奥泉光のレビュー一覧

  • グランド・ミステリー

    Posted by ブクログ

    久々の、得体の知れない面白さ。川越高校~ICU出身の芥川賞作家による、文庫で940ページ、1,300円の小説。解説で二人の作家が実に優れた紹介文を書いているので引用。

    ・「この人、まじで天才や…」(三浦しをん)
    ・「本格ミステリのモチーフと戦記文学の背景とSFの設定を借り、現代文学の方法論を使って書かれた一大エンターテインメント」(大森望)

    まさにこんな感じ。話の訳が分からないのではなくて(分かります)、なんでこんなものが出来上がったのか、そこが分からない。今まで未読ですみません、だけど残り全部未読かと思うととても嬉しい。

    0
    2015年11月14日
  • 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最初は、桑幸の影がうすいと思ったけど最後まできたら開き直って泣いたり、生徒に助けを求めたりが可愛く見えてきた。内容は結構、本格。

    0
    2015年07月20日
  • シューマンの指

    Posted by ブクログ

    冒頭の鹿内堅一郎から里橋優への手紙の謎が、最後の里橋の妹宮沢恵子から吾妻豊彦への手紙で見事に解き明かされるという、特異な構成の物語だが、Youtubeで出てくる曲を楽しみながら読んだ.優の手記が淡々と展開する中で、何故か腑に落ちない部分がずっとつきまとうが、最後のどんでん返しが秀逸だ.

    0
    2015年06月30日
  • 黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2

    Posted by ブクログ

    ほぼ女子大の准教授だが、徹底的になさけない主人公。
    主人公の周りで発生した身近な事件を、文芸部の女子学生が解決するのだが、主人公はおろおろとするばかり。

    時代の風を感じさせる言葉やエピソードが織り込まれながら、田舎の自然や地方色も絡み、混然としかも軽く話が進んでいく。

    気楽に読みながら、あちこちに散らばっているキーワードを楽しむのも良いかと。

    0
    2015年04月26日
  • シューマンの指

    Posted by ブクログ

    なんだか不思議なお話でした。

    前半部分は、クラシックに疎い私にとっては、全くピンとこない内容だった。クラシック好きな人だったら、面白いんだろうなぁ、と思いながらなんとか読み進めた。

    それが、殺人事件が起こり、一気にミステリーへ。シューマンの調べを底に響かせて、思いもよらないクライマックスへ。
    そこからさらに、主人公の妹の手紙によって、世界はガラリと様相を変える。
    前半部分にも、たくさん伏線があったんだなぁ。確かに読みながら、違和感を覚えるきじゅつはたくさんあった。

    誰かの目線で語られる世界と、他の者からみた世界が、こんなにも違うなんて。
    音楽は目に見えないけど、確かにそこに存在する。世の

    0
    2015年03月28日
  • シューマンの指

    Posted by ブクログ

    クラシックの楽曲や演奏に対する詩的な賛美表現や
    作曲家の薀蓄がページの大部分を占めており、
    読中受ける感じとしては、ミステリー小説を読んでいるというより
    クラシック名曲ガイドの類を読んでいるのに近い。

    物語的な起伏もそれほどなく、
    事件といえば高校で起こった殺人事件くらい。

    終盤になって、物語が急転直下を告げて
    物語の土台がひっくり返る様はなかなかに見ものだが
    それを良しとするかついていけない感じを受けるかで
    評価が変わってくる一冊だと思う。

    0
    2014年10月14日
  • 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

    Posted by ブクログ

    沈没寸前の短大から何とか抜けだし、千葉の底辺大学の准教授として赴任したクワコーこと桑潟幸一。
    相変わらず風采も上がらずやる気もないクワコーだったが、教授職とは思えない超低収入に節約生活を余儀なくされ、顧問となった文芸部の生徒達に研究室を占拠されたり、教授達の派閥抗争に巻き込まれ使いっぱしりをしたりする毎日。
    そんなクワコーを、怪事件が毎月のように襲う―。

    ああ…クワコー面白すぎる!
    学園を舞台にしたライトミステリなのですが、クワコーの小説を楽しむにあたって、わたしにとってミステリ部分はメインではありません。

    クワコーシリーズの最大の魅力とは、彼の煩悩のかたまりのような俗人っぷりなのです!(

    0
    2014年05月06日
  • 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

    Posted by ブクログ

    「モーダルな事象」に続く、クワコー(=桑潟幸一准教授)シリーズ(?)の第二弾。
    前作はユーモアミステリ的な要素とホラー的な要素が融合した不思議な作品だったが、今作はひたすらユーモアミステリに徹しており、とにかく笑えました。
    芥川賞作家であり、ミステリー畑でも「グランド・ミステリー」のような大傑作を書く一方、このようなおバカな作品も書ける作者の引き出しの広さには、素直に脱帽するしかないですね。

    0
    2014年02月17日
  • グランド・ミステリー

    Posted by ブクログ

    これはやっぱり 凄い!のひとこと。
    結構以前から奥泉氏は すきでしたが、これは なんか つききれてる感じ。

    種々の要素がからみあい、それでいて、シンプル?な主題をつきつめた一品
    文体も結構きにいってます。
    しかしこのプロットは 計算してこうなってるのか、素?でこうなってるのか。。。いずれにしても凄まじい構成力。脱帽です!

    0
    2014年02月10日
  • 文芸漫談 笑うブンガク入門

    Posted by ブクログ

    漫談という形式で文学を語る。この形式だから、整理されていないまだ理論化されていない思いが文字として固着される。「無意識は他者だと思って良い」とか「のでってのが物語なのでもういやだ。」とか。とっても素晴らしい本でした。続編も読んでみよう。

    0
    2013年11月06日
  • グランド・ミステリー

    Posted by ブクログ

    いままで著者の奥泉光に対する印象は「理屈上は面白いが体感はイマイチ」「他人から説明してもらうとすごく面白そうなのに、自分で読むとそこまでではない」というもの。2、3冊しか読んでない段階での感想だけど、それ以上は追いかけなくてもいいか、と判断していた。
    それがこの『グランド・ミステリー』でかなり変わった。グランド=壮大な、という名に恥じない大作。ミステリーとしても、SFとしても、戦記としても、人間観察としても、面白い。多様な読み方ができる、というのは良作の証拠。
    単行本では上下巻になる分量なのに残り100ページあたりで「残り少ないが大丈夫か?」と楽しさと寂しさの入り混じった感想を持ったということ

    0
    2013年11月05日
  • グランド・ミステリー

    Posted by ブクログ

    これはミステリー?歴史改変小説?それとももしかしたら伝奇小説?
    太平洋戦争を背景に、ジャンルを超え、渾然一体となって、話が進んでいく。

    確かに、『真珠湾攻撃の直後、空母に着艦したパイロットの不可解な死』の謎解きから始まるが、読み進む内に揺さぶられ、何が何だか分からなくなってしまい、一気に結末まで来てしまう。

    よくもこれだけ長い物語をコントロールして構成できるものだと思う。
    もう1回、いやもう2,3回読まないと全部を味わい尽くすことはできないかもしれない。

    0
    2013年10月13日
  • 鳥類学者のファンタジア

    Posted by ブクログ

    ☆4
    「フォギー」ことジャズ・ピアニストの池永希梨子は演奏中に不思議な感覚にとらわれた。柱の陰に誰かいる…。それが、時空を超える大冒険旅行の始まりだった。謎の音階が引き起こす超常現象に導かれ、フォギーはナチス支配下、1944年のドイツへとタイムスリップしてしまう―。めくるめく物語とジャズの魅力に満ちた、ファンタジー巨編。

    最初は「なんかタイトルからして良くわからなそうだし、分厚いし、挫折しそう・・・」と思ったけど、思いがけずスイスイ読めた。途中から1945年のドイツにタイムスリップして、フォギーはどうなるんだろう、方向音痴だし、いい年なのに(失礼!)どこかぼんやりしているようなところもあるし

    0
    2013年10月01日
  • 小説の聖典

    Posted by ブクログ

    いとうせいこうと奥泉光が小説の書き方、読み方、そして小説とは…と二人で掛け合いで語っていく。「作者は読者でもある」に頷いていたら「他人の言葉で書く」に驚愕。私は自分の身に馴染んだ言葉でなければ使ってはいけないと思っていたから。けれど、そうなのだ。読むのは私と私ではない人ならば、読む人がどの言葉でどう受け取るか「私」には決められない。私の身に馴染んでいるかどうかは関係ないのだ。笑って唸る漫談。

    0
    2013年09月30日
  • 小説の聖典

    Posted by ブクログ

    漫談といえば漫談だが話の中身は硬派。いとうがツッコミで、奥泉がボケ。で、結局、いとうがインタヴュアーで、奥泉が自身の小説創作の姿勢やら裏話やらを語ることになっている。奥泉作品のファンにはうれしい本。

    0
    2013年07月22日
  • 鳥類学者のファンタジア

    Posted by ブクログ

    途中のフィボナッチ数列だとか、カラヤンだとか、宇宙オルガンだとか何とかがどうでも良くなるくらい、最後の演奏シーンに感激しました(少し、涙が出るくらい)。

    この小説はジャズだ。間違いなく。

    0
    2013年02月21日
  • 文芸漫談 笑うブンガク入門

    Posted by ブクログ

    この本を読んで、小説が楽しく読めるようになるか、または書けるようになるか、は全然わからない。けれども、この人達の会話は面白い。イロニーとか、世界を言葉で捉えることの難しさとか、難しい語り口で読者を煙に巻こうと思えば、巻けそうな題材を軽妙なやりとりで語り尽くす。でも、この人達のように小説を楽しんで読めるようになれるかは、やっぱり疑問。この人達だからこそ、みたいな所が大きいんじゃないかしら。でも、新しい視点が得られる感じがして、この本自体は楽しい。

    0
    2012年07月01日
  • 世界文学は面白い。文芸漫談で地球一周

    Posted by ブクログ

    大分前に読んだ。とにかく、著者二人の視点が面白い。肩肘張らずに純文学を読み解くのを楽しんでいる。この本に紹介されてる本は読みたくなる。そして、このLIVE行ってみたい。

    0
    2012年04月06日
  • 坊ちゃん忍者幕末見聞録

    Posted by ブクログ

    「坊ちゃん」の世界を幕末に移植したパスティーシュ。ストーリーテリングの上手さで読ませる。時々時空がよじれるのが、作者らしい御愛嬌。

    0
    2011年09月24日
  • プラトン学園

    Posted by ブクログ

    どっかで見聞きしたような?!があふれていてにやにやして読んでしまった。。

    あ、これ知ってるというとき、海馬が刺激されるというか。

    こういうの好き。

    0
    2011年06月17日