牧野修のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
序章、終章含めた15のお話からなります。
どれも面白いのですがいくつか抜粋。
○病室にて―感情を揺さぶるすべてのものが排除される、病とされる時代に生きる小説家。自身で小説を書くことを不能者の自慰と語る彼女は、なぜそれでも物語を紡ぐのか。
○いかにして夢を見るか―今までに一度も夢を見たことがない『私』が夢に想いを馳せ、夢を考える様子を描く。不可思議な世界感に入り込むための手助けか、ユーモラスな会話が魅力的。
○インキュバス言語―解説にはこう紹介されてます。『牧野節B面大爆発』。
日常会話をなんでもかんでも下ネタにもっていこうとするヤロウがどの世代にもおりますが、この物語には勝てないでしょう。 下ネタ変換は電車だけにとどまらず、海山風プレート成層圏を突破して月惑星衛星太陽系銀河ブラックホールホワイトホール・・・と続き最後は何故か聖書の天地創造の場面をエロで再現します。 とりあえず卑猥言語全開。面白すぎる笑
○中華風の死体―世界とは何か。神とは何か。この物語では娼婦である少女が見る夢が一つの世界をつくり、その世界の住民が見るそれぞれの夢が、またそれぞれの世界を作り出してゆく。 夢の住民が崇める「世界の創造主」が幼い娼婦だという事実、そして自分たちの本当の存在意義を知ることとなる。
あんまりグロがないのが残念! -
Posted by ブクログ
救いようのないようなグロテスクな物語を、『カラさん』『絶叫マシン』『黒のオリーブ』『箪笥ズボン』『レトルト・マン』5人のコミカルなキャラクターが彩る。
とはいえ本作のグロさはなかなかのもので、よくもまぁこんなにも人の悪意を凝縮できたもんだなぁ、と。笑
メールを受け取ったことにより住民たちがいつのまにか狂気に侵されていく感じなんかは、人の醜い部分をまざまざ見せつけられてる感じもあったりしてげんなりしますが(それが好きなのですが笑)、後半には、化け物と化した人間、死んだ猫を操る実の父と戦うホームレス『カラさん』、マンションに巣食う禿親父の怪物などなど、これは一体なんのジャンルなんだと思えるぶっとんだ話でございます。
主人公が街で見かけた”壊れた人々”を観察してネットにあげる『浮浪通信』、ホームレス4人とのヘンテコな会話、メールを受け取った人々に起こる超常現象(祟るパンプスや踊る死んだネコetc)など、ただただ怖いお話ではなく、いろんなジャンルを取り込んだお話ですのでとても読みやすいです。途中から出てくる物知りハカセが語る、超常現象の捉え方がとても面白く、そこも読みどころ。 -
Posted by ブクログ
愛娘を惨殺され失意の日々を送るエッセイストの草薙。彼は夜の街でかつての担当編集者であった泉と再会する。以前書いていたライトエッセイではなく小説を書くことを勧める泉。娘の供養になればと自伝を模して書き始めた小説を「屍の王」と命名する。取り憑かれたように書き進める草薙の元には、まだ自分しか知らない内容について批評し示唆する謎の電話がかかる。さらにかつて同名の作品が存在し、著者は妻と娘を惨殺して自ら命を絶っていたことが判明する。―誰かが、いや何かがこの作品を自分に書かせようとしている。そして執筆を続けるうちに、草薙はこの世から自分が生きた痕跡が少しずつ消え始めていることを知る。泉のセッティングで“故郷”へと取材に向った彼は、恐ろしい真実を知る……。
作中の章タイトルからも伺えるが、この作品も記紀神話の「イザナギ・イザナミ」の話がストーリーに絡んでいる。亡き妻イザナミを追って冥界へ降ったイザナギは結局現界へと戻るが、同様に冥界へと踏み込んだ草薙を待っていたのは……。
この作品を完成させることで、この作家は何を為し―何を犯してしまったのか。
ちなみに「付記(あとがきに代えて)」と銘打たれた一文まで気を抜いてはいけない。(了)の文字がこの小説のエンドマークではないのだ。
……なんちゃって。 -
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実は(?)本日引越しでした。世の中、やっぱり何でもその道のプロに任せるのが一番!今日は運送屋さんからガス屋さん、はたまたインテリアデザイナーの方まで「引越し」というテーマでお話ができなかなか楽しい一時を過ごせました。クタクタですけどね・・・。なので今日は引越しに関連付けて「都市」をテーマにした一冊を。
みなさん都市伝説ってご存知ですか?平たく言えば「うわさ」ですが、特に妙に真実味のある奇妙な噂を総称して「都市伝説」と名付けている気がします。良く知られている例として"口さけ女"や"学校の7不思議"なんかがあります。発端はアメリカらしく、まさにそのまま「Urban Legend」。アメリカ発の有名なお話は次の様なものが・・・
ある日、両親がパーティーに出かけ、幼い姉妹二人で一夜を過ごさなければならなかった。姉妹は2段ベッドに寝ており姉が上、妹が下である。両親から「戸締りをしっかりとしなさい」と言われていた姉はその通りに守り、家の窓、ドアすべてに鍵をかけ自分達の部屋へ戻る。妹を寝かそうと思いきや、両親がいないことにはしゃいだ妹はおもちゃを床一面に広げ寝ようとしない。何度も言い聞かせ、ようやく妹をベットに寝かす事ができた。床一面のおもちゃを片づけ、自分も二段ベットの上に上がる。しばらくすると突然姉が「家政婦さんが来た!迎えに行こう!」と言って妹を起こし、外に出ようとする。妹は外に出るなとあれだけ言われたので「嫌だ」と駄々をこねるが、姉は強引に妹を連れて家の外へ飛び出す。そして隣の家まで走り始めた。
隣の家に着き、姉が話したことそれは・・・
「2段ベットと床の間にナイフを持った男が潜んでたんです。妹のおもちゃを片している時、気が付いたんです」。
と、僕が昔仕入れた話はこんなようでした。・・・
ようやく本編、この「都市伝説」をテーマとした9話からなる短編集。口裂け女の話を怪奇的ではなく、ラブロマン的に新たに創作した"わが愛しの口裂け女"。落武者に関する怪談をこれまた別の視点の怖さで描いた"飢えている刀鋩"。学校の怪談の定番を上手く料理した"見るなの本"。死後の不思議な感覚をライトに描いた"名残"、などなど。一瞬「これ都市伝説か?!」と思ってしまうものもありますが、そこは大目に。個人的には、若干苦笑してしまいましたが、ラストシーンが見事な"わが愛しの口裂け女"がお勧め!
KEY WORD>>平成都市伝説
9人の作家が都市伝説をテーマに物語を作成したオムニバス作品。夜のバス停で助けた女性はなぜか大きなマスクをしていた。助けた後も、会う事を重ねていた二人であったが、その女性には不思議な癖があった。その癖を知った主人公は・・・。口裂け女の物語の恐怖を脇に置いて書かれた作品"わが愛しの口裂け女"より。 -
Posted by ブクログ
幻想+SF短編集。
実と妄想の狭間、今見ているのが現実なのか見えてさえいれば現実なのか、
それが夢じゃないと何故言い切れるのか、それは誰かの夢じゃないのか。と言った
自己の存在を曖昧とさせるような幻想小説を書かせたらぴか一な牧野さんの幻想SF短編集。
奇抜な設定でありながらぐいぐいとその世界観に引き込む文章力が相変わらずとても秀逸。
第一章と四章の話しがかなり好きです。
この構成はわざとでしょうか、
以下、特に気に入った、面白かった作品の感想。
「いかにして夢をみるか」
夢を見ることがないぶら下がった女が、なぜ自分は夢を見ないのだろう、と隣のぶら下がった男に訊く。
生きている誰もが夢を見るというのなら、自分はもう死んでるのではないだろうか。
◎この手の話しを読みなれている人ならピンと来るオチです。
それでもその表現の仕方がすばらしい。
「憑依奇譚」
牧野さんにしてはかなり異色。
ある意味びっくり。
つまりかなり一般向けなのか読みやい構成な話しでした。
自殺しようとしていた女が、どうせ死ぬならその体を頂戴と謎の存在に体を憑依される。
その後自殺しようとしていた女と憑依者との会話で物語が展開。
ここら辺会話がコミカルで軽妙。
なかなか後味も良い終わり方。
「付記・ロマンス法について」
ある意味感動。
牧野さんの作家活動に対する姿勢が感じられる。
ホラー作家である主人公はあるときロマンス法とやらの成立のせいで
ホラーなんてものは世の中に何の役にも立たない。
もっとまとも小説を書けと説得させられて、恋愛小説を書かさせることになる。
何の役にも立たないかも知れない、それでも現実にはありえない、見ることが出来ない、
感じる事が出来ない、だからこそそんな物語が書きたい。
それが現実逃避というならそうだろう、そんなふうに思ってもらえるような作品が書きたいのだ。
まさにその通り!
現実にありえないからこそそんな物語が読みたいのじゃないです!