山本甲士のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
迷える人たちをよき方向に導くという不思議な能力を持つ犬・マジックの1年を描く連作短編ハッピーファンタジー。シリーズ3作目。
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集荷された宅配荷物が運び込まれてきた。煤屋貴士らバイト従業員たちが主任の指示で配置につき、ローラーコンベアの上を流れてくる荷を地域ごとに仕分ける作業にとりかかった。
作業は煩雑で3月下旬の今は引っ越しによる荷物も多く、目眩がするような忙しさだ。ただ現在大学4回生の貴士にとっては1〜2回生の頃にしていたバイトなので、勘がすぐ戻ってスムーズに作業できている。黙々とこなすうちに仕分けが終わり、次の集荷搬入まで休憩となった。
貴士がフラットホーム -
Posted by ブクログ
シリーズ第2弾!
おもしろかった。
著者の作品は「ひかりの魔女 」シリーズが切っ掛けで読むようになりましたが、こちらも好き。
モヤモヤした気持ちを抱え、日々を過ごしている人の前に、突如現れる黒柴・マジック。
まるで人間の言葉を理解しているような行動や表情で、一時的に迷犬を預かるだけのはずがみんないつの間にかマジックのペースに!
でも、そこからの変化が明るく好ましくて嬉しい。
『マジックがいるだけで日常に変化が起こり、人々の気持ちがなごみ、世界がちょっと違って見えてくる。』
本当にそうだと思う。
犬がいるってだけで周囲の反応は変わるし、自然と人が集まってくる。
その愛らしさで、今まであった -
Posted by ブクログ
大人のファンタジー。
この作品を30代の時に読んでも面白くなかったかもしれない。自分が主人公の年齢と近いため、共感するかは別として、その心情はよく理解できたのだと思う。
本作を読む時に注意しなくてはならないのは、色々と突っ込んではいけないという事。
そんなに都合良く大株主と知り合いになるかよとか、引きこもりが立ち直ったら父親が新聞記者でコラムに掲載ってどんだけ都合のいい設定だよとか、そういう無粋な突っ込みはNGだ。
何故ならこれはリストラにあった冴えない中年が成功する御伽話でありファンタジーなのだから。
間違っても読者諸氏は、もし自分がリストラにあったらドングリを拾うところから始めような