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二十年前の破滅的な隕石落下により、大阪は異形の街と化した。落下地点から半径六キロは、現在も危険指定地域とされ、ここを中心に、五感で世界と融合するドラッグ「ネイキッド・スキン」や、全身の皮膚がゼリー化する奇病「麗腐病」をめぐり、人類社会崩壊の予兆の中、変容してゆく人の意識と世界が醜悪かつ美麗に描かれる。ホラーの鬼才が満を持して世に問う、空前のテクノゴシックSF巨篇。第23回日本SF大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
皮膚とは?相手と気持ちを通じあい触れ合うとき、絶対的な膜となり結合を阻止する皮膚とは? SFあんまり知らない頃に読んだけど、閉鎖空間好きだったんでめちゃくちゃ面白かった。
なかなかに感想を語りづらい作品。 ただし、とても面白かった。 過程でしかないような場面はひとつもなく、あらゆる場面が強烈なヴィジョンと灰汁の濃すぎるキャラで描かれてるせいで、常に刺激的。 最終的に、なんでこんなことに……と考えそうになるほど異世界に連れてこられるが、支離滅裂なわけでもなく、それ...続きを読むまでの情報や謎は終点で交わる。 ギトギトでありながらも独特の美学が濃密に漂うこの感覚を、自分は味わえてよかった。
3ヶ月くらいかけてゆっくり読んだ記憶があります。 個人的に麗腐病の症状がかなり好きです。 世界観がもう素敵すぎです。SFに惚れた瞬間でした。
物語の舞台は、20年前に守口市を中心に半径約6kmの範囲に渡り隕石のシャワーが降り注ぎ、壊滅的な打撃を受けた近未来の大阪。隕石落下地点からは謎の奇病「麗腐病」が蔓延し、落下地点近辺は厳重に隔離された危険指定地域「D・ランド」と呼ばれている。肉声を使わずコミュニケーションを取る若者たち、着るだけで外見...続きを読むだけでなく体型すらも変えてしまう全身スーツ、触覚を拡張する違法ドラック「ネイキッド・スキン」・・・退廃的かつ刹那的な快楽に満ちた異形の大阪に、彗星のように現れた天才的デザイナー・七道桂男。カリスマ的魅力を持ちながら悪い噂も絶えない彼の周囲で、様々な事件が起こり始まる。桂男の身辺を調査する謎の男や桂男に心酔する少年、気弱な探偵や訳知り顔の女。掴みどころのない謎に近づいて行く彼らの前で世界は加速度的に異形の度合いを増してゆき、そこに立ち現れるのは「傀儡后」と名乗る異形の女だった。桂男の狙いは、そして傀儡后の正体は?危険指定地域では何がおこっているのか? これはひどい。 ←注:褒め言葉ヽ( ´ー`)ノ ストーリーとしては破綻している、といって差し支えありません。謎が回収し切れていませんし、キャラクターの人物造形が首尾一貫していませんし、やたらアクの強いキャラ設定をしている割にはそれを生かし切れていません。登場する様々なガジェットの唐突感、派手な割にその後に繋がらない収まりの悪いエピソード、ストーリー展開上たいして必要性を感じない少年愛・性転換・アブノーマルなエログロ描写。何と言うか、作者の趣味がダダ漏れしている怪作です。 こうして印象を列挙してみると、ちょっと手に取る気にはなれそうにないのですが(^_^;、意を決して読んでみると、これが面白い! ストーリー上の収まりの良さや納得感を期待しては行けません。そういう意味で、この作品は「SF」とは言えないかもしれません。が、そもそもストーリーはあって無きが如しの作品です。冒頭からぐいぐいと押してくるイメージの奔流、悪趣味全開でユーモアすら漂ってくる超個性的な筆致、そして特筆すべきは絢爛華麗でビジュアル感溢れる肉体感覚の描写。こうした雰囲気を楽しむのが、おそらくこの作品の正しい楽しみ方。ストーリーは二の次ではありますが、テーマは明確です。この作品は、「皮膚と世界を巡る物語」。自己と世界を峻別するツールとしての皮膚に着目する、その発想はまさにSFそのものです。 こうして印象を文章化してみて、改めて気づきました。これ、ワイドスクリーン・バロックそのものですね。 細かいことはつべこべ言わずに、イメージとアイディアの奔流に飲み込まれて気持ちよく酩酊せよ!というタイプ。扱われている題材自体は決して好きなタイプの作品ではないんですけど、忘れられない作品になりそうですわ。
隕石が堕ちて受精した胎動する街の物語。 繋がりたい触れたいという欲望を振りかけ暴力と狂気と血肉と汚泥を掻き混ぜ踏み潰しペースト状にした混沌のなかに・・・狂おしい美しさがあります。 フェティッシュな身体感覚に陶然とした気持ちになりました。 これは耽美小説なのです。
どこが「ゴシック」なのかと尋ねられると困るけれど、やはり読んでみれば「ゴシックであった」としかいいようのないSF。 「触れる」「触れられる」ということのもつ意味を少し考えます。つきつめれば「触覚」による受胎の物語といえるのかも。
キャラが、本当にキャラがいい。これを読んでからというもの、ナイロンをなんともいえない目線から見るようになりました。
武智好きだけど話には一切関わってこない。 でも好きだ。 あと涼木さんの弟。 キャラとか設定がすごく好きだけど色々詰め込みすぎて生かしきれてない感がするけど、話はちゃんとまとまってはいてぎりぎりする。 あとがきが可愛すぎる。 ナイロンを見ると傀儡后を思い出す。
最初はただの近未来小説なのかと思っていたのですが、物語が核心へと近づくに連れて、世界と皮膚との関係にのめりこんでいきました・・。 キャラクターも個性が出ていて、一人ひとりが魅力的でしたね。
牧野修ワールド全開でもう何が何だか。中盤までは夢中で読んでいたんだけど、さ、最後までついていけたひといるのかな……?
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