大岡昇平のレビュー一覧
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中原中也には希望がない。読むんじゃなかった。太宰のような、照れ由来の諧謔もない。このふたり、犬猿の仲だったようで。もっとも、太宰はへらへらしてたんだと思う。同時代の詩人として、感じていることは同じだったと思う。中原が「もうだめだ、悲しい」という諦めの詩を書くところを、太宰は「それは桃の花のようだ」という。
以下、wikiからの引用。
中也は酒癖の悪さで知られ、同席した太宰治に対し「お前は何の花が好きなんだい」と訊ね、太宰が泣き出しそうな声で「モ、モ、ノ、ハ、ナ」と答えると、「チエッ、だからおめえは」とこき下ろした。
やっぱり、太宰がいいのでしょう。 -
Posted by ブクログ
冒頭の「捉まるまで」を読み、その余りにも緻密で分析的な文体...
まったく新鮮な感覚。
今までに読んだ小説とは明らかに違った文体で、どちらかと言えばノフィクションや思想書的な感じにも思えました。
大岡昇平さんは、大戦末期の昭和19年にフィリピン・ミンドロ島の戦地へ送られます。
そして米軍の俘虜となり、収容所で約一年間過ごすことになる...
本書はその収容所での体験記が大部分を占めていますが、そこでは私達がイメージする収容所の過酷さや悲惨さは殆んど無い。
俘虜には、十分過ぎる量の食事を与えられたために次第に肥えていき、喫煙しないものにも配給される煙草を賭博に用いたり、干しブドウから酒 -
Posted by ブクログ
著者の太平洋戦争従軍中の体験である、マラリアに罹り倒れていた所を米兵に囚われ俘虜収容所に送還されて終戦・帰国を迎えるまでの一連を記した自伝的小説。
冒頭の「なぜ自分は米兵を殺さなかったか」という問いを、安易なヒューマニズムに帰着させることなく鋭利なまでに自己の内面を掘り下げていく叙述も凄いのだけど、何より驚かされるのは中盤以降淡々と述べられている俘虜収容所での生活模様。それは、皆が思い浮かべるような「戦争時における非人間的で悲惨な」ものでは全くなく、清潔な住居と被服と2700キロカロリーの食事と非喫煙者にも無差別に与えられる煙草。会田雄次 『アーロン収容所』が書いたのとは異なる、もう一つの -
Posted by ブクログ
前半と後半で違う人が書いたように雰囲気が違っている。
前半は俘虜になるまでの戦闘と慣れない俘虜生活。
一文一文に無駄なく意味が込められ、とても男性的な、硬質の文章であった。
後半は慣れ切った俘虜生活から帰国まで。
なんというか長過ぎる林間学校のようである。
俘虜達がユーモラスに描かれている。
俘虜って暇だったんだなぁ…
戦前の日本人はそこまで綺麗好きではなかったようで意外だった。
筆者が自らをインテリと称し、大衆を見下していると明言する書き方も意外であった。
読んでいて気持ちがよい。
もちろん一小市民としてのインテリであることには度々言及されているが。 -