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Posted by ブクログ
初ラノベ(多分)。頂きものを拝読。
2人の人物が入れ替わるというパターンの話は時折見かける。
古くは「とりかへばや物語」だろうか。平安期の物語で、男っぽい女の子と女っぽい男の子が入れ替わって互いのふりをしたことにまつわる騒動の顛末である。
これにSF要素が加わると、互いの心が「本当に」入れ替わってしまう。少年と少女が入れ替わる筋立てで、「転校生」として映画化もされた山中恒の「おれがあいつであいつがおれで」あたりがよく知られた作品だろうか。
さて、本作では性別の壁どころか、種の壁を乗り越えて、柴犬とご主人が入れ替わってしまう。
ご主人はイケメンかつ頭脳明晰な大学生で俺様キャラ。柴犬はのほほんとしたお気楽タイプ。ご主人は萩兎(はぎと)、柴犬もハギト(ご主人の父親命名)。
2人(1人+1匹)は、散歩中に雷に撃たれてしまう。その衝撃で人格(犬格)が入れ替わる。
さぁ、どうなる!?
・・・いや、ありえねぇ、わけだが。
意外とこれがおもしろい。
俺様な萩兎は非常に傲慢なわけである。俺より頭がいい奴はいない。世の中バカばかりだ。常に人を見下し、社会性ゼロ。
対して犬のハギトは人(犬)がよくてかわいいヤツ。一途にご主人を思い、人のいうことを素直にはいはいと聞く。散歩というと、わふわふ出かけ、誰にでも元気に挨拶し、草むらに虫を見つければ追いかけて行ってしまう。・・・まぁおバカ犬である。
これが突然入れ替わるわけだから、周囲は心配する。
突然、萩兎がいい奴になってしまった!(でもおバカ) 事故のせいなのか、不憫だ(でも性格はこっちの方がいいからっ!) このあたりの機微が超絶おかしい。
犬が人間の身体に入り込んだだけで、突然、言葉が通じるようになるのもヘンといえばヘンだし、犬のハギト(実は萩兎)が偉そうにしゃべり、かつその言葉が萩兎(実はハギト)にだけわかるというのもおかしいけど、まぁここはそうでないと話が進まない。
で、萩兎は、リハビリがてら(身体は治ったようだが精神的に以前とは違う)、父の旧友が営む書店にバイトにいくことになる。この書店の娘が萩兎とは幼なじみ、唯一、萩兎の人を食った態度に釘を刺すことができる、気が強いハル子。
バイトとして、俗に言う「枯れ専」=オジさま(というかオジイさま)好きの鯉渕七子が働いている。
ラノベらしく、キャラが立った、というか、濃ゆい感じでなかなかよい。
街の書店のありよう・経営努力もそこそこ読ませる。
金沢という街の気候・風土、古都としての文化、茶屋街、和菓子なんかも風情がある。地方でずっと生きてきたハル子の父と、一度東京に出てUターンしてきた萩兎の父との、気心が知れたのもならではの歯に衣着せぬ口論もおもしろい。方言の使い方も生きている。
が。メインとなるストーリーがどうもなぁ・・・、と個人的にはそこが引っかかった。
萩兎とハギトのヒト・犬(犬・ヒト)コンビが、スーパー賢い萩兎の能力で事件を解決していくことになるわけである。萩兎はネットワーク理論なんかも学んでおり、その彼が犬ネットワークも駆使して推理を働かせる。
設定としては悪くないし、これに絡めた2人(1人+1匹)のやりとりもおもしろいのだが。
出てくる題材が、当たり屋詐欺、ヤミ金、ストーカーに嗜好性の放火癖、サイコパスすれすれの人格、と、今日的といえば今日的だが、相当えげつない。のだが、人間性への洞察がある、という感じでもない。おまけにここに「善」をなそうとする神様気取りの「悪」が絡む。こいつの理念が何だか薄っぺらい。事件は一応解決するが、この落としどころはどうなのか?ともやもや感が残る。
この舞台設定に謎解きってほんとに必要なの? もしそうでも、もう少し、「日常の謎」的なものでもよかったんじゃないの? と言いたくなるくらい、事件解決のカタルシスが薄い。
まぁ、柴犬飼いとしては、最後までハギトが不幸になるのを心配していたわけで、そこはよかったな、というラストではあった。
何にせよ、初ラノベ、文句を言いつつ、それなりに楽しくは読んだのだった。
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