著者がフィリピン・ミンドロ島で従軍し、収容所で日々を過ごした頃の記録。
鋭い人間観察と心理描写。
緊迫した塀の外とは裏腹にコミカルに描かれる収容所内部の様子。
多彩な人物が織り成す一種の密室劇は純粋に面白く、ページをめくる手が止まらなかった。
一小隊が飢えのあまりにフィリピン人を撃って喰おうとして、
...続きを読む逆にアルミ缶をドンドン叩かれて集まった仲間にグルグル巻きにされて米軍に突き出されるシーンと、田辺哲学を信奉する学生との煙草の箱をめぐるやり取りが特に好き。
あと自ら投降した兵士達のエピソードの数々。