の精華」…なんと皮肉に満ちた名前だろう。『悪魔の辞典』に載せたいくらいだ。
夢と現を行ったり来たりする描写が、「奥泉さん、またこんな書き方で煙に巻こうとして」と突っ込みたくなる。収束させる気があるのかいつも疑う。でもそこが面白い。
扱っている内容は重いので、もしかしたらもっと深い読み方があるのかもしれ -
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Posted by ブクログ
すっごくおもしろかった、読んでて幸せ、読み終わっても幸せな感じ。これぞ、小説という感じ。ミステリ、歴史、ファンタジー、冒険、SF、ロマンス、哲学、宗教などすべてがつまっているし、場面ごとの雰囲気もすごく動きがあったり、静謐だったり、ほのぼのだったり。そしてとにかく主人公の36歳ジャズピアニスト、フォギーがものすごーく魅力的でファンになった!自分ツッコミが多いし、一見、浮ついているみたいだけど実は繊細で、柔軟性があって前向きで、いい人で、考えが深くて。ジャズの即興演奏は他人を受け入れることだ、とか、他人のために祈ること、とか、深く感じ入って共感するところがたっくさんあった。相棒の佐知子ちゃんもす
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Posted by ブクログ
ネタバレウダツのあがらない30代負け犬ジャズピアニストのフォギーが、「オルフェウスの音階」に導かれ戦時下のドイツに至る大冒険譚。
「ロンギヌスの石」やら「フィボナッチ数列」やら、神秘的なモチーフの断片が散りばめられ、しまいにはオクイズミヒカルまで出現する荒業のメタフィクション。
根底に流れる遊び心満載のジャズ魂から発せられる、人を食ったような展開にまるめこまれながら読んでいくのが気持ちよくてたまんないです。
何よりも、自由闊達に動き回るフォギーの魅力にヤラれました。
中盤の、祈りについてのフォギーの考察は胸に迫るものがありました。
特定の信仰、民族、文化を超えて、祈るということの意味を考えさ -
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Posted by ブクログ
文芸漫談2」1はまだ読んでないのですがまず2からで。見仏記の「いとうせいこうさん」と作品が好きな「奥泉光さん」の対談(ショーかも)
積んでいる本の中に付箋がちょろちょろ見えると胸騒ぎがする。記録しただろうか。題名を見て確かに読んでいる。でも感想を書くとなるとあまり記憶が鮮明でない。だからすぐ書こうと言ったのに(パソコンに低姿勢)
でも断言すると、これは面白かった。
いとうせいこうさんの作品は読んだことがないが取り敢えずデビュー作を読むのがいいらしい。
見仏記は相棒がみうらじゅんさんで相当ぶっ飛んでいたりするので、いとうさんが本筋に引き戻しつつ、ありがたい仏さまを見て歩く、この二人の会話が愉快 -
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ネタバレ綾崎隼さんが将棋のアンソロジーに寄稿してると聞いては読まないわけにはいかない!
今回の綾崎さんの作品は、「僕らに嘘が一つだけ」の2人と同世代の朱莉さんが主人公。もう一度僕らに〜も読み返した上で、こちらも読み返したいな。
一話目は青山さんのお話らしく、前向きな気持ちになる門出の話。
葉真中さんは初読み。ただただ少年の手腕に鳥肌。
弟子にしたかった少年を冤罪から救うという白井さんの話にはびっくり。そういう将棋との絡め方もあるのか。
橋本さんも初読み。この一戦を勝てば夢が叶うという相手への対応って悩ましい。そこで手を抜かれて夢を叶えること、本気で相手してもらって破れること。
芦沢さんは気になってい -
Posted by ブクログ
「将棋」をテーマにしたアンソロジー。
大好きな伊奈めぐみさんの装画が可愛すぎるし。
大好きな青山美智子さんから始まるのだけど、初っ端から泣きそうになった。
「授かり物」
天才棋士と偶然同じ生年月日の息子が、唐突に漫画家になると言い出すお話。
普通の人生って何なんだろう。
分からないのに、「才能」みたいなものを必要とされる職業に就くことに、不安を感じる。
将棋は、「王」を取るゲームではなく、「玉」を取るゲームだったかもしれない、という解釈も、ストーリーに合っていて良い。
他にも、ちょっと怖い話や、奨励会員をめぐるキリキリする話など、豊かで面白かった。
将棋に関する小説が増えてきたよ