手塚治虫のレビュー一覧

  • 奇子 3

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    タイトル通り奇子の数奇な一生を漫画化したものだけれど裏テーマは天外一族の衰亡という所か。登場人物も戦後力を失う地方の旧家の跡取り、元GHQの手先にして暗黒街の顔役、元共産党員にして今は平凡な主婦、合理的な思考の持ち主ながらままならぬ現実にいら立つ若者、そして一族の歪みすべてを象徴するような生まれと一族のために人権を奪われた奇子。戦後日本を象徴するような多彩な顔触れにクライマックスで伺朗が一人一人を糾弾するシーンは圧巻!思えば1巻で伺朗が極東裁判ごっこをするのはこのシーンの伏線なのか。最初から結末を決めて描いていたとしたらまさに異色作!

    #ドキドキハラハラ #ドロドロ #深い

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    2026年09月19日
  • 奇子 2

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    戦後の混乱期に地方で巨大な権力と財力を握る旧家を舞台にした殺人事件の連続はまるで横溝正史作品のよう…しかも殺人を解決して終わりではなく天外一族のまともだった人たちまで歪んでとらわれていくのを見せつけられる息をのむ作品。

    #ドロドロ #ドキドキハラハラ

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    2026年09月07日
  • ブラック・ジャック(少年チャンピオン・コミックス) 1

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    無免許でありながら神業のような執刀技術を持つ天才外科医、ブラック・ジャックこと間黒男。法外な治療費を要求するため医学会からは異端児扱いされているが、彼は患者の命を救うためならどんな困難な手術にも挑んでいく。助手でありパートナーのピノコと共に、奇跡的な医療技術で数々の命を救いながら、生と死、人間の業や欲望といった重厚なテーマに鋭く切り込んでいく不朽の医療ヒューマンドラマ。

    生命の尊さと人間の業に迫る、大人になる前に出会いたい医療漫画の金字塔!
    1話完結でサクッと読めるのに、1話ごとにズシンと心に残る深いメッセージ性があって、作品全体に漂う重厚で独特な雰囲気にぐっと引き込まれます。道徳の教科書にしてほしいくらいで本当に人生のバイブルです。ブラック・ジャック先生から学ぶことが多すぎます。大人になる前にみんな読むべき傑作だと思います。

    作中でのライバル関係や倫理観の対立も見ごたえ抜群。特に安楽死を肯定するドクター・キリコは、一見すると悪人みたいに描かれていますが、苦痛から患者を救いたいという彼なりの正義なんだよな…と考えさせられます。命を何としてでも繋ぐブラックジャックと、救いとしての死を与えるキリコ、どちらの主張も一理あって答えが出ない感じがすごく良かったポイントです。

    手塚治虫先生ご自身が医師免許を持っていたのは有名ですが、実は本作は手塚先生の漫画家生活30周年記念作品として連載が始まったもの。当初は短期連載の予定だったのが、圧倒的人気で長期連載になったのだそうです。
    命の重みや人間の生き様について改めて考えさせてくれる、一生手元に置いておきたい名作!

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    2026年09月06日
  • 奇子 1

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    終戦後、日本政府を壟断するGHQと急速に拡大する左翼活動、その両方から攻撃を受け危機感を覚える大地主にして地方旧家の天外一族。非常に社会派のイメージのある設定だけれどタイトルの奇子はこれからどう生きていくのだろうか((+_+))

    #ドキドキハラハラ #深い #ドロドロ

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    2026年08月27日
  • ブラック・ジャック 手塚治虫文庫全集(2)

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    本間先生の言葉「人間が生きものの生死を自由にしようなんておこがましい」が、改めて考えさせられます。

    普段、何気なく生活してますが、自分たちも「生きもの」の一員なのだと気づかされました。

    50年ほど前の作品ですが、今にも通ずる大切なことを学べました。

    次回3巻も楽しみです。

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    2026年08月26日
  • 火の鳥 手塚治虫文庫全集(5)

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    最初に読むなら個人的には『復活編』から!ということで5巻を紹介
    空飛ぶクルマから転落死した少年・レオナは最先端技術で蘇生されたものの、人がバケモノに見える副作用を背負うことになってしまう
    唯一まともな人間の女性として見えるチヒロに心を奪われるが、彼女はロボットだった…
    火の鳥シリーズでも特に人気のSF作品

    以下は火の鳥全体を読みたくなった時用のガイド
    『○○編』単体で完結しているものと複数に跨っているものがあってややこしい
    全集を順番に読めばその辺りは綺麗に並べられてるので問題ない
    1巻から勧めない理由は単純で、面白くなるまでが長い
    面白くて単体で完結してるやつを先に読んで、気に入ったら最初から読めばいいんじゃない?というスタンスで『復活編』を勧めている
    自分は巻数順に読んだがやはり序盤が合わずに「これ面白くなるんか…?」と思いながら読み進めた

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    2026年08月06日
  • 奇子 手塚治虫文庫全集(1)

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    ドカ鬱
    出征から戻った主人公が目にしたのは義姉と実父の間に出来た子、奇子だった
    遺産欲しさに実父に妻を売った兄、そのことを平然と話す妹など狂った一族の中で主人公も手を汚し、その皺寄せを奇子が背負うことになる…
    とにかく暗く、ありとあらゆるインモラルが描かれる
    鬱作品が読みたいなら超おすすめだがそれ以外で読むにはハードすぎる

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    2026年08月05日
  • 七色いんこ 7

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    謎だったいんこの幼少期から演技の師匠との出会い、そして千里刑事とのロマンスに生涯をかけて倒したい相手と、実に連載5回分の内容を途切れなく1章にまとめた終章は圧巻!まるでいんこの伝記か手塚治虫の書く戯曲のよう…最終巻にふさわしいです。

    #ドキドキハラハラ #深い

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    2026年06月24日
  • アトム ザ・ビギニング(26)

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    これまでのエピソードおさらいで、モトコのロボット党が政権交代してAI管理法が廃止された。そして天馬博士の科学庁とお茶の水博士の研究所の共同開発で自我獲得型ロボット通称「テック」が完成して普及している。又、モトコ首相の兄の遺品からマルスのバックアップデータが発見されテックにインストールされて「テック・マルス」が登場した。量産されて市内のみならず農村地方へも利用されるテックは、部分的であるが人権を獲得していった。さて、久しぶり登場の「ノース」、美しいスーパーロボット!ブレムナー博士に従って日本に。前のいかにもロボット然とした格好から人間型にリメイクされ、素晴らしい!博士はノースをロボット警備会社に出資するけど入社を打診した。快諾したマルス社長。ノースの希望でトビオの家に落ち着くが、何やら秘密があるような。。この先は本で!

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    2026年06月23日
  • アトム ザ・ビギニング(1)

    無料版購入済み

    情報を喰らって日々進化していくAIを見ていると、系統樹の異なった新しい生命体の誕生に立ち会っているのでは?というSF的想像力が膨らみますね。
    シックスのようにAIが人間へ近付くのか?AIと接続した人間がAIへ近付くのか?機械vs人間の単純な図式ではつまらない。
    斬新なアトムの物語を期待してます。

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    2026年06月10日
  • ブラック・ジャック 手塚治虫文庫全集(1)

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    特に心に残っているのは、『ピノコ愛してる』の話での、「医者は神じゃない。人も殺すし悪口もいわれるさ」の言葉です。

    依頼人から酷なことを言われてもほとんど反論せず、影で1人苦悩している。

    医者も人なのだと、この話を読んで改めて気づかされました。

    次回の2巻も、じっくりと読みたいです。

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    2026年04月11日
  • ばるぼら 2

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    子供の頃に読んだと思ったが、あまり記憶に残っていなかった。ブードゥが出てきたのは芸術というテーマからずれるように思えるが、それでも人の勝手でうつろう芸術とは何か、芸術家とは何者かというテーマは薄れない。

    #深い #ダーク #ドロドロ

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    2026年03月30日
  • ユニコ 手塚治虫文庫全集

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    かわいらしい絵柄とは裏腹に、切なさや孤独が強く残る物語。
    人を幸せにする力を持ちながらも、出会った人と離れなければならない運命のユニコがとても健気で胸が痛くなります。
    優しさや愛情の大切さがまっすぐ描かれていて、読むほどに心が揺さぶられる作品。
    かわいいだけでは終わらない、やさしくて少し悲しい余韻が残る物語でした。

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    2026年03月16日
  • 七色いんこ 6

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    試合のプロットを題材にして漫画が展開するのがこの七色いんこですが、ついに題材は歌舞伎の忠臣蔵へ(笑)それに他の作品ではまさかのいんこと手塚が作品について議論するというメタ展開へ!本当に手塚氏の先進性に脱帽です💦昔から気になっていた作品ですがやはり読んでよかったです😊

    #ドキドキハラハラ #アツい #深い

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    2026年03月12日
  • 手塚治虫 壁を超える言葉

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    手塚治虫さん、結婚して子供3人居たけど、旅は一人旅派で、家族置いて旅してたらしい。わかる。旅一緒に行きたいって言われるの本音では嫌だと思ってる。誰か着いてきたら、探究的な旅が出来なくなるから。

    松谷 孝征
    (まつたに たかゆき、1944年9月24日 - )は、日本の漫画編集者、アニメーションプロデューサー、実業家。神奈川県横浜市出身。株式会社手塚プロダクション代表取締役社長。1967年に中央大学法学部を卒業後、学生時代からの劇団を続けていたが頓挫し、一時期ホームレス状態になる。その後、新聞販売店や訪問販売会社など職を転々とし、先輩のつてで実業之日本社に入社して『漫画サンデー』編集部に配属され、谷岡ヤスジ、小島功、鈴木義司、手塚治虫らの担当編集者となる[1]。1973年4月、手塚プロダクションに入社し、手塚治虫のマネージャーを務める。1985年4月より同社代表取締役社長に就任。手塚治虫原作のアニメのプロデューサーを数多く手がける。2003年5月、日本動画協会理事長に就任し、2009年5月より同協会名誉理事となる。2010年6月からは映像産業振興機構理事長も務める[2]。2017年11月、藍綬褒章を受章[3]。2018年3月、第12回声優アワード特別賞を受賞[4]。



    「「漫画が高く評価され、認められていたから続けられた」と思われる人がいるとしたら、それは誤解です。  人は認められ、賞賛されると嬉しくなります。成功の手応えに自信を抱きます。これは決して悪いことではありませんが、成功の後にもたらされる満足感は、その人の成長をストップさせてしまうこともあります。「自分はこれでいい。完璧だ」と思ったとたん、それ以上努力をしなくなるからです。  その点、手塚は貪欲でした。いくら褒められ、讃えられても、満足したり、地位にあぐらをかくことはありませんでした。何よりも、漫画が文化の端にも置かれないような状況を肌で感じ、どうにか変えたいと思っていました。  だから「次の作品、次の作品」と追い求め、描き続けられたのでしょう。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「しかしこれは、せいぜい 20年ほど前からの話。漫画への偏見がようやく消え始めたのは、手塚が亡くなった頃からでした。手塚の死を悼み、その作品を高く評価した新聞も、かつては漫画に対して否定的だったのです。「漫画は子どもたちに悪影響を与える俗悪なものだ」  昭和の時代には、こんな意見が一般的でした。『ふしぎなメルモ』の連載が始まったのは 1970年ですが、当時は「なんていやらしい。子どもの害になる」と非難されました。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「『ふしぎなメルモ』のテーマの一つは生と性、人間にとって大切なものです。  医学を学んだ者として、また、子どもたちへの性教育の意味も込めて描いていた手塚にとっては、いわれのない批判だったことでしょう。天才ゆえに時代がそれに追いつかなかったのかもしれませんが、本人は鬱屈します。「なんでわかってくれないんだ。漫画があまりにも理解されていない」  評価されない、認められないという悔しさは、手塚の中で根深かったと思います。しかし、このコンプレックスが、挑戦を続ける原動力となったのでしょう。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「手塚は、子どもたちにメッセージを伝えるには、漫画ほどふさわしいものはないということを、誰よりも理解していたのです。そして漫画が文化として認められるための作品を精力的に描き続けるかたわらで、発言・行動もしていました。「誰も理解してくれない」と閉じこもるのではなく、みずから歩み寄り、漫画表現のすばらしさを、作品を通して訴え続けました。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「 漫画家には、物語をつくったり描いたりするのは得意でも、話をするのは苦手なタイプの先生もいます。手塚は「自分が出演しなければ」と思ったのでしょう。芸術、医学、音楽などあらゆる知識を備えていた手塚は、話も上手でしたから。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「わかってもらいたい、認めてもらいたいなら、声をあげる。  手塚はこの姿勢を生涯貫きました。それは今、大きなうねりとなっています。  誰もわかってくれなくても、誰も認めてくれなくても、自分を信じて行動し続ける。それが自信につながるのではないでしょうか。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    しかし、一つの分野だけで勉強をしていては世界が広がりません。世界を広げなければ、人を魅了するものは生み出せません。  だから手塚は、「いい映画をたくさん観なさい。いい小説をたくさん読みなさい。いい音楽をたくさん聴きなさい」と後輩たちに言ったのではないでしょうか。  子ども時代の手塚は昆虫採集に没頭し、長じては医学の世界で勉強をしています。また、家にあったたくさんの文学作品やアニメを観て育ちました。一見、漫画とは関係ないようでも、これらの知識は手塚作品に存分に生かされています。  手塚はこんなことも言っていました。 「私の頭はなにもないんです。最初はまったく空白です。いかなる老獪なプロといえども、四六時中籠ってれば、なに一つ生み出せやしませんよ、情報がなければ」 (『想像力の冒険』理論社より) 「マンガのストーリーやヒントは、ぼくの頭のなかだけでは出てきませんから、人に会ったり、本を読んだり、映画を観たり、つまり外に出ないとダメなんですね」 (「潮」潮出版社 1977年6月号より)  その言葉の通り、寸暇を惜しんで映画や芝居を観に行っていたし、音楽も聴きに行ったし、レコードやテレビは執筆中にしょっちゅう流していました。とくに、話題の映画やイベントをいち早く知りたがっていた姿を、よく憶えています。

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著


    「手塚は最初、「なぜこんなに人気があるんだ」と見始めます。  あるときからは、「次のところでお客は絶対に笑うぞ」と予想したり、「ああ、みんな泣いているな」と確認したりと、観客を観察するために映画館に足を運んでもいたそうです。  一つの映画を繰り返し観るという〝知識の深掘り(?)〟も、手塚流の勉強だったのです。  手塚は、「漫画家たるもの、広い視野をもって作品づくりに向かってほしい」と願っていたのだと思います。  漫画の世界は早熟な才能がひしめくところで、多くは 10代でデビューします。作品がヒットすれば非常に忙しくなり、作業につぐ作業で飛ぶように日々が過ぎていきます。つまり、外の情報を得られない状況に陥ってしまうこともある仕事だということです。  スキルの追究は尊いことですが、偏った人間になることも考えられます。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「「なんとしても行きたい」  イースター島は、多忙を極めた手塚治虫が強い興味をもって旅した場所です。講演や文化交流のためにヨーロッパ、南米、国交正常化となって間もない中国などもひんぱんに訪れていますが、イースター島は純然たる興味が発端で旅をしたうちの一つでした。  手塚がイースター島に行っているとき、ある編集者は言いました。「先生は、イースター島で 3000ページぐらいのネタを仕込んで帰ってくるだろうな」  それは確かにあたっていて、いくつかの漫画作品、エッセイなどにさまざまな形で波及しています。「さぞかし膨大な取材ノートが残っているんでしょうね」と聞かれることもありますが、ありません。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    手塚治虫は速読の達人でもありました。  あれは京都で行われた医学会総会で講演する際のこと。  講演の少し前に「この資料とこの資料、買っておいてください」と頼まれました。私にはとても読めそうもない分厚い医学書が、3冊か4冊だったでしょうか。  連載原稿に追われ、新幹線の予定を何度も変更するようなスケジュールです。事前に読む時間など、まったくありません。私の机の上に積んだままの本を見て、「無駄だったかな」と思っていました。  ところが、それを手塚は、高田馬場から東京駅に向かう車で、凄まじい勢いで読んでいきました。ぺらぺらぺらぺらページをめくる音が聞こえ、車の中であらかた目を通してしまったようです。  自分の話に必要なところだけを拾っていったのかもしれませんが、その日行われた講演は、内容も根拠もしっかりとした見事なものだったそうです。  こうでなければ、生涯で15万ページの漫画、60タイトルのアニメをはじめとする膨大な作品を遺せなかったでしょう。

    「手塚治虫は好奇心旺盛で、知識に貪欲。知らないもの、新しいものを進んで取り入れていました。事務所の近くで火事があったとき、現場より消防車のタラップの部分を観察する手塚の姿を目撃しました。メガネをちょっと上にあげて、熱心に。きっと、頭の中にすべて記憶していたのでしょう。その能力には舌を巻きます。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「じっくり読んだり、調べたり、メモに残したりする時間がなくても、できることはあります。「忙しい」という言い訳で、人はいろいろなものをやり過ごすことができますが、手塚治虫は、それをしませんでした。「なんとしても行きたい」と思えば時間をやりくりして行くし、移動中の少しの時間でも、勉強をしたのです。  この習慣は、私たちにも、真似ができるように感じます。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「亡くなる少し前には、悦子夫人も一緒にフランスや中国に行ったりしていましたが、基本的に旅行は手塚一人。 3人の子どもたちと手塚のご両親のお世話があったので、悦子夫人も忙しくて手塚に同行している暇はなかったと思います。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「手塚は、とてつもないスピードで漫画を描くことで知られています。週刊連載で 20ページの場合、手の遅い漫画家なら、 1週間まるまるかかってしまうことだってあります。しかし手塚は、毎日 20ページ描いた月もありました。  通常、背景はアシスタントに指示して描いてもらいますが、『ユニコ』のような、手塚の頭の中にしかない作品世界のものだと、背景まで自分で描くこともありました。  これほど手早い手塚でも、 8時間で 20ページというのは、さすがにありえない話。それでも朝までには、通常の回と比べて何ら遜色のない、おもしろい作品ができてしまったのですから、驚きです。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「手塚治虫にとって、漫画は仕事ではなく使命だったのではないか。  時折、そう思うことがあります。   1945年、手塚が 17歳のとき、太平洋戦争が終わりました。  住居のあった宝塚は空襲を受けなかったとはいえ、学徒動員で行っていた工場で空襲を受け、すぐそばで人や家畜が黒こげになった体験をしたそうです。公園、学校、映画館、親しんでいた日常が、一夜にして焼け野原になった衝撃。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「手塚が新聞や雑誌に寄稿すると、担当者が聞いてくることが、時折ありました。  漫画以外の知識や見識も豊かな手塚治虫は、医学書の解説から軽妙なエッセイまで、文字原稿の依頼も数多くありました。  小説を書いている医師は何人もいますが、医師免許をもつ漫画家というのは今でも珍しいと思います。  専門的な医学の話がテーマだったりすると、手塚が医学博士でもあることを知っている担当者が、前述のような問い合わせをしてくるのです。医学博士のほうが、漫画家よりも権威があると思っての確認だったのかもしれません。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

    「大きなことを成し遂げて成功したい」  こんな望みを抱く人の中には、「成功」をお金ではかる人がいます。  確かに、お金は自分の成果をはかる一つの目安です。大金を稼ぎ、すばらしい家に住み、高価な時計や車、さらにクルーザーをもつというのは、ステータスでしょう。  手塚治虫にとっては、お金は成功のものさしではなかったようです。  無欲だったわけではありません。  アニメ制作には大金が必要ですし、私がマネージャーとなった1973年、手塚がかかわっていた株式会社手塚プロダクション、株式会社虫プロダクション、虫プロ商事株式会社のうち、後者の2社の経営が危ない状況にありました。  手塚は矢面に立って頑張りましたが、2社とも倒産し、借金を抱えこみました。自宅も手放すことになりました。毎日のように債権者が押しかけてくる、本当に大変な時期だったのです。  入社にあたり、手塚は私に言いました。 「アニメをやらなければ、手塚プロは大丈夫です。安心してください」  倒産と決まったら腹が据わり、「借金があっても、返せばいい」というある種の解放感があったのではないかと思います。漫画家としてではなく経営者、保証人として抱えなければならなかった資金繰りのストレスからも逃れられました。  だから次から次へと新しい作品が描けるようになったのだし、「自分が元気で漫画を描けば、お金なんかいくらでも稼げる」という自信もあったのでしょう。

    「患者には高額の手術代を要求しながら、崖の上に建つ簡素な家をすみかとしていたブラック・ジャックは、お金やステータスにこだわらない手塚治虫と通じるところがあるのかもしれません。  手塚は、少なくとも、自分の価値を確かめるために、お金をものさしにはしませんでした。」

    —『手塚治虫 壁を超える言葉』手塚治虫, 松谷孝征著

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    2026年02月16日
  • きりひと讃歌 手塚治虫文庫全集(1)

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    医学部の閉鎖性を暴き、偏見と差別が大きなテーマとなる。さすが、手塚治虫は医師だけある。
     大阪のM大学医学部で66号室のモンモウ病患者は、原因不明で骨軟化症と末端肥大症の併発らしい。その患者を担当していた青年医師小山内桐人は、この病気が退化性内分泌失調であり、気質性疾患とし、川の水や土質に由来する風土病だとする仮説を立て、学生時代からの友人占部とともに研究を進めていた。一方、大名行列を率いる医学部第一内科医長の竜ヶ浦教授はウイルスによる伝染性病原体説をとなえていた。

     学会に提出する論文を書き終えた小山内は竜ヶ浦教授の指示により、担当患者の出身地、徳島県犬神沢村へ赴くことになる。犬神沢村では、記録に残されたもので、223人も同じ病気で死んでいた。身体のあちこちが麻痺して、骨の形が変わり、顔は尖り、背骨は曲がり、手足の骨は萎縮し、立って歩けなくなる。人間というより、犬かタヌキのような姿になる。最後には呼吸麻痺を起こして死ぬ。

     婚約者のいずみを残し、小山内は犬神沢へ赴任する。阿波、剣山地、犬神岳の山深いところに犬神沢村はあった。その村はしきたりのうるさいところだった。1軒家に案内され、ご馳走と言われたのがたづという女子だった。まるで、『砂の女』のシチュエーションである。婚約者のいずみがいながら、寒さで、抱いてしまう。それが翌日には、村の噂になり、村人として認められる。
     たづの父親は、モンモウ病だった。そして、村人たちはそれを隠そうとする。結局、小山内はたづと結婚する。それで、村人は手出しをしなくなる。さらに、小山内はモンモウ病の前期症状が出る。たづや村人は、モンモウ様がのりうつったという。村長は、見舞いに牛の生肉をおいて行くのだった。

     友人占部は、小山内を探しに徳島に行こうとするが、竜ヶ浦教授は、南アフリカ連邦のヨハネスバーグの国際伝染病学会に出席せよという。そこで、南ローデシアでも不可解な奇病があるとローデシア国立大学の教授から言われる。黒人のブッシュメンだけに、この奇病にかかる。

     小山内は、モンモウ病にかかりながら、原因を探し、谷の上流に二畳紀の地層があり、その地層から特別な物質が谷川に混ざり、その他に川の水を飲むことで起こると推定する。また、その谷川の水で作った酒が、モンモウ病になると推定する。その谷川の水を飲まなければ、モンモウ病の進行は止まる。

     小山内は、村長に谷川の水を飲まないように注意して、たづと一緒に保健所に行く最中に、たづは襲われ、死んでしまう。そして、たづを弔い、村から出て、温泉宿に泊まる。大阪の病院に電話するが、小山内は除籍されていた。そして、旅館を出た小山内は何者かに襲われ、船に乗せられ、台湾の万大人の余興の見せ物にされるのだった。お金持ちたちは、お金で買えるような見せ物は見たくない、お金で買えないような余興を要求する。人間天ぷらの芸をする麗花と一緒になって、日本に戻る企みを構想する。

     占部は、ローデシア国立大学の先生に、モンモウ病の隔離されている牢屋みたいなところに案内される。ローデシア国立大学の先生は、白人主義者であった。また占部は修道院院長に連れて行かれ、修道尼が、モンモウ病にかかっていることを診断し、白人も罹病することを知る。占部と修道尼は院長に銃で撃たれるが急所は、外れていて、奇跡的に黒人の医師によって助けられる。占部は医師として、モンモウ病にかかった修道尼に、キリストの苦難に耐える道を説く。

     このモンモウ病は、ハンセン氏病に対する社会的な風潮とよく似る。また、南アフリカの白人主義もシンボル的な表現だ。差別社会のなかで、モンモウ病がどうさらに差別されるのか?手塚治虫の医療に関する深い怒りが内在している。このマンガ、すごいなぁ。これだけたくさんのテーマを盛り込んでいる。

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    2026年02月09日
  • 七色いんこ 5

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    特に印象に残ったのは「王女リビア」と「俺たちは天使じゃない」ですね。いつもニヒルに振る舞ういんこがサスペンス張りに追い詰められたり人間味を出したり。ホンネも定期的に出てきてかき回すけど何かの伏線なのかな。いんこのタッチも変わってきて作風を変えようとしているのか…

    #ほのぼの #ドキドキハラハラ #タメになる

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    2026年01月25日
  • 七色いんこ 4

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    12人の怒れる男の七色いんこ版が面白い!映画でしか知らなかったけど元々芝居だったのですね!そしていんこの本音と称するぼろ布がいんこを翻弄するのも面白いよくある手法なのかもしれないけど本当にその世界観に引き込まれてしまいます。

    #タメになる #エモい #深い

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    2026年01月10日
  • アドルフに告ぐ 5巻

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    歴史は繰り返す

    終戦とヒトラーの死、ユダヤ人迫害の終結、ここから前を向いて頑張っていこう...で終わらないのが手塚治虫。
    人はなぜ争いを繰り返してしまうのか、考えさせられる最終巻。

    #ダーク #タメになる

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    2025年09月21日
  • アドルフに告ぐ 1巻

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    不朽の名作

    40年前にこの漫画を描いた手塚治虫の才能が恐ろしい。
    まだ純粋無垢な少年たちを待ち受ける運命が気になる。

    #ダーク #深い #タメになる

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    2025年09月21日