牧野修のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夏の角川ホラー祭。読み始めたら短編集だったので、他の短編集と交互に読んでみたよ。
何も取り柄のなかった男が、解錠に関する塾に通い始め、才能に目覚める。講師よりも見事な手筈で様々な鍵を解錠していく男に、厄介な鍵を開ける依頼が来るが…(幻影鍵)。
長編だと思って読み始めたら、最初の1篇から思い切り嫌ーな雰囲気満載で、こりゃきついなーと思っていたところ、幸いにして短編だった。ほんと短編で救われた。
☆を4つもつけているが、10人読んで9人が不快に感じて、6人くらいは挫折する後味の悪さであるが、ここまで徹底されているのは、角川ホラー文庫としても見事である。
短編という形で無理やり短く収めるために、先ほど紹介した作を含め、終り近くからぼんやりと完全に収束せずに終わる作品が多い。その辺りも後味の悪さにつながっているのではないかと考えられる。
表題作は1作目から最後の短編につながっているのだが、これは続ける意味があんまりわからないなー。本としての最後が締まってもいないし、もうちょっと訳のわからない異形に食い荒らされるってので良かった気がする。
まあ、角川ホラーとしては良いほうだけど、万人にオススメではないです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレドラッグによるトリップ感覚の描写が新鮮だった(とくに五感のそれぞれが入り交じって、音声を色で感じたりするところなど)。舞台設定はそれほど新しいものではないが(この辺に関してはマンガのほうが確実に先を行っている)、18才になったら出ていかなければならないという設定が、子供という刹那的で限定された存在をうまく表している。中盤がちょっとダレたが、最終話でマイティマウスが復活するところは、ビシッと決まっていてかっこよかった。19960927
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最終話のマイティマウス登場のあと、マウスたちのシンクロの最後にツクヨミとチハルが叫ぶのがかっこいい。「言葉で戦う」という発想は新しく、あふれる言葉のイメージもそれっぽいが、ちょっとゴシック趣味が入っているのが苦手(マウスたちのファッションについての記述もそう)。最後に銀色の巨人が現れて、機動隊を踏みつけていくというラストはちょっといただけない。やっぱり言葉に関するような形でかっこよく締めくくって欲しかった。共感覚のイメージはいろいろと使えそう。解説では「意識の変容(アルタード・ステーツ)」について書いてあったが、ティモシー・リアリーとかそのあたりの本も読んでみたい。20020822 -
Posted by ブクログ
長身でクールな美女アトムと、ゴスロリ美少女ウランの2人が、セクハラ男やストーカー男などを、次々に血祭りにあげていくスプラッタ小説です。やがて2人は、彼女たちによって粛清された男たちの背後にひそむレイシストたちの秘密結社「メガロファロス」との最終決戦に突き進んでいきます。
アトムは破壊と殺戮の女神マハーカーリー、ウランは徹底的な快楽主義者と、主人公の2人がヒューマニストや女解放論者たちからもっと遠い存在として設定されているところに、本作がサブカル的想像力が全力でジェンダー・スタディーズの地平を超えようとする試みであることを感じさせます。
個人的に、もっともアニメ化してほしい小説です。あくまでサブカル目線での話ですが、実現すれば閉塞感を吹き飛ばしてくれると本気で思っています。 -
Posted by ブクログ
物語の舞台は、20年前に守口市を中心に半径約6kmの範囲に渡り隕石のシャワーが降り注ぎ、壊滅的な打撃を受けた近未来の大阪。隕石落下地点からは謎の奇病「麗腐病」が蔓延し、落下地点近辺は厳重に隔離された危険指定地域「D・ランド」と呼ばれている。肉声を使わずコミュニケーションを取る若者たち、着るだけで外見だけでなく体型すらも変えてしまう全身スーツ、触覚を拡張する違法ドラック「ネイキッド・スキン」・・・退廃的かつ刹那的な快楽に満ちた異形の大阪に、彗星のように現れた天才的デザイナー・七道桂男。カリスマ的魅力を持ちながら悪い噂も絶えない彼の周囲で、様々な事件が起こり始まる。桂男の身辺を調査する謎の男や桂男に心酔する少年、気弱な探偵や訳知り顔の女。掴みどころのない謎に近づいて行く彼らの前で世界は加速度的に異形の度合いを増してゆき、そこに立ち現れるのは「傀儡后」と名乗る異形の女だった。桂男の狙いは、そして傀儡后の正体は?危険指定地域では何がおこっているのか?
これはひどい。 ←注:褒め言葉ヽ( ´ー`)ノ
ストーリーとしては破綻している、といって差し支えありません。謎が回収し切れていませんし、キャラクターの人物造形が首尾一貫していませんし、やたらアクの強いキャラ設定をしている割にはそれを生かし切れていません。登場する様々なガジェットの唐突感、派手な割にその後に繋がらない収まりの悪いエピソード、ストーリー展開上たいして必要性を感じない少年愛・性転換・アブノーマルなエログロ描写。何と言うか、作者の趣味がダダ漏れしている怪作です。
こうして印象を列挙してみると、ちょっと手に取る気にはなれそうにないのですが(^_^;、意を決して読んでみると、これが面白い!
ストーリー上の収まりの良さや納得感を期待しては行けません。そういう意味で、この作品は「SF」とは言えないかもしれません。が、そもそもストーリーはあって無きが如しの作品です。冒頭からぐいぐいと押してくるイメージの奔流、悪趣味全開でユーモアすら漂ってくる超個性的な筆致、そして特筆すべきは絢爛華麗でビジュアル感溢れる肉体感覚の描写。こうした雰囲気を楽しむのが、おそらくこの作品の正しい楽しみ方。ストーリーは二の次ではありますが、テーマは明確です。この作品は、「皮膚と世界を巡る物語」。自己と世界を峻別するツールとしての皮膚に着目する、その発想はまさにSFそのものです。
こうして印象を文章化してみて、改めて気づきました。これ、ワイドスクリーン・バロックそのものですね。
細かいことはつべこべ言わずに、イメージとアイディアの奔流に飲み込まれて気持ちよく酩酊せよ!というタイプ。扱われている題材自体は決して好きなタイプの作品ではないんですけど、忘れられない作品になりそうですわ。 -
Posted by ブクログ
幼児虐待はなぜ起こるのか、というのは、謎と言えば謎だし、でもそれは人間界?だけの話で、自然界ではそれほど不思議ではないわけで。だからといって心理的には虐待は許せんよなぁ、というのが一般的な考えだけど、その多数派に対する少数派(この本では虐待派)というものの意義というものも(テーマが幼児虐待なので一般的に見れば少数派もなにもないけども)、あるのだろうか、とか。
でもって虐待が起きる場合のほとんどは、子どもが育てにくいとか、そういったところだと思う訳で、きっと自然界では勝手に淘汰されていくんだろうけど、人間界ではこの摂理に逆らって子どもは全て保護されている方向で、そうなった時に将来どうなっていくんかなぁ、なんても思ったり。
まぁ要するに、幼児虐待ダメよって言ってるだけじゃ何も解決せんよな、と思う訳で。