梨のレビュー一覧
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中盤までのホラードキュメンタリーの空気感が一変する後半。怪談×青春。想像をしていた爽やかさはほぼ無く、どんよりと重たい。自死との向き合い方を何だかとても深く考えた。そして考えれば考えるほど、苦しくなる。怖くなる。思春期特有の不安定さと怪異による恐怖の合致。さもありなん。
とは言え、梨氏はどうにも小難しい用語を並べたがるなぁ。という印象は否めない。ある程度怪異に正解を持たせたいという本人の意思は分かるんだが、これできちんとその意図が伝わるのかは甚だ疑問だ。
ただ、同じ文章を反復することによって、逼迫した状況や心情を上手く表現しておられるので、夢中で読み進めてしまった。一気読み。ホラーと呼ぶこ -
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ネタバレ
主にネットで有名な共同創作サイト「SCP」とそれをテーマにした小説的な作品を指す「tale」というものがあり、本作品はこれらを固有名詞の使用を極力避け、一般的なホラー小説の一つとして世に出すという試みだと思う。
scpと小説内では「システムとしての怪異」として説明され、つまり学校がある土地の異常性がこれにあたる。
土地の異常性とは、怪異が起こりうる場所のように思われ、噂が生み出され、尾鰭をつけながら発展していく土壌。そして精神的に弱っている人がこの場所に近づくとこれらの噂を信じて次第に現実として受け入れるようになっていく。
創作物としての「scp」が基本的に報告書っぽい客観的な記述、あ -
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怪談ユニットFEAR飯による怪談語りツイキャス「禍話」。膨大なアーカイブを擁する禍話には、存在しない、n回があるという。そんな噂を耳にしたホラー作家、梨が集めたn回の情報を元にしてリライトしたのが本作「禍話n」である─
わたしは禍話のヘビーリスナーであるため、"気持ち悪く改変された"リライト、ではあるが、元の話を何十回も聞いてる身としては物足りなさがある。加えて、作家とあまり相性がよくない(がホラーファンなので映像作品などはだいたい目を通している)ため、作家の持ち味である「幕間」「オチ」部分を楽しむことも出来ず。
しかし、禍話をまったく知らないホラーファンが読むなら、元 -
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ネタバレ昔のインターネットに触れていたかどうかで恐怖の度合いが変わりそうな気がした。
ネット特有の用語とか空気感とか、あんまり知らない人からしたら全体的にハテナになりそう。
私はインターネット黎明期よりも後に生まれて噂で昔のインターネットを知っているくらいなので、昔のインターネットにあった怖い話、という感覚で読めた。
あんまり実感として怖くはなかったかも。
「お前の死因にとびきりの恐怖を」を先に読んでいたのだけれども、この2作品にはどこか似通った空気を感じた。
「お前の〜」はポジティブで「かわいそ笑」はネガティブ要素が強いけど、どちらも似たような景色の道を歩いている気がする。
初めのQRコードを読 -
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文芸部の片隅で見つかったUSBメモリ。
それは、ひとりの男子学生の死に関する情報を集めたものだった。
その男子学生の死因は「自殺」。
ただ、発見現場には数々の不可解なものが残されていた。それらの痕跡は、まるで恐怖に苦しんだ結果、超自然的な儀式に手を染めたかのようで……。
文芸部で発見されたUSB、新聞部の校内記事、合唱部の変遷に関するインタビュー。様々な情報から見つけ出す「真実」の物語。
まるで恋愛小説のような美しく透明感のある本ですが、梨さんらしい考察要素もあるモキュメンタリ―ホラーで、QRコードで実際に作中のUSBメモリに入っていた情報を見る事が出来たり、何に載っていた情報かによってビ -
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