山本甲士のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
山本甲士さんの「ひなた」シリーズは「ひなた弁当」に続いて2作目。
冴えない中年男性が、ふとしたきっかけから人生を好転させていくストーリー。
それまでやってきた経験と、持ち前のアイデア、人の縁にも助けられつつ、自分にできることを精一杯やっていく姿が胸を打つ。
(一見、関係なさそうな経験が意外なところでつながる・役に立つというのは、著者の山本さんの実体験がベースらしい)
登場人物、全員良い人ばかりじゃん
とんとん拍子でうまく行きすぎでは?
もっと波乱・起伏があってもいいんじゃない?
現実にはちょっとありえないか?というところもあるだけに、こんな声があがるかもな、と思いつつ、それでもあえて言いた -
Posted by ブクログ
長いこと引きこもっていた男性が、子猫を助けたことをきっかけに変わっていく。その変化の様子が温かい。
猫のマリンとの交流、両親とも会話ができて、両親を思いやることができていく宗也が素晴らしい。
息子の変化を受けいれていく両親も。
マリンのためとなれば、動物病院にも、買い物にも行ける。
宗也に必要なのはきっかけだったのかもしれない。
きっかけを得て、行動範囲は広がっていく。
心から、宗也を応援しながら読んでいた。
正直言えば、筋トレのうんちくや、ブログ常連さんのあれこれはいらなかったかなー、とか思わないでもないけど。
宗也にも、他のみんなにも幸あれと願う。 -
Posted by ブクログ
窃盗容疑で誤認逮捕される冴えない中年男性。これまでの冴えない人生やツキのなさを知ると、青天の霹靂のはずの誤認逮捕すら仕方のないことに思える。そんな負のオーラを持つのが主人公の名井(ない)だ。
理不尽さに世を恨み悪い方に振れてしまってもおかしくないが、そういう激情型の人間ではない。感情で突っ走らず、状況を客観視して粛々と行動できるところが彼の良いところだ。
「余計なことはしない」が信条と言い周りに流され巻き込まれているようだが、一つ一つの彼の選択が世の中にムーブメントを巻き起こした。彼自身は意識していないようだがそこにはぼんやりとだが確かに行動指針があり、それが良い方向へ導いてくれたのだ。
-
Posted by ブクログ
人脈もとても優れている最強おばあちゃん。
そして料理も上手。
私もこういう年のとり方をしたいなと思った!
内容はある日おばあちゃんが
一緒に住むことになる事から始まる。
介護のことや今後のことについて
不安になる家族だが、その心配とは裏腹に
とても元気で活発なおばあちゃんの姿。
リストラ寸前の父やパートを急遽やめた母、
非行に走る妹、そして浪人生の自分。
どん底になるかと思いきや、
おばあちゃんの存在が家族を救う!
読んでいて思ったのは、
何年も慕ってくれたり、大切に思ってくれる人は
いい人生を送るなと思いました。
私もこの本に出てくる ひかりおばあちゃんのような
素敵なおばあちゃんに -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公のオサムは63歳。今は小さいながらも会社の役員をしている。
この彼の任侠映画に夢中になった少年時代の回想の物語。懐かしい昭和感の漂うちょっといい話でした。高倉健、鶴田浩二、藤純子…銀幕の中のスターたちは、潔くてカッコいい。こんな風に生きていきたい…そう思っていた青春時代をオサムは送っていた。そして何人かのキーパーソンが登場して、彼の人生と交わっていく。その接点がそれぞれ味わい深い。
その一人は中学時代に出会う従姉妹の女の子。彼女は心臓の病気で入院している。
まだ恋も知らない二人は病室でお互いを意識しながらも他愛無い話をして、夢を語り合う…しかし彼女は病に勝てずに居なくなってしまう。これ -
Posted by ブクログ
山本甲士の「巻き込まれ型小説」における最新刊。これまでも『どろ』(お隣さんとの嫌がらせ合戦)、『かび』(主婦VS大企業)、『とげ』(市役所職員の災難)と読んできたが、この『つめ』も予想通りめちゃくちゃ面白かった。
簡単に言えば、近所の嫌われ者のおばちゃんと、主人公の主婦の嫌がらせ合戦。(表紙の絵が物語っている)ご近所同士の争いごとって、少なからずあって嫌な思いをするが、この小説にはプラスαのレシピがあった。
ちょっとネタバレだが、山本甲士さんはこの点に注目し、この『つめ』を書かれたようで、飼っているドーベルマンを近所にけしかけ、周りから嫌われ者になり、主人公の主婦と対峙するが実は…という展