奥泉光のレビュー一覧
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なんだか不思議なお話でした。
前半部分は、クラシックに疎い私にとっては、全くピンとこない内容だった。クラシック好きな人だったら、面白いんだろうなぁ、と思いながらなんとか読み進めた。
それが、殺人事件が起こり、一気にミステリーへ。シューマンの調べを底に響かせて、思いもよらないクライマックスへ。
そこからさらに、主人公の妹の手紙によって、世界はガラリと様相を変える。
前半部分にも、たくさん伏線があったんだなぁ。確かに読みながら、違和感を覚えるきじゅつはたくさんあった。
誰かの目線で語られる世界と、他の者からみた世界が、こんなにも違うなんて。
音楽は目に見えないけど、確かにそこに存在する。世の -
Posted by ブクログ
沈没寸前の短大から何とか抜けだし、千葉の底辺大学の准教授として赴任したクワコーこと桑潟幸一。
相変わらず風采も上がらずやる気もないクワコーだったが、教授職とは思えない超低収入に節約生活を余儀なくされ、顧問となった文芸部の生徒達に研究室を占拠されたり、教授達の派閥抗争に巻き込まれ使いっぱしりをしたりする毎日。
そんなクワコーを、怪事件が毎月のように襲う―。
ああ…クワコー面白すぎる!
学園を舞台にしたライトミステリなのですが、クワコーの小説を楽しむにあたって、わたしにとってミステリ部分はメインではありません。
クワコーシリーズの最大の魅力とは、彼の煩悩のかたまりのような俗人っぷりなのです!( -
Posted by ブクログ
いままで著者の奥泉光に対する印象は「理屈上は面白いが体感はイマイチ」「他人から説明してもらうとすごく面白そうなのに、自分で読むとそこまでではない」というもの。2、3冊しか読んでない段階での感想だけど、それ以上は追いかけなくてもいいか、と判断していた。
それがこの『グランド・ミステリー』でかなり変わった。グランド=壮大な、という名に恥じない大作。ミステリーとしても、SFとしても、戦記としても、人間観察としても、面白い。多様な読み方ができる、というのは良作の証拠。
単行本では上下巻になる分量なのに残り100ページあたりで「残り少ないが大丈夫か?」と楽しさと寂しさの入り混じった感想を持ったということ -
Posted by ブクログ
☆4
「フォギー」ことジャズ・ピアニストの池永希梨子は演奏中に不思議な感覚にとらわれた。柱の陰に誰かいる…。それが、時空を超える大冒険旅行の始まりだった。謎の音階が引き起こす超常現象に導かれ、フォギーはナチス支配下、1944年のドイツへとタイムスリップしてしまう―。めくるめく物語とジャズの魅力に満ちた、ファンタジー巨編。
最初は「なんかタイトルからして良くわからなそうだし、分厚いし、挫折しそう・・・」と思ったけど、思いがけずスイスイ読めた。途中から1945年のドイツにタイムスリップして、フォギーはどうなるんだろう、方向音痴だし、いい年なのに(失礼!)どこかぼんやりしているようなところもあるし -