【感想・ネタバレ】野火のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年10月22日

戦争をしらない人間は、半分は子供である」胸に刺さった…
「どうせ、彼等は私もの言うことを理ないであろうが」無理…
現地にいる兵士のような感覚になる。後半は、怒涛のように読んだ。
死に直面した兵士の物語。淡々と兵士の感情を難しい文体で難しいが、短いのに内容は壮絶…食物の有難さ、こんなんで戦争に勝てない...続きを読む…極限を体験した人に専門家でも絶対に理解できな!家族でもである。同じ体験をした者同士しか理解出来ないだろう…戦争体験した人達に、私達の頭の中の常識や物事なんて、小さな事象に過ぎない事が理解できる。凄い表現力で表してこの小説家の凄さを味わった。極限の中では、私達の理論や論理なんて統一的な物でしかないのがわかる。でも。ある程度統一していかないとダメなのもわかる。難しい…っす!この物語は事実みたい…

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Posted by ブクログ 2020年01月22日

卒論のテーマ。今まで戦争小説に興味があったために。
神や狂気、人肉食といった多くの主題が内包される中で、しかしおそらくはエゴイズムに焦点を当てているだろうと思われる。
文章は心理描写に力点を置いているわけでも美しい日本語でもないが、うまい日本語というか読みやすい

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Posted by ブクログ 2020年01月07日

俘虜記を読んだ時もそうだったが、戦時の比島、戦線離脱して彷徨う一人の兵隊の描きは、どうしても、作者自身の実体験を想起しながら読まされてしまう。極限状態に置かれて、生きる為に取らざるを得ない行為。意思の有無を自分自身確かめながら、本能か否か、飢えに襲われ、骨のみになる肉体同様、心も、剥き出しになるのだ...続きを読むろう。その剥き出しを自ら扱いながら、生を繋ぐという事。人間とは何かという事を探る時、もしかしたから最も単純な手法が飢えかも知れない。ともかく、著者自身がフィリピンで俘虜になっているのだから、その辺の妄想三文文学とは一線を画した重さがある、ズシリとした小説?である。

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Posted by ブクログ 2019年12月15日

これまで読むことがなかった戦争文学の代表的な作品。思っていたよりずっとスマートで読みやすい。
文章がなめらかで映像的、自然描写は美しさすら感じる。著者の高い筆力があってこその技巧なのだろう。だからこその生々しさがある。敵との戦闘場面はほとんどないのにピンと張りつめた緊張感。極限の飢餓状態での人間の剥...続きを読むき出しの本性が淡々と内省的に表現されていている。
「戦争」と「人間」を濃密に描いた傑作。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年10月31日

◯とても面白い。
◯極限の精神状態における、生きることについての思索が、冷徹に貫かれている印象。ただ、後半になるにつれて、錯乱した状況を表すように、読解がかなり難しくなってくる。
◯そこまで分量のない小説ではあるが、読み終わった後に、自分が生きていることについてや、極限状態で事故を保ち続けることにつ...続きを読むいて、考え、悩むことが尽きない。

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Posted by ブクログ 2019年10月20日

この傑作の前に、
塚本監督の『野火』を鑑賞していて、
そのビビットなフィリピンの自然と、
説明が少ないからこそ迫りくるリアリティに圧倒されていたが、
原作を読んだらなんと内的な物語なのか!

極限の状況に置かれたからこそ見いだされる、
倫理性や人間性、そして宗教性。

内省することでしか生き延びられ...続きを読むなかったという事実と、
そのような状況に貶める非情な戦争の愚かさとを、
両極的に浮かび上がらせる物語に、
体の芯が凍てつくようだ。

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Posted by ブクログ 2018年08月22日

210頁余りですが、その何倍も濃い内容で、読むのに予想外に時間がかかりました。病気になり、本隊からも病院からも追い出された田村。熱帯の日差し、誘う植物、雨、身体から立ち上る水蒸気、いたるところに討ち捨てられた死体。そのなかで常に感じる神の存在。「帰らしてくれ」と言った兵士は、帰ることができたらどんな...続きを読む生活を送ったのだろう。復員した方々が多くを語らなかった理由が察せられます。

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Posted by ブクログ 2018年08月19日

戦争文学といわれるけれども、本作で主人公たちが戦うのはもはや敵国ではなく、飢餓と、味方であるはずの者と、崩壊しかける自身の理性。全編を通して誠実で美しい文章。フィリピンの雄大な自然、荒廃した景色は目の前に拡がるよう。その風景の一部のようにして、主人公の内的うつろいもまた淡々と綴られる。簡潔な文章のな...続きを読むかに、状況の悲惨さと、ゆえに麻痺せざるをえなかった感情の悲鳴を感じる。繰り返し読みたい作品。

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Posted by ブクログ 2018年02月08日

昔からいつ死んでもいいと思っていた。
それは死ぬほどの恐怖を味わったことがないからでは?と反論する自分もいて、その度に、もし戦場に立たされたら自分がどうするか、ということをよく考える。

できれば誰も殺したくはない。それを選び取れる強さが欲しい。
身体が弱くて戦争に行かなかったじいちゃんに「もし戦争...続きを読むに行ってたら人を殺してたか」という質問をしたことがある。
じいちゃんは「殺さんなあ。草むらで寝とるわ。」と言っていて、やっぱりこの人好きだなと思った。

この小説はそのもう一歩先の極限状態を描いていて、とても辛くなった。
明らかに自分より頭が良くて冷静な田村がの感情が少しずつ極まって行く。

前半の戦争に対する客観的な視点も良かった。

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Posted by ブクログ 2017年12月06日

戦争という極限状態の中で狂わない人間はいないんだろうな。主人公の思想がどんどん狂っていく様が生々しく恐ろしかった。宗教的。

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Posted by ブクログ 2017年09月06日

流されていく田村が、延々屁理屈(殺したのはこの銃のせいだ)をこねながら、状況的には堕ちていく。
生きるか死ぬか、ではなく、死ぬことを前提としていたのに流されるままに生きてしまう、という展開の中で、
人肉を食べること、だけでなく、その周辺に人が生きること、人間とは何か、といった思考が繰り広げられる。
...続きを読む
状況的な堕落の中でしかし、青春時代に(主に性の絡みで)憧憬を持っていたキリスト教が、折りに触れて蘇えってくる。
内容は自己流、異端。
この極限の状況で、神や救世主を思考するとき、自己流の宗教が生まれてくる。
戦争はダメ、でもなく、道徳や倫理からも一歩退いて、思考思考思考がやがて混濁してくる。
もはや花が振り向いて食べてもいいわよと言い出すくらいだ。
そこにセイントが登場する。右手を止める左半身こそが理性であり神でありセイントと言えるのではないか。(そして現在執筆している私自身)
「もし人間がその飢えの果てに、互いに食い合うのが必然であるならば、この世は神の怒りの跡にすぎない」
という終盤での結論は、自己流宗教の開祖でもある。そして狂人でも。
天使すなわち「神の怒りの代行者」として、殺したかどうか。

猿肉をなかば予想しつつも食べ、猿肉のために殺人が行われていると目撃したあとも、知らなかったのだから自分は人肉食をしていなかったのだ、
と書かせるほどの自己欺瞞を、せざるをえない人間の心理。

終盤で唐突に、この手記は精神病院にいる私が(医師の勧めもあり)書いているもの、と明かされる。
途切れた記憶の部分を書き継ぐことからもわかるように、完全な記録として、ではなく、精神病院にいる現在の想起という行為が、内容にまで絡みついてくる。
この読みが正しいかどうかは不明だが、再三現れていた「見られている」という感覚は、現在書いている私が、過去の私を「見ている」、その裏返しの感覚なのではないか。
とすると、右手を制止した左手の動きは、超自我でもあり、現在の私でもある。
タイムスリップ? 文芸技巧? ともあれ小説でしか果たせなかった部分である。

もとは「100分de名著」に取り上げられていて、中学以来再読したのだが、番組でその精神病院の現在がしっかり扱われていなかったのは、2015年に実写で監督した塚本晋也の作品では「小説の達成」には触れられなかったのではないか。
もちろん映画も見てみたいが、小説ならではの偉業に着目して、読み込んでいきたい。

「ライ麦畑でつかまえて」「河童」「人間失格」など同種の構造の小説でも、もちろん。

ネットで感想を漁っていて、
信仰の書であると同時に背信の書であるという捉え方、宗教文学というよりも超自我とエゴイズムとの葛藤の書であるという捉え方、をそれぞれ読んだ。
個人的にはそれらに重なるようにして、新しい宗教観を身につけざるを得なかった人の書、とも主張したい。

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Posted by ブクログ 2017年08月30日

おやつ食べながら読んでごめんなさいと心の中で田村に謝っていた。不可抗力で猿の肉だと言われて、人の肉を食べたことよりも、人殺しをしたことと食べていいよと言った男のこと、自分の肉なら自分のものだから食べたこと、神かもしれない何かがずっと見ていると言った田村。戦争はアメリカと戦っていたはずなのに、この『野...続きを読む火』ではそんなことはあまり書かれていなかった。人間の尊厳とかそういう言葉にしたらありがちすぎて、もっと違うもののようにも思った。怖くてずーっと読めなかったことも、ごめんなさい。塚本晋也監督の『野火』もみないといけないなと思った。心を殺すぐらい何であろう。私は幾つかの体を殺して来た者である。ずしんとした。 心が死んでも生きているのかな。深すぎてまた最初から読み返したくなる。

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Posted by ブクログ 2017年08月12日

100分で名著で紹介あったので読んでみた。

想像以上にシニカルな内容で
戦争の恐ろしさを考えさせられてします。

戦争は殺される恐怖はもちろんだが
殺す罪悪感・生き延びるための苦しさなど
すべてにおいて非人道的である。

現在、北朝鮮の核問題もあり
今一度、戦争というものに対して
考える時期に来て...続きを読むいるのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2021年04月23日

■極限下の敗残兵の行為に、すべてをそぎ落とした人間の真の姿を見る■

著者は自身、終戦前のフィリピンを体験している。著者の体験記、ノンフィクションかと思わせるほど真に迫る生々しい描写。感情を抑え、醒めた視点で淡々と描写されるグロテスクな映像からは臭気すら漂ってきて僕の食欲を奪う。

小説自体は短いが...続きを読む、文体や用語が固く決して読みやすくはない。それでも僕はいつしか弾薬も食料も希望もなく、見捨てられた敗残兵としてレイテ島の野山をさまよっており、後半は一気に読み進めてしまった。

ある者は最前線での行軍や惨めな敗走を強いられ霧散し、ある者は師団や隊からお荷物として捨てられ、病院でも受け入れてもらえず。生きる希望も死にたいという欲望もなく、ただ死が迎えに来るまで惰性で、あるいは本能で生を続ける。そのために人間はどこまで人間らしさから遠のくことができるのだろう。

現代日本で衣食住に何不自由なく暮らす僕には、この地獄を生き抜いた人間の心情を真に理解することはもちろん、行為の善悪を説く資格などあろうはずがない。
裸の人間の生命力、崇高さ、残忍さがごちゃ混ぜになって、ただただ強く印象に残る。

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Posted by ブクログ 2020年10月21日

著者自身の戦争体験を綴った一冊。壮絶な戦争の一面を現代に残す貴重な記録だと思う。己の命を繋ぐために自身の血を吸ったヒルの血を吸い、乾いた人肉を食べざるを得なかった極限とは。戦争の悲劇のある一面の記録である。

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Posted by ブクログ 2019年08月13日

田村本人の視点で語られる淡々とした文章はどこか現実味がない。人間が禁忌を犯す様を目前にしながらも「思考する人」であり続ける田村。常人が狂人へと変貌する姿は眼を見張る。価値観をがらりと変えられた一作。

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Posted by ブクログ 2019年04月24日

著者が体験したからこそ湧き出てくる感情や感覚が洪水のように押し寄せてきて、受け止めるだけでも大変な一冊であった。子供にはまだ読ませられない・・・

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Posted by ブクログ 2019年03月17日

平成の終わりに戦争文学の傑作を読む。
レイテにおける敗兵の狂気、飢え、諦め、執念。理不尽な死と直面して究極の選択を迫られる、
そこに美しさなどあるはずが無い。
ただ「野火」の詩のような表現、風景の鮮やかな描写。
主人公「私」が自分と向き合う言葉、啓示のようなもの、それらの表現がとても美しく、
文学と...続きを読むして読むことができる。
主人公「私」が友軍と時おり出会っては交わす言葉が、ここは戦場なのだ と生々しく、
その他の詩的な表現との対比が際立つ。
主人公「私」は結局誰と戦っていたのだろう。

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Posted by ブクログ 2018年08月16日

フィリピン戦線での、絶望的な状況の中で何度も死のうと思いながらも、生き残ってしまったものの物語。終盤に、精神病院患者の回想だと明かされる。
圧倒的な描写力と生死について見つめた形而上学的観念が、素晴らしい。
地名がよく出て来るので、地図を片手に読むのがベター。
どこかニーチェの永劫回帰を思わせる描写...続きを読むが印象に残った。
「比島の林中の小径を再び通らないのが奇怪と感じられたのも、やはりこのとき私が死を予感していたためでろう。我々はどんな辺鄙な日本の地方を行く時も、決してこういう観念に襲われない。好む時にまた来る可能性が、意識化に仮定されていためであろうか。してみれば我々のいわゆる生命感とは、今行うところを無限に繰り返し得る予感にあるのではなかろうか」
「人間は偶然を容認することができないらしい。偶然の系列、つまり永遠に堪えるほど我々の精神は強くない。出生の偶然と死の偶然の間にはさまれた我々の生活の間に、我々は意志と自称するものによって生起した少数の事件を数え、その結果我々のうちに生じた一貫したものを、性格とかわが生涯とか呼んで自ら慰めている」

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Posted by ブクログ 2018年06月17日

戦争時のレイテ島での極限の状態が伝わる壮絶な本だった。
田村一等兵も健康なら戦いで死んでたかもしれないからわからないもんだ。

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