山本甲士のレビュー一覧
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ある日ふらりと家に現れた黒い雑種犬。赤い首輪に「マジック」と書かれている以外の手がかりがない。しかたなく餌をやり散歩に連れ出すと、これまで全く話さなかった近所の人と交流が始まり、疎遠だった息子家族と接近を始める。ある日マジックが引っ張っていった先には、近所からも気味悪がられる家があった…。
春、夏、秋、冬と4章に渡ってマジックが色んなところで活躍をするさまを描くコメディーなのかヒューマンドラマなのか。そして、最初のおじさんのところの話で続くのかと思いきや、季節のかわりとともにふらっと違うところに移動し、マジックを軸に4人の人生のを描いていく。
全体に、マジックは大人しくて何もしない。『ドン -
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プロの釣り師になる夢に破れ、実家の民宿を継ぐつもりで佐賀に帰ってきた古場粘児と、粘児の交際相手の中二の娘希実がタッグを組んで、経営の悪化している「民宿ひなた屋」を立て直してゆくサクセスストーリー。
粘児が釣りライターとしての仕事を辞めることになった経緯や、希実が佐賀にやって来るきっかけなどが丁寧に書かれていて、話の流れに納得しながら読むことができました。
一度はあきらめたはずの釣りのおかげで、粘児と希実との距離が縮まり、民宿ひなた屋も復活の道を開いていくという、釣りの楽しさを存分に味わうことのできる物語です。
鯉こく鍋やイノシシ鍋など食べ物の魅力も満載で、地元の同級生たちも温かく、佐賀に行って -
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迷犬マジックシリーズ第三段。
今回は、マジックは原屋敷さんの家を拠点にしつつ、時々放浪しては、モヤモヤを抱えた人たちを元気にし、新たな一歩を踏み出させていく。
オリンピック強化選手にまでなりながら、怪我で競技を諦めて腐りがちだった元選手、会社の体質、上層部の態度に納得がいかないアラサー女性の技術社員、両親の営む家業をなんとなく恥ずかしいと感じていた小学生、公園のオブジェについてのクレームに悩まされる市役所職員。
みんな、突然現れたマジックと関わるうちに、考え方がポジティブになり、新たな一歩を踏み出していく。
そして、私の犬を飼いたい気持ちは強まる一方。(笑) -
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シリーズ第二弾
前向きな気持ちになり、元気の出る一冊です。
少しだけ毎日が楽しくなりそう。
迷い犬として突然現れるマジック。
(赤い首輪にうっすらマジックと書いてある)
毎日が上手くいかず、ネガティブになっている人の前にスッと現れ、勝手に付いてくるのです。
そして寄り添い、時には導き、励ましてくれる不思議な犬。
ツンデレな感じもクスッと笑えて良い。
話の展開はお決まりのパターンでテンポよく進み、安心して読める心地良さ。
春夏秋冬の4編からなる連作で、登場人物たちが次々に繋がる感じが前作よりずっと濃くて面白い。
人生って、ちょっとしたキッカケから違う方向に転がるものだなぁ、と思う。
毎日つま -
Posted by ブクログ
冴えない生活を送っている人のもとにフラりと現れた迷い犬のマジックが、その人たちの暮らしを好転させていくストーリー。
妻を亡くし、家族ともギクシャクしていたおじいちゃん、一向に日の目を見ない路上ミュージシャン、流行らない理髪店を営むメタボの中年男性、仕事を辞め家族とも折り合いが悪くて独り暮らしを始めたアラサー女子。それぞれ、突然やって来たマジックと過ごすうちに、周囲の人との交流が生まれ、次第にポジティブになっていく。
そして、その人たちの人生が好転し始めると、マジックは自分の役目は終わったとばかりに去その人のもとを去り、また次の冴えない人を幸せにしていく。
ここまで不思議な犬はそうそういない