山本甲士のレビュー一覧
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自伝的小説の形をとった小説指南書。妻と離婚し、会社を左遷されて佐賀県に閑職に追いやられた主人公が、息子との絆を取り戻すために児童文学を書こうと思い立って小説家となるまでの過程を描いています。ある程度文章を書いてきた人向けの指南書ではなくて、ずぶの素人が文章の書き方を学びながら、人を楽しませる物語を紡げるようになるまでの成長物語として描かれているので純粋な小説としても楽しめます。実際に装入される主人公の作った小編がだんだんと洗練されていくのも具体例として分かりやすい。それだけでなく、作中に登場する著者が主人公に与える助言が具体的で実践的だし、小説を書こうと思うなら読んでみるべきその他の小説指南書
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私は、高校・大学の頃、高倉健の任侠映画にはまっていました(^-^) 山本甲士さんも同じだったのではないでしょうか。「運命のひと」(2018.1 文庫)で、主人公の岩瀬修をして、高倉健に憧れ、任侠映画に惚れて大きくなっていく少年の姿を描いています。高倉健のような昔気質のテキ屋(焼きそば屋)の中間(なかま)のおっちゃんがとてもいい味をだしてます。また、修の従姉の岩瀬弥生、心臓病で中学の時急死しますが、二人の純愛ぶりに昭和を感じます。この本は「銀幕の神々」(2015.1)を改題・文庫化したものだそうです。「銀幕の神々」は2年半前読んでますが、再読しても、初めて読んだような感動に近かったです。加筆改稿
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小説の書き方を小説で語るというメタ小説。
実際の作品(著者がかつて書いたもの)が全文掲載されているため、改善された点や上達具合が具体的にわかる。
また、著者が会得した小説を書く技術が箇条書きになっているのも、非常に参考になる。
なにより、「山本宏司」という主人公の創作態度が、いかにもアマチュアのとりそうな態度であることにも共感を持てる。
苦労して書き上げた作品を添削された時の、むっとした感じ。反発。ほんとうにそうなんだよなあと胸が痛くなった。
技術としては、あまたある創作作法に書かれているものばかりなのだが、それが山本宏司の心情や行動とあいまって、じんわりとしみてくる。具体的に行動するとはどう -
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まず、とても読みやすい。
少し出来過ぎ?と思うこともないでは無い…笑。
でも、シンプルにハッピーになれる。
ちょっと「ボブという名の猫」を思い出すかな。
かくいう自分も…このボブに憧れて…というよりボブこと茶トラの猫に憧れて…本来なら犬派でネコは苦手だったのに、突然、家の前に現れた捨て猫を拾ってしまったのが四年前。。。だって茶トラだったから、笑。。。
今では片時も離れない甘えん坊であり、、、我が家の大事な五男坊。
社会の歪みにすっぽりとハマってしまって、もがき苦しむ時が誰にも一度はあると思うけれど、ネコの存在が無くても、、、宗也くんの姿に励まされることは多いと思う。
最後の最後まで「仕 -
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人生に立ち止まっている人たちの前に、突然現れる迷い犬。
赤い首輪に「マジック」と書かれた黒柴はあのオス犬は、仮の飼い主たちの人生を好転させると、魔法のように立ち去ってしまう。
春夏秋冬、それぞれの季節での仮飼い主たちとマジックの物語。
皆パターンは同じで、マジック去ったあとには保護犬を迎える決意をするところまで同じ。
でも、なんとなく飽きる気持ちにならない。
どの話もハッピーエンドが見え見えで、ドキドキしたりハラハラしたりはしない。
読者は、ただ登場人物たちを見守る存在となる。
マジックって結局のところ何者なの?そんな疑問すら、不思議と浮かばないのだった。
こういう疲れない読書も、良いなと