大岡昇平のレビュー一覧

  • 野火

    Posted by ブクログ

    身体的・精神的極限状態下での、生存本能と理性の葛藤や、巨大な神の存在への意識、といった思考を追体験するような作品。

    0
    2025年08月11日
  • 野火

    Posted by ブクログ

    大体のあらすじは知っていたが、改めて読むと重い小説。

    ごく平凡な中年一等兵である田村が孤独な極限状況に置かれる事で人を殺し、人肉を食べたいとまで感じる。

    戦争という特殊な状況がそうさせる、と読める一方で現代社会でも人間は状況によっては何をするかわからないとも言える。

    人間の恐ろしさ、そして極限状況で踏み止まる理性。左手が右手を抑えるシーン。

    人間とは何か、難しいテーマだ。

    0
    2025年08月11日
  • パルムの僧院(上)

    Posted by ブクログ

    宝塚のパルムの僧院に、好きな スター さんが出た作品だったんで 読んでみたんですけどやっぱりこのスタンダールさんの作品というのは 、、、そうきたか ていう感じですね
    わりと中身的にはグロいというかエゴイズム満載の人間味溢れすぎる感じが、綺麗な物語にできちゃった宝塚の演出の人がすごい
    ジーナおばさんがかなり 大活躍でしかも 政治的にかなり 活躍されていて スタンダール は元々 政治の話も好きだなっていうのはあるんですけど その面が宝塚 より強調されてるんだなと思いました
    そして スタンダールはフランス人だからなのか イタリアを舞台にして書いてるのにイタリア人をなんかちょっとだけ見下したかのような表現がありますね。 でも フランス人にはできないような愚直さがあるみたいな変な褒め方 なんです。なぜ素直に イタリア人の 感情豊かさが羨ましいと書けないのかしら?

    0
    2025年07月28日
  • パルムの僧院(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    一か月かけて読み切った。下巻は話も盛り上がってきて面白かったが、それでも物語の20%ほどしか楽しめなかったと思う。

    綺麗でどこか淡々としてる文章から、恋に狂う貴族たちの様子が描かれ、恋の為にあの手この手で貴族社会を乗り越えていく様はどこか滑稽な部分もある。この当時の恋愛は信じられないほどの情熱に包まれており、恋のために政治まで動く情熱ぶり。そして貴族界ではそれはそれで仕方ないというような風潮は驚きだ。

    ラストあたりはかなり衝撃だった。これまでの秘密のやりとりから無情の結婚、14か月の未練が遂に成熟したと思えばあの結末。ある意味でこの時代の貴族というのは自由で何でも持っているが、気持ちの面では自由なんてどこにも無く、1番憐れな身分なのかもしれない。

    この作品をもっと楽しむには、ルネサンス期のイタリアやスタンダールについてもっと勉強が必要だったと思う。難しい本ではあるが、一読する価値は十分にあった。

    0
    2025年05月28日
  • 花影

    Posted by ブクログ


    これはほぼノンフィクションで、葉子のモデルとなった坂本睦子を主人公として話が展開される。
    作者の大岡昇平はこの小説になにを託したのか。自らの悔恨か、それとも青山に対する告発か。

    0
    2025年03月01日
  • ながい旅

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    B29爆撃機で無差別殺戮をおこなった乗組員を処刑した岡田中尉の裁判記録である。小説のようなタイトルであるが実際はそうではなかった。米国の裁判では乗組員の捕虜処刑と単純に言われるがそう単純なものではなかった。

    0
    2024年11月28日
  • 武蔵野夫人

    Posted by ブクログ

    心の動きをこうも的確に書くのかと、いくつも線を引いた。
    恐怖に潜む執着、窮地に見せる経済観念、罪悪に裏付けられる快楽などは、普段は言葉にならず心の底に沈殿しているものである。

    ルールはないにも関わらず、その一つから螺旋状に演繹されてゆく心理のやりとりは自然であり、残酷なものだと気付かされた。

    口に出してはいけないものがあり、裏を返せば口に出せるものには真実は現れないということだ。

    0
    2024年06月01日
  • 俘虜記

    Posted by ブクログ

    俘虜となる過程、俘虜としての収容所での生活が描かれている。俘虜として、責任も目的もなくなったことにより、人間の醜さ、エゴイズムが露呈する。
    平和で生活が快適であるからそれぞれの穏健な性格を保つことができているだけで、人間の本質は実際このようなものなのだと思う。
    震災時の避難所等でもこのようなエゴイズムが露呈すると聞く。ある所から逸脱した時、人間はいくらでも醜くなるものなのだと思う。そんなことを見つめさせられる本だった。

    0
    2024年04月23日
  • 俘虜記

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦中にフィリピンで戦い俘虜になった作者が、自身の経験を綴った体験記

    大まかな構成としては、俘虜として捕まるまでと捕まった後に大きく分けられ、俯瞰的な視点から、教養に溢れた文体で自身が観た光景とそこから作者が得た解釈を記載してます。私の視点からすると差別的な表現が一部入っているのは気になりましたが、当時としては、これが一般的な感覚だったのでしょう。
    ネットで見た情報では、大戦中の日本兵俘虜の死亡率は10%程度と書かれていましたが、とてもそんな過酷な感じはしませんでした。俘虜になった場所で待遇が違ったのか、それとも通訳を行っていた作者が恵まれた場所に移送されたのか分かりませんが、想像するに、これより遥かに過酷な収容所もあったでしょうし、これが一般的な大戦中の俘虜の状況かは疑ってもよいかもしれません。
    何にせよ、作者の筆の力は凄く、その文体だけでも引き込まれるものがあります。作者は特別に才能があったのでしょうが、戦前•戦中のインテリ層の教養の高さを思い知らされました。
    個人的には俘虜になる前の描写が、最も印象的で、些細な判断が自他の命運を分ける場面や、死を確信した後に撃てる敵を撃たないと決めたときの心情描写などが、読後も心に残りました。

    0
    2024年08月17日
  • パルムの僧院(下)

    Posted by ブクログ

    描かれる恋愛については全く共感できそうにないが、現代では大袈裟と取られるようなミュージカルめいた台詞回しは結構好き。
    モスカ伯爵が一番好感が持てるかな。

    0
    2025年08月16日
  • 花影

    Posted by ブクログ

    水商売をし、男をてんてんと渡り歩く女の話。死ぬことを生きがいにしている描写に、精神疾患を持つ私としては妙に共感してしまった。また、服毒する前の儀式のような行動にはへんな安寧があって、美しささえあった。これがフィクションなら、「美しい」だけで終わったものの、モデルがいるという解説には少し胸を締め付けられた。

    0
    2022年12月23日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

    Posted by ブクログ

    「大岡昇平」の戦争小説集『靴の話―大岡昇平戦争小説集』を読みました。

    『野火』に続き「大岡昇平」の戦争小説です。

    -----story-------------
    太平洋戦争中、フィリピンの山中でアメリカ兵を目前にした私が「射たなかった」のはなぜだったのか。
    自らの体験を精緻で徹底的な自己検証で追う『捉まるまで』。
    死んだ戦友の靴をはかざるをえない事実を見すえる表題作『靴の話』など6編を収録。
    戦争の中での個人とは何か。
    戦場における人間の可能性を問う戦争小説集。
    -----------------------

    自らの体験が色濃く反映された出征、戦闘、捕虜生活が描かれた作品なので、小説というよりは、戦記や戦争体験記という感じでノンフィクション作品に近い短篇集でしたね、、、

    以下の6篇が収録されており、語注や解説等も充実した作品でした。

     ■出征
     ■暗号手
     ■襲撃
     ■歩哨の眼について
     ■捉まるまで(原題:俘虜記)
     ■靴の話(原題:靴と食慾)
     ■語注 池内輝雄
     ■解説…時代を見つめる者 池内輝雄
     ■鑑賞…優れた小説を「鑑賞」してはいけない 村上龍
     ■年譜 池内敏雄

    『出征』は、中年(30歳代)の「私」が兵士として招集され、敗戦の色濃いフィリピンに輸送されるまでのことを描いた作品、、、

    無謀な戦争に巻き込まれ、抵抗もままならない一市民の姿が浮き彫りにされる物語でした。


    『暗号手』は、フィリピン・ミンドロ島南端のサンホセで、中隊の暗号手として勤務する「私」と、もう一人の暗号手となった「中山」という兵士との関係を描いた作品、、、

    「中山」は暗号手となったことをきっかけに上官たちに取り入り、自身の地位を上げることに成功… 「私」との関係は逆転してしまうが、それが「中山」の死を早めることになったという皮肉な物語でした。


    『襲撃』は、一人の衛生兵がゲリラに襲われて重傷を負い、「天皇陛下万歳」と言って死んだことを描いた作品、、、

    「天皇陛下万歳」は、日本人教育ですり込まれた「型」にすぎないと解説しつつ、普段いばっている軍曹が、襲撃を受けた際に真っ先に逃げがしてしまったという、前線での格好悪い実態が描かれた物語でした。


    『歩哨の眼について』は、敵の動きを見張っている歩哨のことを描いた作品、、、

    エッセイ風の短篇で、歩哨の風景の見え方や倫理状態を描きつつ、力ない一個人と進むべき道を誤った国家・社会が描かれた物語でした。


    『捉まるまで』は、昭和19年8月以来ミンドロ島西部南部の警備隊にいた私が、米軍の捕虜となるまでを描いた作品、、、

    マラリアに倒れ、部隊から置き去りにされ、山中で単独行動をせざるを得なくなった「私」は、遂にアメリカ兵を目にするが、銃を射つことはなかった… 自殺への思いと、喉の渇きとの戦い… そして、不発だった手榴弾… 知らず知らずのうちに運命が生存へ転がっていく姿を描いた物語でした。


    『靴の話』は、粗悪品のゴム底鮫皮の軍靴に関するエピソードから、欠乏(必要)のあるところだけに事実が生じることを描いた作品、、、

    マラリアで死んだ同年兵「松本」の持っていた新品の軍靴を、彼が死んでから手に入れることに成功するが、私もマラリアで倒れてしまい、軍靴が今度は同じ小隊の仲間に狙われていることに気付く… というブラックユーモアたっぷりの物語でした。


    派手さはないですが、心に染み入るような作品ばかりでした、、、

    戦争という大きなうねりの中で、もがいても抵抗できず、飲み込まれていく一市民の気持ち… 生とは、死とは… 考えさせられましたね。

    0
    2022年11月11日
  • 武蔵野夫人

    Posted by ブクログ


    話の流れは好きだが、とにかく心理描写が読みづらいの一言。
    この海外文学の手法を文学的に楽しめるか否かは分かれると思うが、まどろっこしさを感じてしまう人は一定数いそう。

    0
    2022年09月27日
  • レイテ戦記(一)

    Posted by ブクログ

    レイテ島戦記は「日米の雌雄を決する天王山」と言われたレイテ島での戦いを描いた大岡昇平の小説である。

    レイテ島の戦いに関する日米両国の膨大な資料をもとに、旧日本軍がどう戦い、玉砕していったかが克明に記されている。

    戦争を体験しない世代としては、残念ながら遠い話だった。戦争の爪痕がかすかに残るフィリピンを旅行し、いつか読んでみたいと思って読んでみたのだが、大江健三郎氏のように感動はできなかった。

    0
    2021年12月15日
  • 中原中也詩集

    Posted by ブクログ

    詩集初心者、初めに中原中也を選びました。
    正直に言うと難しかった!
    当たり前だけどやっぱり詩だし、抽象的だし、授業みたいに解説してくれる先生もいないし。でも、心に残し続けたいと思った。難しいから匙を投げるんじゃなくて、もっと時間をかけて理解していきたい。

    0
    2021年03月17日
  • 愛について

    Posted by ブクログ

    “この道はどこへ行くんでしょうか”―。偶然の邂逅から始まる若い男女の愛。その二年後の妻の謎の事故死。現代の市民社会とその風俗の中に、男と女、家庭、“愛の死と再生”のテーマを“連環”する十章で問う。『レイテ戦記』の著者・スタンダリアン大岡昇平の明晰な認識と意志的試みで構築する独創的恋愛小説。

    0
    2019年07月17日
  • 俘虜記

    Posted by ブクログ

    旺文社文庫版で読んだ。

    自分が期待していたのは、捕虜という特殊な立場に置かれた人間の内面だった。
    この作品は当時の状況を俯瞰的に眺める立場をとっているので自分の期待していたものとは違っていて読むのがしんどかった。地名とか人名がどんどん出てくるのでよく分からなくなってしまった。

    当時の記録として読む分には価値があると思う。実際、これまでの捕虜収容所のイメージと変わったところは多々あったし。

    0
    2018年05月26日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

    Posted by ブクログ

    昭和19年、35歳で召集。
    <私は改めて周囲の米兵を観察し始めた>
    捕虜となっても、冷静な姿勢を崩さないことに驚く、「捉まるまで」から。
    表題作「靴の話」は、ゴム底鮫皮の軍靴は脆く、山中の逃避行でダメになる。
    死んだ僚友から靴を奪いそれを履くというもの。
    <こういう脆い靴で兵士に戦うことを強いた国家の弱点だけが「事実」である>
    戦争の愚かさを淡々と語る。
    それだからこそ、読んでいて怖くなる。
    私は初の大岡昇平さん。
    いくつになっても、知ることは大切だと実感する。

    0
    2018年04月30日
  • 大岡昇平

    Posted by ブクログ

    武蔵野夫人、俘虜記など戦争と戦後を描いた有名な
    話。初めて読みました。
    俘虜記は始めて、戦争というか、戦闘やジャングルでの
    逃走をリアルに淡々と描かれてあるような感じをもちました。

    0
    2018年04月08日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

    Posted by ブクログ

    食わず嫌いで読んでいなかった大岡昇平。
    偏見なんだが、軍隊の悪口のオンパレード、何もかも軍のせい、っていうのかと思ってた。
    私の方が偏ってたわけである。

    なんでこうも冷静なのか。
    兵隊になったり、一般人になったりする瞬間が右往左往する「捉まるまで」
    戦争に行くとき、作家の仲間に「経験じゃなく魂を書け」と言われたのだっけ、生きて帰ってきたら。
    そのとおりにしたのだなぁ。

    今まで読んできている手記は、現役兵とか軍人が多くて、勉強になった。
    別の視点からの、戦争の記憶だろう。大事にしていかなければならない。

    0
    2018年01月30日