大岡昇平のレビュー一覧

  • 中原中也詩集

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    頭の中を中也さんに荒らされているようです
    ここまでの衝撃は無かった
    内容は充実してるけどちょっと字が小さい

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    2009年10月04日
  • 中原中也詩集

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    「夏」という詩が一番好きです”血を吐くようなものうさたゆけさ”(漢字が出ない・・) あと 千の天使がバスケットボールする!(だったと思う・・)っていうフレーズのある詩 彼の詩は憂鬱な印象に捉えられているものが多い感じがするが 自分はなにか思い切ったサバサバしたものを感じるところがある

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    2009年10月04日
  • 中原中也詩集

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    『山羊の歌』が一番好きかも知れません。『朝の歌』から抜粋。「天井に 朱(あか)きいろいで  戸の隙を 洩れ入る光、  鄙(ひな)びたる 軍楽の憶(おも)ひ  手にてなす なにごともなし。  小鳥らの うたはきこえず  空は今日 はなだ色らし、  倦(う)んじてし 人のこころを  諌(いさ)めする なにものもなし。」  ああ、なんと美しくも切ないのでしょう…!

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    2009年10月04日
  • 俘虜記

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    これは小説?「野火」の方が有名な気がするし、野火の方が小説らしい形。でも、私には俘虜記の後になぜわざわざ野火を書いたのか分からない。文体も内容も完成度が高いと思う。いや、ぜんぜん別物なのかもしれないが・・・。

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    2009年10月04日
  • 中原中也詩集

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    愛読書。数ある文庫の中でも岩波文庫が手ごろなサイズで未刊詩の選別も適切でベスト。思春期前は大嫌いで、思春期後に好きになりました。夏の叙景の言葉がいちばん好き。はっ!人生の夏を迎えないと読んでも言葉がせまってこないのか、な。

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    2009年10月04日
  • 野火

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    気になりつつも敬遠していた一冊。この本を読んだ後だとどれだけお腹がすいてなくても何も食べないという選択をとることが躊躇われてしまう。戦争という特殊な環境下ではあるが本当に食べるものがないという状況になった時、人間はどうなってしまうのかをよく考えさせられた。

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    2025年09月14日
  • 野火

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    読書会の課題本として読む。人肉食の本として名高いこの本、なんとなく敬遠して読んでいませんでした。今回は課題本のため仕方なく読みました。戦記文学ではあるものの、ほとんど敗走のシーンの記述。病院に入院を余儀なくされるも、病院も攻撃されて逃走ジャングルの中をさまよう歩く。たまに友軍一緒になったり1人になったりしながら最後に上に苦しんでいるところ人肉を猿の肉として与えられて生き延びると言う話であった。冒頭部分は作者大岡昇平が病院で田村と言う軍人に遭い、その話を田村本人に小説として書けと言って書いたと言う体裁をとっている。
    自然の描写とフィリピンの風俗が少し出てきて、キリスト教や仏教も少し顔を出す。

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    2025年08月28日
  • パルムの僧院(下)

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    ネタバレ

    実はもう少しジーナ おばさんとファブリス が露骨な恋愛のご関係になるのかと思いきやそこには至らず わりと精神的な結びつきの恋愛関係みたいなので終わりましたね
    そしてどちらかというと牢獄看守の娘さんとしっかりできてしまいまして 最終的に 不倫関係の我が子を我が子として育てたいから死んだことにしちゃおうなんてやってるうちに子供が本当に死んじゃって お母さんも嘆き悲しんで死んじゃって 主人公もそのうち なくなりましたっていう そのたたみかけ はちょっとあの急な展開すぎるのではないかと思いまして 余韻がなかったなあ というところなんですが
    まあ ここまでの全体からしていろんな要素が盛り込まれて 大

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    2025年07月28日
  • 俘虜記

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    ちょっと古い時代の方の本なので文体が読みづらい。戦争の悲惨さと俘虜生活のいたたまれなさ、ちょっとおかしいエピソードなどが綴られる。時間をかけて読みました。こういう本を読むとつくづく今は幸せだと感じます。

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    2025年06月19日
  • 靴の話 大岡昇平戦争小説集

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    ネタバレ

    戦争経験者の小説家、大岡昇平自身のドキュメンタリー小説

    戦争経験者かつ小説家なのでリアリティーが凄い
    空想ではなく経験談なので読書というより勉強に近い、戦争経験者の話を聞くよりこの本を読んだ方が伝わると思う
    村上龍さんのあとがきもとてもいい

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    2025年05月22日
  • 野火

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    高橋源一郎の「ぼくらの戦争なんだぜ」の中でかなりのウェイトで引用してあり、戦争を描いた著作として最も有名な作品とのことだったので、気になって読んでみた。

    フィリピン・レイテ島での、敗残兵としての逃避行のほぼ一部始終が描かれている。最後は発狂して記憶喪失となり、戦後復員して精神病院で欠けた記憶を思い出すが、ふたたび発狂する。

    飢えの末期において(御多分に洩れず)人肉食の葛藤に苦しむ主人公。 (理論を司る左脳支配下の)右手は剣で死体から肉を切り取ろうとし、それを(直感を司る右脳支配下の)左手が右手を握りしめて止める、という明解な、かつ究極的な人格分裂を起こす場面が静かに壮絶だった。この場面は有

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    2025年04月15日
  • 野火

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    舞台は敗戦が濃厚となってきた第2次世界大戦末期。
    田村という一兵卒がフィリピンレイテ島において、生死のはざまの中で島内を彷徨い続ける話である。
    田村は結核を患い所属隊から追い出される。芋6本のみ持たされて。あとはなるようになれ(死ぬでもなんでも)というメッセージである。
    実はこの作品、田村が戦後精神科入院中に、当時を回想しているものである。
    それがわかるのは小説の最後の方なのだが。この視点が加わって、ぐっと理解が深まる。
     
    田村の内省に関する記述がものすごく緻密かつ文学的に描かれていて圧倒される。
    彷徨う中、発狂した将校を観察したり、極限状態で人肉を食すことに抗ってみたり、自ら行った殺人の罪

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    2025年04月01日
  • 野火

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    主人公が達観してるというかまあ知識人って言われてたからそれもあるけど哲学的というか。戦場にいてあれだけ主人公が終始冷静なのにも関わらずあのようなことが起きる。気持ち悪い。蒸し蒸ししてて血の匂いがする小説。情景があまり浮かばないがおもしろい

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    2025年02月11日
  • 野火

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    人間はある境界を越えると何にでもなれるのだ。無限大の可能性を秘めている生き物なのだ。
    それをこんな形で描かれるなんて思っていなかったので絶望して頭を抱えている。
    孤独で在り続けることの到達点のひとつがこれとは思いたくない。
    思いたくない、けれど。

    人肉食という行為に目が行きがちだけど、何かをしたくて堪らないという強い衝動を私は「知っている」んだよね。剥き出しの欲望を目撃して怖くなったし居心地も悪くなった。

    全体的に落ち込むことが多くて読むペース上げることができなかったけど無事に読み終われて良かった。
    塚本晋也版の『野火』を観てるので猿の肉の正体は知っていたけどやっぱ「うっ」ってなったし、そ

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    2025年01月05日
  • 野火

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    極限の状況で人間性を保てるのか。病気で軍をおわれた田村はひとり戦地を彷徨う。単独行の描写は鮮明で狂人のものではない。
    ここでの戦争は既に戦闘ではない。米兵からの逃避であり、怪我や病気、餓えとの戦いである。
    仲間さえ信用できなくなったとき、信じられるのは自分だけとなる。

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    2025年01月01日
  • 野火

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    塚本晋也による同名映画がとても良かったので、その流れで原作も読んでみた。戦争文学の代表的な作品で、筆者・大岡昇平の実体験が基になっている。太平洋戦争末期、敗戦色の濃いフィリピン戦線で結核を患った男が、必死に生きようともがく様が描かれる。男は極限状態の戦場で精神が疲弊し、飢えに苦しみ、「食人」という禁忌を犯すかどうかに揺れ始める。

    何が罪で、何が罪ではないのか。戦場に正解などはない。たとえそれが生きるための仕方のない行為だったとしても、二度と取り返しのつかない不可逆的なものであることには変わりないし、それが絶対にいけないことだとも言いきれない。そもそも本当に悪いのは食人を行った人間なのだろうか

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    2024年09月24日
  • 野火

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    ネタバレ

    我深き淵より汝を呼べり。

    社会から切り離された孤独と近代合理性の失敗である異常な戦時下での人間性の崩壊。絶対的な神の崩壊。

    フィリピンで肺を病み隊から追放され、野戦病院からも追い出された主人公は行く当てもなく彷徨する。あるのは死へ向かう乾いた身勝手な自由。
    山間の芋畑を見つけ飢えを満たすが、遠くに見える教会に心を惹かれ街に降りる決意をする。街は廃墟となっており野犬と死体の山だけだった。

    教会に入り休んでいるとフィリピン人の男女と遭遇してしまい女を銃殺してしまう。街を離れ日本兵と行き合い仲間に加えてもらう。敵の銃撃を越えた先には死屍累々の敗残兵が道のそこここに倒れているという地獄だった。主

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    2024年09月23日
  • 野火

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    ネタバレ

    先に塚本晋也監督の映画を見たので戦争描写のイメージが強かったが、小説を読んでより本来的な内容を味わうことができた。恐らく、この作品のテーマは12章「象徴」で語られている。

    > あの快感を罪と感じた私の感情が正しいか、その感情を否定して、現世的感情の斜面に身を任せた成人の知恵が正しいか、そのいずれかである。(p59より引用)

    飢えて人肉を食べようとする右手は後者で、それを制止する左手は前者になる。殺人は犯しながらも人肉食への衝動には極限まで抵抗するのも、少年時の性的習慣と同じく、それを罪と感じる快感があるからだろう。
    戦争での人肉食という極端な場面で表現されているが、この葛藤は全ての人間が大

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    2024年09月11日
  • 野火

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    フィリピンに行く予定があるので、前々から気になっていた本作を読んでみようと手に取る。

    フィリピン戦線で病気のため兵隊としてはいられないが、物資が乏しい救護班からもケアを受けられない主人公、死を意識してフィリピンを彷徨い歩く。

    戦争の悲惨さも有るが、それよりも主人公の死生観等内面にフォーカスされていて、私的には普通の戦争モノより興味深く読む。本当には分かっていないのだろうが、どんどん主人公の気持ち同化できる自分がいて不思議で面白い。

    久しぶりに時間をおいてまた読みたいと思った本。

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    2024年08月31日
  • パルムの僧院(上)

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    池澤夏樹「世界文学を読みほどく」より。
    殊更にドラマチックな表現をしても違和感がないから、昔のヨーロッパの小説って良いよね。モスカ伯爵の嫉妬の独白とか大袈裟だけど綺麗な表現。
    最初読みにくかったけど、中盤から面白くなる。下巻もたのしみ。

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    2025年08月16日