あらすじ
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いまだからこそ、君に届けたい。おれたちの、五・七・五・七・七を!
「コロナ」という、歌舞伎町最大の危機との戦いのなか、ホスト達は生きている。そして、愛について考えている。――愛ってなんだ? 恋愛を、悩みを、希望、欲望、本音を叫ぶ。五・七・五・七・七の短歌で!
短歌を作ったのは、歌舞伎町に6店舗のホストクラブがあるスマッパ!グループの会長・手塚マキ氏とホスト75人。
編者(選歌・構成)は、280万部のベストセラー歌集『サラダ記念日』の著者・俵万智氏と、野口あや子氏、小佐野彈氏という短歌界の第一線で活躍する歌人。
2年前、小佐野彈氏の歌集『メタリック』の発売イベントで短歌を作って以来、ホストたちは、ほぼ月一回、歌会を開催し続けた。選者・指導役として、俵・野口・小佐野各氏が加わり本格化。NHKBS番組「平成万葉集」でも紹介された。ホスト歌会は20回以上。5月にはコロナ下で、Zoomを歌会も。作った短歌900首から、俵・野口・小佐野各編者が300首を厳選!
五・七・五・七・七の短歌だから語れる本当の気持ち。得意客(姫と呼ぶ)との会話、おもてなし、仕事で割り切れない男女の感情。コロナ下での焦燥。
もともと短歌とは、愛を語り合う言葉の器だ。ホストと短歌。実は、これほど相性の良いものはなかった。まさにいまだからこそ届けたい、感動の短歌集。
(収録したおもな短歌作品)
嘘の夢 嘘の関係 嘘の酒 こんな源氏名サヨナライツカ
見つめ合い あ、これダメだね 照れ笑い カラダは離すもココロは密で
夜が更けて意外と広いゴジラ前 静けさ光る靖国通り
君からの返信ないが既読付く俺に連絡いま自粛かな
自粛中ライトも消えた看板の君の笑顔がなんか寂しい
錆びてなお耐えて耐えて耐え抜いて磨き続ける輝く日まで
「ごめんね」と泣かせて俺は何様だ誰の一位に俺はなるんだ
眠らない街といわれたネオン街 たまにはゆっくりおやすみなさい
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
恋の駆け引き、男同士の上下関係、売れない悲しみ
感情がぎゅっと詰まってる一冊。
でも短歌だからあっという間に読めて楽しい。
★この人を支えたい!会いたいホスト短歌賞
君の来ない夜にトイレで聞いている
あいつの席のシャンパンコール
寂しいトイレと盛り上がる場内の対比が好き。
トイレの扉一枚隔てて全く違う空間が広がっているのが情景として分かる!
扉の向こうとこちらとでは、照明の明るさも、音の大きさも、空間の広さも、人の感情も何もかも違う。
扉の向こうからドンドンした低音が響いてくるのを項垂れながら聞くホストの姿を勝手に想像して悲しくなる。
寂しいのは「君が来ない」からっていう理由がキュンとくる。
結局は「会いたい」って一言を逆に34字に増やしてこんなに情景を思い起こさせる手腕に惚れる。
これを詠んだのはグループの会長手塚マキさんだった。
さすがホストで上に行く人は言葉の使い方も巧みだな。
Posted by ブクログ
NHKで特集されていて、今日たまたま書店で見かけたので購入。短歌を読んでいくと、これまで私にとっては記号でしかなかった「ホスト」が、一人ひとりの人間なのだとしみじみ思う。
特に好きだなと思った5首。
・愛してる口先だけで言われたと分かっていても魔法の言葉
・約束をしたから買ったバスソルト何気ない君の小さなおねだり
・あの人はそんなんじゃないと言う君も言われるアイツも素敵なんだね
・嫉妬深い君がイヤだと泣くからさ抜けばいいのに今日もオナ禁
・夕暮れと共に目覚めて家を出る夜から始まる僕の一日
Posted by ブクログ
和歌とホストは、相性がいいだろうなと思っていました。
読んでみてなるほどなと思いました。
平安貴族は仕事と恋愛のために、せっせと歌を作りました。ホストもそれに重なるところがかなりあります。
ただ今まで誰もこの二つを結びつけていませんでした。
それをした手塚氏は、凄い人だなと思いました。
一読する価値のある本だと思います。
私は今日から三大和歌集を教える為の参考として、朝1時間少々でざっと読みました。
全く関係を持たなかった世界を少し垣間見る事が出来て、楽しかったです。
Posted by ブクログ
コロナ禍でいろいろな記事を読んでいる時に、とても興味深いインタビューを読んだ。
作家・辻 仁成さんと、歌舞伎町ホストの手塚マキさん。
「夜の街」と「歌舞伎町」はコロナのエピセンターとして、あちこちから叩かれていた場所。
でも実際のところはどうなんだろうととても気になっていて、
この記事には、現在の歌舞伎町がやっているさまざまな対策や取り組みのことが語られていた。
帯ニュースがどれだけイメージで夜の街を語り、
世間の偏見におもねるような方向で報道しているのかとげんなりする。
その中で、この本の存在を知って、がぜん興味が。
コロナの感染が始まるより前から、手塚氏はホストを集めて歌会をやっていたらしい。
(その前に、掃除ボランティアという活動もあるとか)
長い文章は書けなくても三十一文字程度なら表現できる。
もともと親和性のある和歌と色恋。
詠み手のキャラクターが垣間見える多様な歌が並んでいて面白かった。
ビッグになろう系のちょっと古臭いのがまだいるんだなあー、とか
客商売ながら本気の部分も生まれてしまうだなーとか、
今の時代の具体的な言葉と古来から続く三十一文字があわさる面白さもあり、
抒情的で普遍的な印象を与える、うまい歌を作る人もいる。
私が好きで読んでいる現代短歌の中にはあまり出てこない、
男女の駆け引きの主題がむしろ新鮮。
疑似恋愛的な場で働いて、相手の気持ちを汲み、言葉を選ぶホストならではの歌は
確かに万葉集や平安時代にも直結しているような気がする。
ホストなら歌くらい詠まないと、という世の中になったら本当に素敵だ。
巻末の写真で、この歌を詠んだのはこの人か、とわかるのも面白かった。
Posted by ブクログ
ホストが作った短歌。
華やかな夜の宮殿眩しくてどんなリアルも見えないくらい
この歌は、某舞浜の夢と魔法の王国に似てると思った。
人を惹きつける、夢の宮殿。
T●Rもお金が飛んでくけど、ホストクラブはその比ではないぐらいお金が飛んでくんだろうね~(^^;
Posted by ブクログ
古来から、日本人は歌で愛を伝えてきたわけで、
愛を売る職業のホストに短歌はもってこいなのかもしれない。
全体的にストレートな歌が多かった。
ホスト○年目でまとめてるので、
ガツガツしていた句が、だんだん落ち着いたり、後輩ができたりして、
ホストたちの生活の移り変わりを感じて面白かった。
Posted by ブクログ
出オチ感があるタイトルだったけど、中身はマジメに短歌だった。ホストならではの心の機微が詰まっていて、妙に生々しくて良い。光源氏は元祖チャラ男という解説は、言い得て妙だと思った。
Posted by ブクログ
本物のホストによる短歌が300首ずらりと並ぶ。ホストが短歌??と思う人もいるかもしれない。しかし、短い言葉で想いを伝え、微細な所作に敏感に気づく力は通常の人間を凌駕している。光源氏が元祖チャラ男であるように、ホストは歌を詠む素養がある。私が好きな歌「歌舞伎町 東洋一の繁華街 不要不急に殺される街」
はやくコロナがおさまるといいな。歌舞伎町に溺れたくなる笑
Posted by ブクログ
自分の知らない世界のことを知れる面白さと、手塚マキさんが本の中で仰っているように、短文でのやり取りに強いホストの人たちの才覚が存分に表れた、独特の短歌のリズム感が面白かったです。
短歌ということで、パラパラと読み返しやすく、たまに読んではそれぞれの短歌の明るさや切実さに謎に励まされています。
Posted by ブクログ
「ホスト」と「万葉集」。とても結びつかない2つの言葉がくっついているのに、まず興味を覚えました。
ホストクラブに行くことは、今後もないと思いますが、ちょっとだけ覗いてみたい、そんな気持ちに初めてなりました。
みんな一所懸命生きているんだ。ホストの方々の熱い思いに触れられた気がしました。
Posted by ブクログ
月一で開いた「出勤前歌会」から、コロナ禍の最中のZoom歌会まで。
歌舞伎町のホストたちが2年間で作った短歌900首から、300首を厳選。
歌舞伎町のホストさんたちが作った短歌を集めた歌集です。
300首も収録された歌集というと、さまざまな雰囲気の歌があるのを想像しますが、収録されている歌のほとんどのテーマが酒、女、金、夢や序列などで、退廃的な「繁華街の夜」のイメージが強いのが印象的です。
それでも、みなそれぞれ個性があって面白い。ホストクラブには行ったことはないですが、よまれた歌から、ああ、きっとこの人は売れてるんだろうなとか、まだ新人とかなのかなとか想像するのも面白いですし、最後にホストさんたちの顔写真も載っているので、歌と本人のギャップなんかを楽しんでみるのもいいかもしれません。
Posted by ブクログ
ホストと短歌!?と単純に惹かれて読んでみた。
ドラマとかでしか知らない世界で、私にはフィクションのようなものだったけど、読んでみるとそこにはちゃんとリアルがあって、ちょっと行ってみたいなぁなんて思ってしまった。
Posted by ブクログ
センスある!ホストは現代の光源氏
すきだった短歌
「秋かおる夜風にふかれゲロまみれタクシーに乗れず朝日をあびる」
「言葉というのは、咳いて閉じ込めておけば、思い出した時に、その言葉が発せられた時の鮮度で蘇るんです」「言葉に閉じ込めておけば千年もつ」(万智さんの言葉より)
Posted by ブクログ
成り上がり精神に溢れた歌、キラキラした陽な雰囲気が伝わる歌と対比するように、切なさや気弱さを吐露した陰の歌も挟み込まれます。どちらのタイプの歌も、しらけた感じがないことに好感が持てます。真面目に騒いで、真面目に落ち込むみたいな。