あらすじ
ネバーランドは子供の島だ。河口に浮かんだ廃墟島に生きる子供たちは、腰に接続したカクテル・ボードから24時間ドラッグを大量摂取し、主観と客観、夢と現実が交錯する魔法の世界に住んでいた。他人の精神に意識を刷込む少年、幻覚の人造人間を操る少女。さまざまな力を発揮する彼らは、自らを「マウス」と呼んだ―フリークな少年少女たちの楽園を、SF界の新しい才能が、特異な言語感覚で描いたパンク・ノヴェル。
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Posted by ブクログ
言うなればドラッグアクション小説。言葉と幻覚の魔法アクションです。
「子供たちは、腰に接続したカクテル・ボードから24時間ドラッグを大量摂取し、主観と客観、夢と現実が交錯する魔法の世界に住んでいた。」という意味のわからないあらすじ。なのにするっと世界に入れる不思議さ。よくわからないものをそれとして楽しむのではなく、なぜか理解できるのがこの本の非常に面白いところでした。
ものの名前に神話や聖書に関連したものが使われている厨二病感、あの時メインだったキャラがあっさり死んでいる退廃的感ある描写など、世界観が大変魅力です。他の作品も読みたい。
Posted by ブクログ
これは面白い!SFって科学技術の先端を想像力で伸ばしていくものって今のところ定義しているんだけど、これは化学の先端を伸ばしている感じ。伸ばすための補助線として使われてる自己とか主観/客観なんかの蘊蓄も良い感じ。伸ばした先が魔術的な世界ってのはSFとしては好き嫌い分かれちゃうかも?
外界から隔離された子どもだけの国、ネバーランド。そこではドラッグ漬けになってる子どもたちが客観を主観でねぶりながら暮らしている。交わる主観の表現がなかなか中2心をくすぐるなぁ。好き。
最後はちょっと物足りなかったりして、もっともっと続編を!と思うんだけど、たぶんなさそう。この人の他の作品も読んでみようかなぁ。
Posted by ブクログ
読みたかった。復刊ありがとうございます。18歳未満の外の世界で「死んだ」子どもたちの国、ネバーランド。そこの子どもたちはみな血管に直接カクテルされたドラッグを流し込み、主観と客観が入り混じった中で死んだように生きている。底が抜けた物語だった。輪郭を触れない怖さ、声も音も映像も見ているのが自分ではないという確かさの中で彼らは生きている。最後は安心。
Posted by ブクログ
どのキャラも確率していて、見事に息づいている。だからこそ面白かったです。子供の国ネバーランドが舞台で少年ばかり出てくるところもすき。個人的にはラジオ・スタアとマウス・トラップがすきです。ティンカーベルがひたすら可愛い。食事も忘れて読み耽りました。
Posted by ブクログ
電波で混沌を極める牧野節全開な小説でありながらも、完璧なまでに秩序立った調和を持つ作品。
描かれるのは通常とはかけ離れた世界・人物・心理状態でありながらも、一度入り込んでしまえば全く違和感を感じさせなくなる。これは物語世界独自の秩序が緻密に作り込まれており、その完成度がきわめて高いが故だろう。
Posted by ブクログ
牧野である。今は電波系ホラー作家として、かなり電波な作品を生み出されている方なのですが、私の出発点であり最高峰がこのハヤカワから出ている作品。一応SFなんですがね。未来、夢の島は打ち捨てられ立ち入り禁止区域となり、そこは、いろんな種類の幻覚系のDrugをカクテルボックスという機械でブレンドして直接体内に取り込んで日々を送る、ストリートチルドレンの楽園となっている。そんな中でおこる、子供同士の縄張り争い。その戦い方が凄い!相手を意味不明の言葉や文章で攻め立て、認識を狂わせて「落とす」のだ。相手の言葉の力に負けると、その言葉に取り込まれありはしないことを現実として体が反応してしまう。そう、「思い込み」が「現実」を歪めてしまうのだ。最近の電波系は、もう私には痛すぎてついていけないんですが、この頃の牧野作品は結構スキです。
Posted by ブクログ
一つの輪になるような話。「落とす」描写は読んでいてやはり美しく遊びのように軽やかでけれど窒息しそうなほど隙がない。思わず息を詰めてしまう。筆者の言葉に落とされる疑似体験ができる。
Posted by ブクログ
死と、そこへ行く事の二択を迫られた子供達の辿り着く所、ネバーランド
主観と客観が入り交じるその世界で空想に頼りながら現実を生きる子供達
主観によって語られる世界は空想と現実その境目すら曖昧
空想なのでなんでも有りの描写
五感を、比喩とも違うそれ以外の感覚、主に視覚で表現するのが面白い
子供のしてはグロテスクな空想
意味不明な言葉の羅列
一言で言ってイカれた物語 でも美しい
Posted by ブクログ
ドラッグによるトリップ感覚の描写が新鮮だった(とくに五感のそれぞれが入り交じって、音声を色で感じたりするところなど)。舞台設定はそれほど新しいものではないが(この辺に関してはマンガのほうが確実に先を行っている)、18才になったら出ていかなければならないという設定が、子供という刹那的で限定された存在をうまく表している。中盤がちょっとダレたが、最終話でマイティマウスが復活するところは、ビシッと決まっていてかっこよかった。19960927
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最終話のマイティマウス登場のあと、マウスたちのシンクロの最後にツクヨミとチハルが叫ぶのがかっこいい。「言葉で戦う」という発想は新しく、あふれる言葉のイメージもそれっぽいが、ちょっとゴシック趣味が入っているのが苦手(マウスたちのファッションについての記述もそう)。最後に銀色の巨人が現れて、機動隊を踏みつけていくというラストはちょっといただけない。やっぱり言葉に関するような形でかっこよく締めくくって欲しかった。共感覚のイメージはいろいろと使えそう。解説では「意識の変容(アルタード・ステーツ)」について書いてあったが、ティモシー・リアリーとかそのあたりの本も読んでみたい。20020822
Posted by ブクログ
ドラッグを常用するマウスたちの楽園、ネバーランドを描いた作品。ドラッグの幻覚によって引き起こされる、非現実的な世界。五感が互いを侵犯し合うことで生まれる、世界が語りかける言葉。絵画的で夢のように妖しい世界観は、作者はドラッグをやったことがあるのでは?と疑うほど。
Posted by ブクログ
連作短篇だったかな。のちの作品(「黒娘」など)では、扱われているモチーフと物語がうまく噛みあっていないような気もするけれど、これは良いです。
「忌まわしいはこ」と「MOUSE」は処分しないで手許に置こうと思ってい
ます。
Posted by ブクログ
廃墟島のネバーランドに住み、ドラッグを日々摂取しているジャンキー少年少女たちの物語。言葉や幻覚を武器に争うバトルシーンなど、独創的なアイデアが素晴らしい。特に第3章のラジオ・スタアと第4章のモダーン・ラヴァーズが傑作。ただかなり内容が難しく、自分の頭では全くついていけない箇所も多かったので、☆3。
Posted by ブクログ
初めに目を通した瞬間、主観と主観が入り交じって妄想が具現化するという状況にストレスを感じたが、すぐに慣れた。全体的に話はなく、ただ世界観を楽しんでいた。一番好きな話はラジオ・スタア。最後はジャンプ。全体的にマンガのようだった。
Posted by ブクログ
判断に困る…。
牧野修らしいぶっ飛んだ面白さもあるんだけど、あたしがそーゆーテンションじゃなかったらしい。
うまく集中出来ず、面白さ半減したカンジ。
あー勿体ない。