あらすじ
子育ては何もかも期間限定のいとおしい時間。
東日本大震災を機に、仙台から移り住んだ石垣島。都会の生活から一変した島の暮らしが親子に与えてくれた豊かな時間が、短歌と共に綴られます。
「たくみん」は中学2年生に成長し、親がしてやれることもだんだんと少なくなってきたことを実感する日々。
『ありがとうのかんづめ』というタイトルには、俵さんの、子育ての日々の中で授けられた感謝の思いを閉じ込めた「この缶詰一個あれば、母は充分」という意味が込められています。
「子育て」は「親育て」であることを実感するハートウォーミングなエッセイです。
感情タグBEST3
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育児の合間に少しずつ読み進める。
子供の月齢は違うけど、刺さる個所がたくさんあった。
くすりと笑える個所もところどころに。
子供がこの俵万智さんの当初の息子さんと同じくらいの年齢(小4前後)なったらまた読み返したい。
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自分にとって初めての俵万智さんがこの歌集だったのは幸運だった。
息子さんが幼稚園児、小学生の頃の短歌を詰め込んだ歌集。特に幼稚園時代の歌は、4歳の子がいる自分に刺さりすぎて、一首ごとに涙ぐんでしまう。一気に読むのが勿体なくて、「年中さんの話は年中さんになってから…」とも思ったが、我慢できず毎晩寝る前に数ページずつ大事に大事に味わった。
表紙と見返しの色が気になって、どういう意味が込められているのかなと考えるのも楽しい。
短歌のみの歌集もいいけれど、エピソード付き、それも短歌に対する解説としての形ではないこの形が個人的にとても好きだと思った。
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泣いて笑って学ばせてもらいました。
お母さんバンザイ。お母さんにもっと敬意と優しさを持とうと改めて思いました。
子育ての大変さの中に、沢山の宝物が隠されています。
万智さんは、それをとても上手に見つけ出しています。
「今しかできないことをやる」本当にそうだと思いました。
私は「今やらねばならないことをやろう」と授業をしています。
一期一会の授業を人生をしっかり歩んでいこうと思いました。
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へたな育児書より大事なことを示唆してくれる、
俵万智さんの子育てダイアリー。
心に残った短歌は、
ゲーム、パソコン、テレビ、ダメとは言わないが
おやつのようなものと教える
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万智さんの短歌はもちろん、息子さんとの日々の暮らしを綴ったエッセイはいつも楽しく読ませていただいている。
私にも3人の子ども、息子が2人いるので、「男の子ってそうだよね」と共感するところも多いけれど、万智さんの大らかで子どもを見守るあたたかいまなざしは、いつも見習いたい、私もそうでありたいと思う。
息子さんも成長して、プライバシーの問題もあるかも知れないが、これからも少しでも息子さんとのやりとりや暮らしの様子を読ませてもらいたい。
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〜子育て短歌ダイアリー〜
『ありがとうのかんづめ』 俵万智
月刊誌『エデュー』(edu)に2009年ー2013年に連載された「たんぽぽの日々」を元に編集・構成された続編になります。(前編は2010年『たんぽぽの日々』として出版されています。)
エデューは上の子が小学校に上がる前から、母の予習的に読み始め、特に低学年の頃よく読んでいました。子の学びについて、母として、参考になることが多かったです。お世話になりました。(蔭山先生の百ます計算もよくやりました。懐かしいです。笑)
本書では、
幼稚園卒園までの「さざやかな風」編
一年生「いちねんせいのひみつぶっく」編
二年生石垣島へ「さとうきび畑の鬼ごっこ」編
三年生「オレが見ているほえが前」編
四年生「ドラムの響き」編
五年生「子のおらぬ週末」編
と、一年毎にまとめられ、エピローグで締められています。
少しだけ、ご紹介(*´︶`*)
最初の一首は、
この声で神の言葉を聞く夕べ
「すべてのことに感謝しなさい」
子どもたちの歌声で、こんな言葉を聞かされたら、素直に心に響く尊さですね。
硫黄島、サイパン、グァム
子に語る言葉持たねばひたすらの青
一般論で「戦争はいけないこと」と考えるのではなく、皮膚感覚で「あってはならないこと」と感じる。人の命を奪うということに、正当性などあるはずがない。まして正義なんて、と思う。と書かれています。世界情勢が悪化する今、強くそう感じます。
花びらのような足あと
追いかけてゆけば春へと続くこの道
手をあげてこたえたがっている声が
欅の新芽のように重なる
ついていってやれるのはその入り口まで
あとは一人でおやすみ坊や
ぶたの木にぶたの実がなる『ぶたのたね』
子の心にもぶたの実がなる
(こちらで紹介されている絵本、楽しいですよ)
前を向けと言われる息子
「今オレが見ているほうが前」とつぶやく
(息子さんの名言(迷言?)と紹介されています。笑)
たくみんの句
長袖を着ると落ちつく秋の朝
万智さんの歌
たっぷりと君に抱かれているような
グリンのセーター着て冬になる
(どちらも寒くなる今の時期に、ほっこり温まりますね。どちらも好きです。(*´ω`*))
「大変」が「楽しかった」に変わるとき
旅の終わりを知る南風
週末の子ども集めて
花びらを配れるごとしトランプおばさん
そして、締めの一首は、
菜種梅雨 やさしき言葉持つ国を
歩む一人のスローモーション
雨の名前だけでもたくさんある日本語の素晴らしさ。英語を学ぶ息子さんへ「言葉は文化とつながっている。英語を学ぶ過程で、息子はどんな異文化と出合っていくだろうか。それが楽しみだ。」
ご紹介しきれませんので、子育て中のお母さま、懐かしい気持ちになったり、共感があったり?笑、お手に取られて味わわれてください。(毎日、お疲れ様です。(*´︶`*))
↓メモからコピー漏れしていました( ; ; )
ひだまりトマトさんの本棚から手に取らせていただいた本です。いつもありがとうございます。
(ひだまりトマトさん、またまたありがとうございました。子ども達の小さい頃が懐かしく思えました。(*´ω`*))
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俵万智さんのエッセイと子育て短歌ですね。
『本書は、月刊誌「エデュー」に連載していた「たんぽぽの日々」という子育てエッセイの後半部分をまとめたものだ(前半部分は2010年に「たんぽぽの日々」として出版された。)』とあとがきに語られています。また、「園児だった息子との時間、小学生だった息子との時間は、もうこの本の中にしかない。」とも綴られています。子どもさんと真っ正面から二人三脚で過ごされた子育て奮闘記、たくみん(息子さん)の成長記ですね。
短歌を……
充実の秋と言うべし
収穫の人のまあるい背中を見れば
「さざやかなかぜ」と言い張るおさなごと
甲板にいる、さざやかな風
花びらのような足あと
追いかけてゆけば春へと続くこの道
昼寝する吾子の横顔
いっぽんの植物の蔓(つる)のごとくたどれり
さとうきび畑を走る鬼ごっこ
さわさわと可愛らしいちくちくと足
行きずりの人に貰いしゆでたまご
子よ忘れるなそのゆでたまご
指を折り五音七音数えいる
子らを撫でゆく海からの風
たっぷりと君に抱かれているような
グリンのセーター着て冬になる
馬に乗り海をゆく子が振り向きぬ
触れえぬ波光のごとき笑顔に
赤瓦の屋根に上りて子は雲と話しているか
おーい、おおーい
それぞれの家の洗剤の匂いして
汗ばんでゆく子らのTシャツ
菜種梅雨 やさしき言葉持つ国を
歩む一人のスローモーション
俵万智さんのユーモアを込めながら、たくみんとの子育てを、戸惑いながらも、周囲の人々の交流や助けを借りながら、ポジティブに、生き生きと語られています。この時期の親子のふれあいは一生の宝物ですね。へぇ~!なるほど~と思うこともしばしば、子育て中の親御さんには嬉しいヒントも楽しめますよ。
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子どもの感受性が素晴らしい。その新鮮さを隣りで受け止め、共感する万智さんがステキだ。
月山での田植え体験と「缶詰づくり」たくみん(息子さん)から
「ゆうれいのおかあさんえ、(中略)あかちゃんのときおせわになりました。ありがとう。これからもげんきでね。」とお母さんが死んだ時、一緒にお墓に入れるという可愛いお手紙。
*太平洋はいま太平の洋となりカタカナで書くバンザイクリフ
「天皇陛下万歳」と多くの日本兵が身を投げたサイパンの岬。
*硫黄島、サイパン、グアム 子に語る言葉持たねばひたすらの青
雨の日のたくみんの感じ方にもビックリ。
「雨の日は、車の音がかっこいい」と車による音の違いを楽しんでいる。
先日読んだ『雪の写真家ベントレー』の読み聞かせの話もよかった。
人間と同じで、一つ一つがみんな違うこと驚いた子ども達が声をあげ
子どもは絵を読む。
耳からストーリーを聞きながら、目で絵を読むとき、それらが渾然一体となって脳内で動きはじめる。それこそが絵本の醍醐味であり、想像力を養う。(松居直さん)
震災後避難したとき空港でたくみんが
*行きずりの人に貰いしゆでたまご 子よ忘れるなそのゆでたまご
お金では買えない人の親切に胸を打たれる。
Posted by ブクログ
エピローグでタイトルの理由がわかった。
この本は先日読んだ「たんぽぽの日々」の続きだったらしい。息子さんの卒園時期から小学5年まで。
自然豊かな石垣島での子育てにちなんだうた。
最後まで温かい気持ちで読めた。
わたしにも「ありがとうのかんづめ」届かないかな。
でももう受け取ってるのかな。
Posted by ブクログ
俵万智
1962年 大阪府生まれ
サラダ記念日
一人息子のシングルマザー
東北大震災を機に石垣島へ移住
子育てエッセー
前向きで暖かい日常と子どもへの愛情が良く伝わってくる
Posted by ブクログ
雑誌に掲載されていた子育て短歌ダイアリーの
後半部分。幼稚園から小学生時代を綴っている。
シングルマザーとして、親元の仙台に暮らしていた時
東日本大地震が起こり、落ちつかない一時期を
逃れていっとき避難のつもりで沖縄へ。
友人の住む石垣島へ滞在したのがきっかけで
その小さくて限りなくあったかいコミニュティー、
あふれんばかりの圧倒的な大自然!
体験を重ねるうちに、移住を決める。
インドア派を自称する俵万智さんが
免許もなく移動の不便もなんのその。
「助けてください」と心を込めた「ありがとう」を武器に?!
子供にとっては変えがたい経験を。
言葉を紡ぐものとしての、息子さんに触れる言葉たちは
とても、印象深い言葉が多く、良い作品でした。
子育てを過ぎてしまったひとにも、
真っ只中にいる人にも、
ともに、素敵な一冊になるのでは。