奥泉光のレビュー一覧

  • シューマンの指
    初奥泉作品。恩田陸の音楽モノを読んだ後ってことで、このタイミングで読んでみることにしました。純文学作家が書いたミステリ、っていう認識で読み始めて、途中までは”いやいや、普通に純文学やん”って思いながら頁を繰ってました。まああながち間違いでなく、実際三分の二くらいまでは、シューマンを軸にした音楽論みた...続きを読む
  • シューマンの指
    おもしろかったー。とりあえず通り一遍にしかシューマン聞いてなかったので、改めて聞こう。
    ラスト近く、かなり耽美~な、てかBLつかジュネ?な展開で、あれま!と驚いたw いや、まあアリですが。
    他の方のレビュー読んだらわりと不評が多いのですな。うーん。音楽については、興味はあってもさっぱり詳しくない私に...続きを読む
  • シューマンの指
    音大をめざす高校生が主人公。
    結局音楽の道に進まなかった現在、過去を振り返って語る。
    昨年の夏に読んだ『船に乗れ!』と同じ構造。

    しかし、目には見えない音楽を目に見えるように、本からは聞こえない音楽を聴こえるように、感覚としてわかるような描写が魅力だった『船に乗れ!』とは違い、楽典の講義を受けてい...続きを読む
  • 鳥類学者のファンタジア
    簡単に言うと二人の女性(女の子?)が1944年のドイツにタイムスリップして、そこで右も左も分からない中で猫やピアノと格闘しながら宇宙の真理や祖母の秘密を探る話。軽妙、不可思議、神秘的!

    ジャズのCDをゆるくかけながら読むのにふさわしい本だった。勢いがあり弾けて流れるように続くユーモア溢れる文章、が...続きを読む
  • 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
    3流私大准教授のドタバタ自虐コメディ風ミステリ
    「なんか、この話し知ってるぞ!」と途中で気付いた
    前にドラマ化してたんだよね
    主演が佐藤隆太で倉科カナと桜庭ななみが出てたやつ

    教師陣はまともな人間がいない(笑)
    学生も学生でFランの大学生のイメージそのまんま

    太文字になっているところがあって(あ...続きを読む
  • シューマンの指
    初奥泉。ミステリィとして読み始めたから、最初は読むのが苦痛でした。。特に魅力的な(?)事件も起きず、全く判らない音楽談義(主にシューマン)が永遠と続き・・とても退屈で、よく挫折しなかったものだ。しかし、徐々にではあるが面白く感じられるようになった。そして最後には『マジかっ!?』と、拍手を送りたい。帯...続きを読む
  • グランド・ミステリー
    久々の、得体の知れない面白さ。川越高校~ICU出身の芥川賞作家による、文庫で940ページ、1,300円の小説。解説で二人の作家が実に優れた紹介文を書いているので引用。

    ・「この人、まじで天才や…」(三浦しをん)
    ・「本格ミステリのモチーフと戦記文学の背景とSFの設定を借り、現代文学の方法論を使って...続きを読む
  • 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
    最初は、桑幸の影がうすいと思ったけど最後まできたら開き直って泣いたり、生徒に助けを求めたりが可愛く見えてきた。内容は結構、本格。
  • シューマンの指
    冒頭の鹿内堅一郎から里橋優への手紙の謎が、最後の里橋の妹宮沢恵子から吾妻豊彦への手紙で見事に解き明かされるという、特異な構成の物語だが、Youtubeで出てくる曲を楽しみながら読んだ.優の手記が淡々と展開する中で、何故か腑に落ちない部分がずっとつきまとうが、最後のどんでん返しが秀逸だ.
  • 黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2
    ほぼ女子大の准教授だが、徹底的になさけない主人公。
    主人公の周りで発生した身近な事件を、文芸部の女子学生が解決するのだが、主人公はおろおろとするばかり。

    時代の風を感じさせる言葉やエピソードが織り込まれながら、田舎の自然や地方色も絡み、混然としかも軽く話が進んでいく。

    気楽に読みながら、あちこち...続きを読む
  • シューマンの指
    なんだか不思議なお話でした。

    前半部分は、クラシックに疎い私にとっては、全くピンとこない内容だった。クラシック好きな人だったら、面白いんだろうなぁ、と思いながらなんとか読み進めた。

    それが、殺人事件が起こり、一気にミステリーへ。シューマンの調べを底に響かせて、思いもよらないクライマックスへ。
    ...続きを読む
  • シューマンの指
    クラシックの楽曲や演奏に対する詩的な賛美表現や
    作曲家の薀蓄がページの大部分を占めており、
    読中受ける感じとしては、ミステリー小説を読んでいるというより
    クラシック名曲ガイドの類を読んでいるのに近い。

    物語的な起伏もそれほどなく、
    事件といえば高校で起こった殺人事件くらい。

    終盤になって、物語が...続きを読む
  • 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
    沈没寸前の短大から何とか抜けだし、千葉の底辺大学の准教授として赴任したクワコーこと桑潟幸一。
    相変わらず風采も上がらずやる気もないクワコーだったが、教授職とは思えない超低収入に節約生活を余儀なくされ、顧問となった文芸部の生徒達に研究室を占拠されたり、教授達の派閥抗争に巻き込まれ使いっぱしりをしたりす...続きを読む
  • シューマンの指
    奥泉作品は、面白いものと「なんだかよくわからない」ものがある。
    この作品はかなり面白い。
    ラストのどんでん返しが効いていて、「ええっ?」と読み返す羽目になった。
    ミステリとしては感心したし、シューマンに対する愛情(たぶん、作者の)が噴出していて、凄みのある作品だと思う。
    が、好きではない。

    余計な...続きを読む
  • 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
    「モーダルな事象」に続く、クワコー(=桑潟幸一准教授)シリーズ(?)の第二弾。
    前作はユーモアミステリ的な要素とホラー的な要素が融合した不思議な作品だったが、今作はひたすらユーモアミステリに徹しており、とにかく笑えました。
    芥川賞作家であり、ミステリー畑でも「グランド・ミステリー」のような大傑作を書...続きを読む
  • グランド・ミステリー
    これはやっぱり 凄い!のひとこと。
    結構以前から奥泉氏は すきでしたが、これは なんか つききれてる感じ。

    種々の要素がからみあい、それでいて、シンプル?な主題をつきつめた一品
    文体も結構きにいってます。
    しかしこのプロットは 計算してこうなってるのか、素?でこうなってるのか。。。いずれにしても凄...続きを読む
  • 文芸漫談 笑うブンガク入門
    漫談という形式で文学を語る。この形式だから、整理されていないまだ理論化されていない思いが文字として固着される。「無意識は他者だと思って良い」とか「のでってのが物語なのでもういやだ。」とか。とっても素晴らしい本でした。続編も読んでみよう。
  • グランド・ミステリー
    いままで著者の奥泉光に対する印象は「理屈上は面白いが体感はイマイチ」「他人から説明してもらうとすごく面白そうなのに、自分で読むとそこまでではない」というもの。2、3冊しか読んでない段階での感想だけど、それ以上は追いかけなくてもいいか、と判断していた。
    それがこの『グランド・ミステリー』でかなり変わっ...続きを読む
  • グランド・ミステリー
    これはミステリー?歴史改変小説?それとももしかしたら伝奇小説?
    太平洋戦争を背景に、ジャンルを超え、渾然一体となって、話が進んでいく。

    確かに、『真珠湾攻撃の直後、空母に着艦したパイロットの不可解な死』の謎解きから始まるが、読み進む内に揺さぶられ、何が何だか分からなくなってしまい、一気に結末まで来...続きを読む
  • 鳥類学者のファンタジア
    ☆4
    「フォギー」ことジャズ・ピアニストの池永希梨子は演奏中に不思議な感覚にとらわれた。柱の陰に誰かいる…。それが、時空を超える大冒険旅行の始まりだった。謎の音階が引き起こす超常現象に導かれ、フォギーはナチス支配下、1944年のドイツへとタイムスリップしてしまう―。めくるめく物語とジャズの魅力に満ち...続きを読む