大岡昇平のレビュー一覧

  • 恋愛論
    かつて途中で読むのを断念した本。
    恋愛してしまった今、改めて読んでみると、なかなか勇気づけられることが諸所にあった。恋愛を楽しもうと前向きになるので、意外にも楽しめた。
    タイプ別あるあるや、恋愛のパターン、恋に落ちるまでの過程が冷静に、まるで科学のように説明されていく様子は歯切れが良い。ドライすぎる...続きを読む
  • 俘虜記
    大岡昇平さんの小説はテレビドラマを見て読んだ「事件」以来かな。俘虜の心理を自ら分析してみせるくだりが秀逸です。俘虜となってから日本に帰るまでが描かれているのでけっして楽しい展開ではありませんが、戦時中の日本人の考え方など理解できました。
  • 俘虜記
    『野火』以来の大岡作品を読もうと思って本作をチョイスしたら、結果的に戦後70年にふさわしい読書となった。まずはこのタイミングで読めたことを喜びたい。さて、肝腎の内容についても、もちろん優れているのだが、なかでも白眉は冒頭の「捉まるまで」。著者が米兵と遭遇し、なぜ銃を撃たなかったかについて冷静に考察し...続きを読む
  • パルムの僧院(上)
    1796年、ナポレオンのイタリア進行に従軍した著者が、動乱の中で徐々にナポリの文化に平常心を見出して行くストーリー。

    ヨーロッパという地続きの感覚がザラザラと、世界史で習ったフレームに色合いを与えてくれるような一冊。
  • 俘虜記
    著者がフィリピン・ミンドロ島で従軍し、収容所で日々を過ごした頃の記録。
    鋭い人間観察と心理描写。
    緊迫した塀の外とは裏腹にコミカルに描かれる収容所内部の様子。
    多彩な人物が織り成す一種の密室劇は純粋に面白く、ページをめくる手が止まらなかった。
    一小隊が飢えのあまりにフィリピン人を撃って喰おうとして、...続きを読む
  • 中原中也詩集
    詩の端々から寂寥、孤独、喪失、死とかのイメージが感じられる。

    『汚れっちまった悲しみに』
    汚れちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる
    汚れちまった悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる
    汚れちまった悲しみに たとえば狐の皮衣
    汚れちまった悲しみは 小雪のかかってちぢこまる
    汚れちまった悲しみは なに...続きを読む
  • 俘虜記
    久々にものすごく時間をかけて読みました。

    戦場での強姦に関する場面など(従軍看護婦なのに実際は従軍慰安婦という感じの、ということや)は正直吐き気がしましたが。

    うまく感想がいえません。こういう戦争モノを読むと何も言えません。
  • 恋愛論
    スタンダールさんは天才過ぎて何が書いてあったのかわかりませんでした。ですが頭がよくなった気分にはなります。気分だけですけど。
  • 中原中也詩集
    自分と向き合う苦しみ、心の叫びを、壊れそうではかなくて美しい言葉で綴っています。中也からランボーやヴェルレーヌを読むことに繋がった。10代の時にとても影響を受けました。
  • 中原中也詩集
    高校生の頃、学生鞄にしのばせていた一冊。
    ぱらりと開いたページからたちのぼる、中也の世界。
    「月夜の晩にボタンがひとつ〜〜〜」
    逃避してたのかも。
  • 花影
    『花影』の続きを、ラーメン屋で、頼んだ赤味噌ラーメン大盛りが出来上がるまで読んでいたら、まずい、落涙しそうになる。
    この小説は、誰にも見られない場所、そう、たとえば、風呂の中だとかで読むべきだった。
    体の底深い部分に振動がくる。
    反射的に体がビクンと痙攣する。
    いかん、いかん。

    葉子に似...続きを読む
  • 中原中也詩集
     中原中也ほど豊かで創造的な言語感覚を持った詩人は、数えるほどしかいない。宮沢賢治と並び、萩原朔太郎を一段ぬけた、それほどすばらしい日本語の使い手であったからこそ実現できた、実験性と古典的リリシズムの見事な結合。
  • 中原中也詩集
    悲しさから一歩引いてみてみると 少年のような無垢なる視点が愛おしい

    純粋であるが故の傷心に同情し そっと中也を抱きしめる

    かくなる我もまた都会の片隅で肩を震わせる一個の口惜しき人なり
  • 中原中也詩集
    だいすき。以下memo…
    32p黄昏、50p港市の秋、64p盲目の秋、90p無題-幸福、130p憔悴、138pいのちの声、
    316p寒い夜の自我像、319p冷酷の歌、338p(吹く風を心の友と)、352p早春散歩
  • 中原中也詩集
    秋日狂乱が読みたくて買った。中也の詩を読んでると苦しくて、涙が出てくる。他には「湖上」が好き。なんでもない平易な日本語が、とてつもなく美しい詩。
  • 中原中也詩集
    頭の中を中也さんに荒らされているようです
    ここまでの衝撃は無かった
    内容は充実してるけどちょっと字が小さい
  • 中原中也詩集
    「夏」という詩が一番好きです”血を吐くようなものうさたゆけさ”(漢字が出ない・・) あと 千の天使がバスケットボールする!(だったと思う・・)っていうフレーズのある詩 彼の詩は憂鬱な印象に捉えられているものが多い感じがするが 自分はなにか思い切ったサバサバしたものを感じるところがある
  • 中原中也詩集
    『山羊の歌』が一番好きかも知れません。『朝の歌』から抜粋。「天井に 朱(あか)きいろいで  戸の隙を 洩れ入る光、  鄙(ひな)びたる 軍楽の憶(おも)ひ  手にてなす なにごともなし。  小鳥らの うたはきこえず  空は今日 はなだ色らし、  倦(う)んじてし 人のこころを  諌(いさ)めする な...続きを読む
  • 俘虜記
    これは小説?「野火」の方が有名な気がするし、野火の方が小説らしい形。でも、私には俘虜記の後になぜわざわざ野火を書いたのか分からない。文体も内容も完成度が高いと思う。いや、ぜんぜん別物なのかもしれないが・・・。
  • 中原中也詩集
    愛読書。数ある文庫の中でも岩波文庫が手ごろなサイズで未刊詩の選別も適切でベスト。思春期前は大嫌いで、思春期後に好きになりました。夏の叙景の言葉がいちばん好き。はっ!人生の夏を迎えないと読んでも言葉がせまってこないのか、な。