大岡昇平のレビュー一覧

  • 俘虜記

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    第二次世界大戦中にフィリピンで戦い俘虜になった作者が、自身の経験を綴った体験記

    大まかな構成としては、俘虜として捕まるまでと捕まった後に大きく分けられ、俯瞰的な視点から、教養に溢れた文体で自身が観た光景とそこから作者が得た解釈を記載してます。私の視点からすると差別的な表現が一部入っているのは気になりましたが、当時としては、これが一般的な感覚だったのでしょう。
    ネットで見た情報では、大戦中の日本兵俘虜の死亡率は10%程度と書かれていましたが、とてもそんな過酷な感じはしませんでした。俘虜になった場所で待遇が違ったのか、それとも通訳を行っていた作者が恵まれた場所に移送されたのか分かりませんが、想像

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    2024年04月17日
  • パルムの僧院(下)

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    描かれる恋愛については全く共感できそうにないが、現代では大袈裟と取られるようなミュージカルめいた台詞回しは結構好き。
    モスカ伯爵が一番好感が持てるかな。

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    2025年08月16日
  • 花影

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    水商売をし、男をてんてんと渡り歩く女の話。死ぬことを生きがいにしている描写に、精神疾患を持つ私としては妙に共感してしまった。また、服毒する前の儀式のような行動にはへんな安寧があって、美しささえあった。これがフィクションなら、「美しい」だけで終わったものの、モデルがいるという解説には少し胸を締め付けられた。

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    2022年12月23日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

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    「大岡昇平」の戦争小説集『靴の話―大岡昇平戦争小説集』を読みました。

    『野火』に続き「大岡昇平」の戦争小説です。

    -----story-------------
    太平洋戦争中、フィリピンの山中でアメリカ兵を目前にした私が「射たなかった」のはなぜだったのか。
    自らの体験を精緻で徹底的な自己検証で追う『捉まるまで』。
    死んだ戦友の靴をはかざるをえない事実を見すえる表題作『靴の話』など6編を収録。
    戦争の中での個人とは何か。
    戦場における人間の可能性を問う戦争小説集。
    -----------------------

    自らの体験が色濃く反映された出征、戦闘、捕虜生活が描かれた作品なので、小説とい

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    2022年11月11日
  • 武蔵野夫人

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    話の流れは好きだが、とにかく心理描写が読みづらいの一言。
    この海外文学の手法を文学的に楽しめるか否かは分かれると思うが、まどろっこしさを感じてしまう人は一定数いそう。

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    2022年09月27日
  • レイテ戦記(一)

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    レイテ島戦記は「日米の雌雄を決する天王山」と言われたレイテ島での戦いを描いた大岡昇平の小説である。

    レイテ島の戦いに関する日米両国の膨大な資料をもとに、旧日本軍がどう戦い、玉砕していったかが克明に記されている。



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    2021年12月15日
  • 中原中也詩集

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    詩集初心者、初めに中原中也を選びました。
    正直に言うと難しかった!
    当たり前だけどやっぱり詩だし、抽象的だし、授業みたいに解説してくれる先生もいないし。でも、心に残し続けたいと思った。難しいから匙を投げるんじゃなくて、もっと時間をかけて理解していきたい。

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    2021年03月17日
  • 愛について

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    “この道はどこへ行くんでしょうか”―。偶然の邂逅から始まる若い男女の愛。その二年後の妻の謎の事故死。現代の市民社会とその風俗の中に、男と女、家庭、“愛の死と再生”のテーマを“連環”する十章で問う。『レイテ戦記』の著者・スタンダリアン大岡昇平の明晰な認識と意志的試みで構築する独創的恋愛小説。

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    2019年07月17日
  • 俘虜記

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    旺文社文庫版で読んだ。

    自分が期待していたのは、捕虜という特殊な立場に置かれた人間の内面だった。
    この作品は当時の状況を俯瞰的に眺める立場をとっているので自分の期待していたものとは違っていて読むのがしんどかった。地名とか人名がどんどん出てくるのでよく分からなくなってしまった。

    当時の記録として読む分には価値があると思う。実際、これまでの捕虜収容所のイメージと変わったところは多々あったし。

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    2018年05月26日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

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    昭和19年、35歳で召集。
    <私は改めて周囲の米兵を観察し始めた>
    捕虜となっても、冷静な姿勢を崩さないことに驚く、「捉まるまで」から。
    表題作「靴の話」は、ゴム底鮫皮の軍靴は脆く、山中の逃避行でダメになる。
    死んだ僚友から靴を奪いそれを履くというもの。
    <こういう脆い靴で兵士に戦うことを強いた国家の弱点だけが「事実」である>
    戦争の愚かさを淡々と語る。
    それだからこそ、読んでいて怖くなる。
    私は初の大岡昇平さん。
    いくつになっても、知ることは大切だと実感する。

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    2018年04月30日
  • 大岡昇平

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    武蔵野夫人、俘虜記など戦争と戦後を描いた有名な
    話。初めて読みました。
    俘虜記は始めて、戦争というか、戦闘やジャングルでの
    逃走をリアルに淡々と描かれてあるような感じをもちました。

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    2018年04月08日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

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    食わず嫌いで読んでいなかった大岡昇平。
    偏見なんだが、軍隊の悪口のオンパレード、何もかも軍のせい、っていうのかと思ってた。
    私の方が偏ってたわけである。

    なんでこうも冷静なのか。
    兵隊になったり、一般人になったりする瞬間が右往左往する「捉まるまで」
    戦争に行くとき、作家の仲間に「経験じゃなく魂を書け」と言われたのだっけ、生きて帰ってきたら。
    そのとおりにしたのだなぁ。

    今まで読んできている手記は、現役兵とか軍人が多くて、勉強になった。
    別の視点からの、戦争の記憶だろう。大事にしていかなければならない。

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    2018年01月30日
  • 俘虜記

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    大岡昇平については、私は完全に食わず嫌いをしていた。
    よく見かける、生きて帰った途端、軍はだめだって言い出す人の作品だと思っていたのだ。

    ところがどっこい(死語?)、全然違う。
    戦争、というより日本人ということを突きつけられる。厳しい、との一言。

    今でも俘虜ではないか、という一文がねぇ…言葉もない。
    これいつ書いているかと考えると、この時代、そして軍を経験した人が、ここまで冷静にあの時のことを、厳しい目で書けるってすごいよなぁ。
    戦争の残虐さなんじゃない、人間の恐ろしさ。

    日常でも見かける人々がいる。
    だからこそ、読み進めていてどこか居心地が悪い。私もその中の一人なのだから。

    私も俘虜

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    2017年10月28日
  • ながい旅

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    「明日への遺言」の原作
    B級戦犯として起訴された岡田資中将の裁判の記録です。
    小説ではなく、レポートです。
    なので、ぶっちゃけ読みにくいです

    この裁判の論点は大きく2つ
    (1)岡田中将が死刑の判決を下した米兵は俘虜なのか戦争犯罪人なのか?
    (2)その判決を下したときのプロセス

    結果、米兵は無差別爆撃を実施したことを岡田中将はこの裁判で立証します。ってその弁護人がすごいです。
    一方、その判決を下したプロセスは略式の軍律会議ということで、岡田中将は死刑判決を受けることになります。
    しかしながら、全責任は自分にあることを明言し、部下を死刑判決から救うことになります。

    この裁判での岡田中将は堂々

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    2017年10月08日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

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    人生は運命によって定められているものではなく、その時の偶然の積み重ねでできているということを大岡昇平から学んだという友人の言葉に興味を持ち読んでみる。短い間短編集が、どれも戦争という大きな幕の中のそれぞれの出来事を書いている。出征から捕虜になるまで、色んな戦争の形がある。渇き、飢え、マラリア、襲撃。戦争というものにシニシズムな視点を持ち、現場の状況や心理に対して非常に冷静な分析力を発揮し、ガリガリと鉛筆で原稿用紙に出来事を刻んでいる様がうかんでくる。これを書くとき、とてもまともじゃいられないのではないかと思うのだが、さめた温度の文章がリアリズムを強く感じさせる。

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    2016年08月08日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

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    「野火」で初めて大岡昇平の作品を読み、壮絶な戦争体験の中での兵士の心理状態、とりわけシニシズムを余儀なくされる戦争の不条理が、深く心に刻まれた。
    それと比較するとこの「靴の話」(特に前半)は決して読みやすくはない。しかし本書は、出征前の兵士の心理状態や戦線外での日常生活について知ることができる貴重な書である。私たちは戦争のことを思うときはつい戦線のことばかり想起するが、敵軍やゲリラとの銃撃はほんの一部であり、兵士たちが専ら苦しんだのはマラリアや渇きであったことから、異国の地へと送られた先でも「生活」があったことを改めて実感させられた。
    最終章の「靴の話」は、死者の靴を奪うチャプター。靴の有無が

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    2016年03月21日
  • 武蔵野夫人

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    大岡昇平の作品は実はこれが初めてだったが、意外や意外、すらすら読めた。
    昼ドラのようだが、そうではない。
    登場人物達の距離感が好きだなぁと思った
    のは覚えているが、細部を大分忘れてしまった。
    再読しよう。

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    2015年01月25日
  • 俘虜記

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    20141227 スラスラは読めない戦争の記録。戦う事には悲惨な現実も伴うという事を知っておいてもらいたい。ゲームとは違う生身の生を理解するために若い人に読み続けてもらいたい。

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    2014年12月27日
  • 中原中也

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    作品やルックスからは繊細で寡黙なイメージを抱くが、
    中原中也はなかなかめんどくさくて複雑な人間だ。

    文学上の友として喧嘩したり嫉妬しあったりと、
    中原と筆者の関係は常に友好的であったわけではないようだが、
    冷静な分析は非常に説得力がある。
    その一方で、長い年月を経たからこそ感じる、若くして亡くなった友への
    感傷がにじみ出ており、筆者の中原への尊敬の気持ちも感じられる。

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    2013年11月05日
  • パルムの僧院(上)

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    ネタバレ

    池澤夏樹著「世界文学を読み解く」でテキストとして選ばれた10篇を読みながら、講義を受けていくつもりでの読書。さて、はじめて読むスタンダールはいかに。歴史小説にして恋愛小説というジャンル自体になじみがなく、興味もあまりないので苦戦。なかなか進まない。面白さがよく分からぬままなんとか読み続ける。主人公は純粋で情熱的な若者だがなんとも薄っぺらい。年上の女性の寵愛を受けてその庇護の元で生きている。ナポレオン主義に傾倒した貴族の末裔という立場を捨てきれないところがその時代のリアルさなのだろう。もどかしいまま下巻へ。

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    2013年08月28日