俵万智のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
1987年に刊行されてベストセラーとなった歌集で、著者が二十代前半につくった短歌を収録しています。
かざることのない日常のことばを織り込みながら、流れ出るように詠まれた歌とでもいうような印象を受けますが、それが多くの読者にこれまでの短歌とは異なるあたらしさを感じさせたのではないかと思います。ただ、本書に収められている短歌を「みずみずしい感性」ということばで形容することには、わたくし自身はやや躊躇してしまいます。
本作が刊行された1980年代は、人びとがこれまでにないほど消費社会を謳歌していた時代でした。消費による自己実現がまがりなりにも達成されつつあり、そのことが古典的なジェンダー規範をめ -
-
Posted by ブクログ
初めて最後まで読んだ。短歌集なので読みやすい、が、57577の31の言葉の中に吹き込まれている世界が広い、大きい、深い!!
解説にもあるが、字余り字足らずが少なく、57577の定形型にはまっているため、リズミカルに詠めて、ノれる。
読んでいて楽しく、胸が躍る歌集は久しぶりだった。これはいい!
お気に入りの歌
江ノ島に遊ぶ一日それぞれの未来があれば写真は撮らず
→また次も来る。確信があれば写真なんて撮らなくていい。未来の可能性がもたらす安心感、今を楽しもうとする素直な気持ちが、いい!
フリスビーキャッチする手の確かさをこの恋にみず悲しめよ君
→フリスビーを投げると相手がキャッチしてくれる -
Posted by ブクログ
短歌集では異次元の280万部の超ベストセラー
わけあって再読したけれども、以前読んだのはいつだっけかなぁ
少なくとも大学生がその前あたり
これのヒット以降、些細な事でも「◯◯記念日」という風潮ができた気がする
世の中への影響力がすごいと思う
そして、令和の時代になって、SNSで「いいね」の数を競うような風潮に対して
-------------
今は「いいね」の数を競うような風潮があるけれど、これはたった一つの「いいね」で幸せになれるという歌です
-------------
と、ツィートするあたりのセンスも含めて、言葉の使い方に魅了される
収録されている中で、個人的に好きな歌
---- -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもの感受性が素晴らしい。その新鮮さを隣りで受け止め、共感する万智さんがステキだ。
月山での田植え体験と「缶詰づくり」たくみん(息子さん)から
「ゆうれいのおかあさんえ、(中略)あかちゃんのときおせわになりました。ありがとう。これからもげんきでね。」とお母さんが死んだ時、一緒にお墓に入れるという可愛いお手紙。
*太平洋はいま太平の洋となりカタカナで書くバンザイクリフ
「天皇陛下万歳」と多くの日本兵が身を投げたサイパンの岬。
*硫黄島、サイパン、グアム 子に語る言葉持たねばひたすらの青
雨の日のたくみんの感じ方にもビックリ。
「雨の日は、車の音がかっこいい」と車による音の違いを楽しんでいる -
-
Posted by ブクログ
1980年代にベストセラーになり、「男はつらいよサラダ記念日」まで登場し、俵万智さんは時の人となった。
本棚の隅っこにあった単行本は赤茶けて昭和の香り、ひとり暮らし、失恋の香りがした。
同時代に地方から出てきた私は彼女の短歌に魅了された。石川啄木や若山牧水が好きだった私には衝撃だった。日常や心象風景がリズミカルに映し出されていく。
三十一文字に、言葉を切り取り、切り落とす愉しさ。子ども達にも伝えたくて、短歌づくりを一緒に楽しんだこともあった。
広島カープ サザンオールスターズ
恋のうた 父、母、弟のうた
中国で詠んだうた
久しぶりの再読 新鮮な感動!
-
Posted by ブクログ
俵万智さんの短歌の指南書ですね。
季刊書「考える人」2004年夏号から2009年冬号連載の「考える短歌」のアンソロジーです。
添削をされてもいいと云う条件で投稿された短歌を、俵万智さんが十六の講目で、短歌の指南をされています。
「短歌を美味しく作るには?」というコンセプトでスッキリと美味しい短歌の作り方を三十二のレシピで、解りやすく端的に綴られています。
第一講 味覚に訴えてみよう
擬音を生かそう
第二講 時には荒療治を試してみよう
「あの」って、どう? と言われないようにしよう
第三講 比喩の出し方に心をくだこう
だめ押しの一歩手前で止めよう
第四講 枕詞を -
Posted by ブクログ
▼若山牧水と言えば、
白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり
くらいしか知りませんでした。この歌は素敵だなあと憶えていました。
それ以外どんな人か全く知らず。たまたまBOOKOFFで見つけてなんとなく購入。
▼歌人の俵万智さんが書いています。評伝です。時折、「同じ短歌詠みとしての、俵万智」の視点からの考察や、自作の短歌との比較なんかも出てきます。「自作との比較」がこの本の魅力になっているのかなと言われると、個人的にはそれは無くても十分楽しめたかなあとは思いますが。
▼若山牧水という人の人生の評伝、というわけではなく、まあなんとなく若山牧水を全く知らぬ読者も牧水の全貌は分