上坂あゆ美のレビュー一覧
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ネタバレ自分のことを、相手のことを、ここまで細かく言語化できるってことは普段からそれだけ色々なことを感じて考えてるってことなんだろうなと思う。
感覚と擬音語擬態語で済ませてしまう自分には難しいところも多かったけど、お2人のやり取りの行方をちょっとハラハラ(それは…言い過ぎでは?とか)しながら読みました。
読みながらずっとうっすらもやりと思ってたことが、ひらりささんの " だって、負け戦では?" で決壊、あぁそれだーーーーと頭を抱えました。
自分を出し、相手を知ることで刺し違えることも厭わない覚悟を感じた、初めて読むタイプの往復書簡でした。 -
Posted by ブクログ
【友達】ってなんだろう。
友達じゃないかもしれない、ひらりささんと上坂さんは、互いに心の内を往復書簡としてしたためる。
それはさながら本気のボクシング、いや、異種格闘戦のようで、ほんとに人と人とが対話するということは、どこか格闘技めいてくるのかもしれない。
途中に挟まれる短歌がまた、意味深く輝いている。
ひらりささんは文筆家で、エッセイを書いていて、別名で短歌も発表している。劇団雌猫というユニットでオタク活動も。
上坂あゆ美さんは人気歌人で、エッセイも書いていて、ポットキャストや演劇、スナックのママと、いろんな方面で才能を発揮。
対話型AIのようなひらりささんと、自分自身を怪物という上坂さん。
まったく人間性が違うふたりが、緊張を孕みながらも、ことばを重ねていく。
その、本気度合いに感動して、出先で涙してしまう。(ウェットですいません。)
読後は、スポーツ観戦の後のような爽やかな疲れが襲ってきた。
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ネタバレ歌人上坂あゆ美さんのエッセイ。とても面白かった。正直、歌集はそこまでピンとこなかったが、エッセイはかなり好みだ。女好きでギャン中のどうしようもない父、メンタルも身体もはちゃめちゃに強い母、陽キャでマイルドヤンキーの姉。癖が非常に強くコミュニケーション強者の家族に囲まれて、内気かつ攻撃的な上坂さんの人生はかなりごたごたしながら進行する。
親の離婚前に母と家を出て、移り住んだ先が元デリヘル事務所の部屋…などエッセイのエピソードはどれもかなりインパクトがあるが、悲壮感や鬱屈感などはなくあっさりと語られるので笑えてしまうのだ。短歌を読んだ時は父親は性格もなにもかもクズなのだろうという印象だったが、性格は愛嬌があってみんなに好かれるタイプ、というのが意外だった。そのせいでよけい面白いが。
我が家は普通じゃないと劣等感を抱いて生きてきたのに、久々に再会した友達に「本当に羨ましかった」と告白される話、元デリヘル事務所のアパートでの暮らしの話、母親の彼氏ティマ君の話が特に好き。形はいびつながら、愛の話なのだ。 -
Posted by ブクログ
タイトルからして面白そうな雰囲気しかしない。
同僚が短歌好きで、短歌に少し興味を持っていたときに、なにかの拍子にこの著者のことを知り読んでみた。
対談イベントで見た時のしっかりした女性という印象とは裏腹に、この本では自我が強かった学生時代ややさぐれた家族環境だったりが赤裸々に書かれてあり、こういう文章を読むたびここまで自分のことを書けるのってすごいなと思ってしまう。
それでも家庭環境は変われど母に対する想いやつい言いすぎてしまったあとの後悔のようなものは分かるなと共感できることもあり、そうした言語化したくてもできないような心の機微を短い文章の中で研ぎ澄まして表現できる能力や努力に羨ましさも感じる。
同じ30代前半くらいに読んだら、もっとびしびしに共感できたような気はする。
すごく現実的で大人びた方だとはおもうが、
やはりここからどうとでもなれる若さを
所々に感じてまた羨ましくなりました。 -
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風呂に入るまでが面倒くさい。
サッと入ってしまえばすぐに済むのに、毎夜、「あぁ、風呂に入らないとなぁ……」と思いながら、何時間も無駄な時間を過ごしてしまう。
スマホというやつは本当に良くない。テレビも見られるし、ラジオも聴ける。こうして、風呂に入るまでの時間はいくらでも溶けていく。
「5分後にお風呂に入りたくなる!」
そんな謳い文句を見て、縋るような気持ちでこの本を手に取った。
本書には、入浴にまつわる18篇の小説と4篇のエッセイが収録されている。どれも5分もあれば読み切れるような短い作品ばかりだ。
しかし、これを読んだら即座に風呂に入れる、という作品は、残念ながら一篇もなかった。
私とて、正直な話、この本を読んだからといって、簡単に風呂に入れるとは思っていなかった。
ただ、少しでも早く風呂に入る決心ができるようになるためのヒントがないかと思ったのだ。そのヒントは、結局「風呂に入らない」2篇の中にあった。
風呂に入らないと決め、痒みや気持ち悪さといった数多の「受難」を乗り越えて、ついには「思い込み」の力で、風呂に入らなくても「入浴の効用」を得られるようになったと主張する青年を描いた、さや香新山作の『プラシーボ!』。
風呂に入らなくても身体を完璧に洗浄する技術が開発された近未来で、人類が入浴という苦難から解放され、ついには入浴が法律で禁止される世界を描いた、日野瑛太郎の『そして誰も風呂に入らなくなった』。
人間というのは天邪鬼なもので、他人から「やれ」と言われればやりたくなくなり、「やるな」と言われれば、やりたくなるものだ。
同じように、風呂に入ることを固く禁じられたなら、私は今すぐ風呂に入りたくて仕方なくなるのかもしれない。 -
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本書は、お風呂にまつわる22篇の短編小説・エッセイ((小説18篇、エッセイ4篇))からなるアンソロジーです。
タイトルに「5分後に」とあるように、1篇5分ほどで読み終えられます。
大変恥ずかしながら、わたしは風呂キャンセル界隈のひとりです。
疲れて帰ってくると、そのまま寝落ちてしまいます。
ですが、疲れた時こそお風呂に入らなくてはいけないという義務感は持っています。
なので、お風呂に入るモチベーションが湧かない日に1篇ずつ読んで、これで入浴できれば最高だと思って購入しました。
が、結論から申し上げますと、本書のおかげでお風呂に入れるようになったということはありませんでした。
お風呂に入るモチベーションが湧かないくらい疲れている日は、小説にも手が伸びなかったからです。
わたしが風呂キャンセル勢なのは、モチベーションの問題ではなく、お風呂に入る体力がないからだとわかりました。
このことを明らかにしてくれたのは本書の功績です。笑
というわけでわたしは体力のある日にまとめ読みしましたが、たぶん編者のかたは、お風呂に入るモチベーションが湧かない日に1篇ずつ読むことを想定しているのだと思います。
以下、感想です。
5分で読める短編小説と言えば星新一作品ですが、本書には星新一作品ほどウィットに富んだ小説は見当たらないかなと思いました。
宇宙が舞台になっているなど、設定が奇抜な作品はいくつかあったのですが。
(ちなみに、宇宙が舞台の小説は3篇もあります。宇宙というお風呂に入りづらい環境を描くことで、逆説的にお風呂の素晴らしさを強調する意図でしょうか。)
どちらかというと、平凡な1日が描かれていて特に衝撃的なオチがあるわけでもない作品のほうが印象に残りました。
特に日向夏『回復の泉』なんかは、RPG風の軽妙な筆致が良かったですね。
「5分後にお風呂に入りたくなる!」の謳い文句からは、お風呂の素晴らしさを称賛する作品ばかり並んでいそうな印象を受けますが、お風呂に入らなくてもよくなったと主張する人を描く作品、更には「人類を風呂から解放する」と高らかに宣言する作品まであるのも非常に面白いところです。
(ネタバレ防止のために、具体的な作品名を挙げるのは避けます。)
本書が風呂キャンセル界隈の人のモチベに効くかはわかりませんが、お風呂というテーマがここまで多様な作品を生むことに感動できるのは間違いないです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
くたくたに疲れて帰った日、ショート動画でだらだら時間を溶かしてしまう日。
「お風呂に入らなきゃ」と頭ではわかっているのに、入る覚悟が決まらない!
あなたに効く小説、ここにあります。
『わたしは本当にばかだ。あの会社を蹴ってしまうだなんて。
けれど、わたしが何度も頭を下げて選んでいただくなんておかしい。いま、こちらが未来を選んでいるはずだった。もっと気高くいなければ。わたしは落ち込んで醬薇風呂に入るような女なのだから。』
【個人的な感想】
お風呂に入りたい!とはならなかったが、色々な方の作品が読めて面白かった。
特に、この2作品が好きだった。
・無力 小原晩
・薔薇風呂の日々 くどうれいん