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貞淑で、古風で、武蔵野の精のようなやさしい魂を持った人妻道子と、ビルマから復員してきた従弟の勉との間に芽生えた悲劇的な愛。――欅や樫の樹の多い静かなたたずまいの武蔵野を舞台に、姦通・虚栄・欲望などをめぐる錯綜した心理模様を描く。スタンダールやラディゲなどに学んだフランス心理小説の手法を、日本の文学風土のなかで試みた、著者の初期代表作のひとつである。
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Posted by ブクログ
戦後の時代背景に書かれている物語だが、変わらず現代でもある展開。 結局、人とのかかわりはなにかのことでこ じれていってしまう。 それがいつの世もドラマや小説の種になる。 古い感じを乗り越えて、二組の夫婦を眺めてみて初めておもしろさがよりますと思う。
スタンダールやラディゲのオタクによる,恋愛心理の分析の教科書。話の筋は通俗の域を出ないが,さまざまな自然描写や独白により上品な仕上がりとなっている。あまりに観念的で分析的な読み方を強要されるのが難ではあるが。
意外と読みやすくて気に入ってた本。いわゆる昼ドラチックな展開だと思う。 だいぶ前に読んだからもう結構忘れてるけど。
ゼミで扱った作品。 『真珠夫人』より昼ドラ感のある作品。 ゼミ生達の討論が最も盛んだった作品。 私個人もかなり夢中になりました。
心の動きをこうも的確に書くのかと、いくつも線を引いた。 恐怖に潜む執着、窮地に見せる経済観念、罪悪に裏付けられる快楽などは、普段は言葉にならず心の底に沈殿しているものである。 ルールはないにも関わらず、その一つから螺旋状に演繹されてゆく心理のやりとりは自然であり、残酷なものだと気付かされた。 口...続きを読むに出してはいけないものがあり、裏を返せば口に出せるものには真実は現れないということだ。
話の流れは好きだが、とにかく心理描写が読みづらいの一言。 この海外文学の手法を文学的に楽しめるか否かは分かれると思うが、まどろっこしさを感じてしまう人は一定数いそう。
大岡昇平の作品は実はこれが初めてだったが、意外や意外、すらすら読めた。 昼ドラのようだが、そうではない。 登場人物達の距離感が好きだなぁと思った のは覚えているが、細部を大分忘れてしまった。 再読しよう。
国分寺が舞台の本だったので、読んでみました。おもしろいか、と言われると正直普通の文学作品という感じでしたが、自分の住んでる場所の話はおもしろく読めますね。親近感もあるし、すれ違う人の中に登場人物みたいな人がいると、「もしかして」なんて思ったりして。 土地柄もあるのか、確かにこんな人いそうだなとか思っ...続きを読むたりもしました。僕が今見ている景色、歩いている道をかつては作者も歩いたかもしれない。そんなことを考えながら、あえて昔の雰囲気を残す建物に出かけて読んだりすると風情もあってとてもいい時間が過ごせることと思います。^^
一昨年ゼミで中原中也の発表をして以来、大岡昇平の作品は一度くらい読んでおこうと考えていてが、先日偶然この本を手に入れたのでやっと読んだ。 物語を要約するとありきたりな昼ドラのように聞こえてしまうだろうけれど、独特な言葉の使い方や細かな場景描写に作品の特異性を感じられた。そしてなにより、大岡昇平自身が...続きを読む戦争で捕虜になったことから、戦争が及ぼす文学への影響を見ることができた点が興味深かった。
難しそうなんて思ってたんだけど、実際読んでみると結構おもしろくってスラスラ読めちゃったわぁ。 フランスの心理小説を手本に書かれてるらしいからかな~? もしかして、私、こういう形態の小説好きだったりする? ボヴァリー夫人のときも、結構面白かったのよね。 そういえば、話の内容も似てるかな? こっちの場...続きを読む合は、同じ敷地内に住む親戚同士の不倫プラス従弟との愛。っつ~の? で、結局、主人公の道子は早とちりしちゃって自殺。。。 うーーーん、似てる。 でもね、これも主要主人公たちの心情っていうのヒシヒシとよく伝わってきて、「わかる、わかる!」って感じ。 一番許せないのは、道子の旦那・秋山。 で、道子は結局、従弟の勉を愛してたけど、一線を越えなかったのよねぇ~。 なんだかとってもキレイな日本人らしい女性だわ~。 最後はちょっと馬鹿みたいだったけど。。。。
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