[ドッグ・デイ] DOG DAY:★★★★
メインのプロットは崩壊した家庭の父親が息子を探しにネバーランドへやってきて、息子を連れだそうとすること。まあ普通の小説でもこういう話で無事に息子を連れ出せてハッピーエンドっていうのはないから、必然的に子殺し、親殺しの話にならざるを得ないだろうけど、この話で特筆するべき点は、<印刷屋>と呼ばれる奴らが、他人に自分の全人格を刷り込んで乗り移ることができるってところ。ますますサイバーパンクになってきて、これはもう「冬のマーケット」でしょう。
今回の話は臭いが重要なポイントで、臭いに関する蘊蓄がなかなか興味深い。色が3つの要素からできているように、臭いは20~30の要素からできているのに、それを表す言葉は非常に少ないとか。
[ラジオ・スタア] RADIO STAR:★★★★
シリーズ中の個人的ベストはこれかな。全員がドラッグを使用しているという特性を利用して、他人に自分の作り出したイメージを見せるラジオ・ゲームの設定もいいけど、ハエが住んでる家の不気味なイメージがなんといってもこの話の目玉。ラジオ・ゲームで人魚を見せて捕まえた人間を燻製にするのもきてるけど、内臓を抜いて手足を特定のポーズに縫いつけ、腐り落ちた眼の替わりにボールを入れているという死体はきてるわ。あとママと呼ばれている太った女が溶かしバターの入った挽肉しか喰わないというのもなんか神経症的で気持ち悪い。いや俺はもうあっさりしたものが好きですよ。
それから、サクミがスワンのラジオ・ゲームだったっていうのには意表を突かれた。前の話のペヨトルの正体もそうだったけど、この作者ってこういうミステリ的な仕掛けもうまい。子供の時の悪意のない悪戯っていうのとはちょっと違うかもしれないけど、「MEMORIES」の子供が屋根から落ちて死ぬところを思い出してしまった。
[モダーン・ラヴァーズ] MODERN LOVERS:★★★
ネバーランドの外の話という意味でも、現実の世界とのリンクという意味でもシリーズの中ではちょっと異色の話。でもカッターでいきなり首の頸動脈を切ったり、指で眼を突いて潰すとかいう描写が必ず入っているというところは、はずしてないけど。
でも、家出少女と、病気持ちの不良少年と、それを追いかける謎の組織の男たちいう設定は古いよね。好きだけど。