藤ノ木優のレビュー一覧

  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師が描く小説はリアリティがあります。専門的な用語も飛び交うがそれもまた面白い。本短編集はよく知った医師作家が多かったので、新たな面も見れて楽しめました!

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    2024年08月07日
  • あしたの名医―伊豆中周産期センター―(新潮文庫)

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     伊豆半島。温泉や景勝地、魚の幸・山の幸にも恵まれた豊かな土地だ。
     けれど近年、伊豆でも若者の流出とともに過疎化も始まっている。医療施設の減少も目立つがそれは産婦人科において特に深刻である。
     そんな伊豆の産科医療を支えているのが伊豆中央病院、通称「伊豆中(いずなか)」だ。

     伊豆の新しい生命の誕生を第一線で守る伊豆中産婦人科医たちの奮闘を描いた医療ドラマ。
     北上次郎オリジナル文庫大賞。

     なお物語は主人公の北条衛の視点で展開するが、第4話「城ヶ崎塔子の夏休み」のみ先輩医師の城ヶ崎塔子の視点で語られる。
              ◇
     天渓大学医学部附属病院の医局員、北条衛に急な異動の辞令が出た。異動先は伊豆中央病院。
     ここは産科救急特化型の施設である総合周産期母子医療センターであり、産科関連業務が中心だ。

     東京の本院を離れるということは、最新の情報や先進医療から遠ざかるということに繋がる。だから地方への異動は、ただでさえ気が進まないものだ。
     ましてや婦人科の腹腔鏡手術のエキスパートになるべく研鑽を積んでいた衛にとって、産科医療にしか携われない病院への異動は、キャリアの中断を意味する。
     さらに衛の前任で赴任半年で逃げ帰ってきた佐伯によると、三枝教授によるワンマン体制や教授ルールと呼ばれる謎の決まりなど、息が詰まるような環境だと言う。

     まったく気が重いだけの異動だが、衛には断るという選択肢はない。1年したら呼び戻すという口約束を信じてしぶしぶ伊豆に赴任したのだった。
     そんな後ろ向きな気持ちで着任した衛を待っていたのは……。 ( 第1話「カイザーと着任祝いの金目鯛」) ※全5話。

          * * * * *

     主人公の北条衛が、数々の出産や帝王切開を介助し、さらに困難を極める手術の前立ちを務めることで、産科医として成長を遂げていくというストレートな展開ですが、非常に胸を打つストーリーになっていました。

     医師としてのキャリアの中断を甘受し、悪い噂の絶えない職場へ赴いた衛。当初は警戒心をあらわにし、病院の体制に疑問を感じていました。
     けれど彼を迎えた人たちの温かさや高邁な姿勢に触れるうちに、医療に携わる者に最も必要なものは何かということに、衛は気づいていきます。

     衛の意識を変えていった人たちが、実に魅力的です。

     まず、気難しい暴君のように見える院長の三枝教授。
     実は伊豆の産科医療の将来だけでなく勤務医の人生にまで配慮する、懐の深さと情の深さを持ったリーダーです。
     また、医師としての見識や手術で見せる判断の的確さ、手技の正確さやスピードは神懸かり的で、衛は思わず見入ってしまうほどです。

     次に、衛の直属の上司である、産科部長の城ヶ崎塔子。
    小柄でスリムな身体のいったいどこにこれだけのパワーが ⁉ と思うほど、 明るく周囲に気を配りつつチームを鼓舞し、急患の多い現場を引っ張り続けます。
     また、患者に対しても行き届いた対応を忘れない姿勢は、衛の心を打つほどです。

     その他にも、下水流明日香とスキンヘッド田川という2人の先輩医師、医局時代の後輩だったイケメン神里、塔子に心酔する看護助産師の八重も一騎当千の強者で、まさに役者が揃っています。
     いずれも産科医療に誇りを持ち、常にベストを尽くそうと努める。その熱量は、読んでいるこちらの心まで熱くしてくれるようでした。

     「医は仁術」。読後、最初に浮かんだのがこのことばです。

     もちろん医師としての価値観は様々でしょう。だから東京の本院での順調な出世を第1に考える医師がいるのを批判するつもりはありません。
     それでも、伊豆中に医師生命を捧げてキャリアを終えようとする三枝や塔子の高潔な精神に魅力を感じずにはいられませんでした。

     余談ですが、毎話登場する料理やクラフトビールの美味しそうな描写も、作品の大きな魅力です。これもぜひ、お楽しみに!

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    2024年06月03日
  • まぎわのごはん

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     小学館が創設した「食」に関する新レーベル「おいしい小説文庫」。2020年、コロナ禍の非日常だからこそ、食小説を通じ読者の心に彩りを添えたい、との思いで立ち上げたとのこと。その内の一冊です。

     ところで、現役医師兼作家さんて結構いらっしゃいますね。本書の著者・藤ノ木優さんもそうで、本作がデビュー作とのこと。今回初読みでした。

     末期患者専門の料理を提供する店「まぎわ」を舞台に、終末期医療の一つのあるべき姿を提示するとともに、人の心や店の流儀が解らない半端な青年・翔太が、人の想いや最後の晩餐を叶えることに喜びを見出し、料理人として成長していく物語です。

     翔太の、包丁の技はあれど心が伴わない、イラッとさせられる描写も意図的なんでしょう。そして、人へ寄り添う手段として「食」も多大な貢献要素なのだと気付かされます。
     なんだか、小川糸さんの『ライオンのおやつ』を思い出しました。食は大事ですね。

     「まぎわ」は確かに「死の間際」かもしれませんが、料理で患者に寄り添って満足してもらえるのなら、残り少ないけれども新たな「生」を燃やすきっかけとなる「出発間際」とも言える気がします。

     こんな「心」のこもった料理を提供されたら、涙なくしていただけません。架空の物語ながら、目に浮かぶ料理と本小説の提起に、心穏やかに手を合わせたくなります‥。美しい物語でした。

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    2024年04月26日
  • アンドクター 聖海病院患者相談室

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    お仕事小説。謝り方なんて誰からも教えてもらえなかったように思う。というか謝ることから逃げてたからじゃないかなと思う。そういうう意味で、身をつまされる思いもした。それ以上に学ぶ事も多かった。

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    2024年03月17日
  • あの日に亡くなるあなたへ

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    読んでいて泣いてしまった。良かったです。
    最近ものすごく涙もろい自分がいる。

    小さい頃に母を亡くした産婦人科医がある日母親が使用していたPHSを母親の部屋(亡くなった日からそのままにしていた部屋)で見つけ、そのPHSに過去の母親
    から電話がかかってきて物語が進行していくというありがちなお話しではあるのですが、なんかすごく感動した。

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    2023年11月29日
  • まぎわのごはん

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    まぎわの料理とは、「死ぬまぎわ」の料理だった⁉️
    「ありがとう。私の人生で、一番美味しくて、一番楽しくて、一番美しいご飯だった」

    「料理を作り続けて欲しい。翔太さんの料理には、人を救う力があるわ。私が亡くなった後も、沢山の人を助けてあげてね」

    現役医師が描く圧巻のデビュー作!

    修業先の和食店を追い出された赤坂翔太は、あてもなく町をさまよい「まぎわ」という名の料理店にたどり着く。

    店の主人が作る出汁のおいしさに感動した翔太は、店で働かせてほしいと頼み込む。念願かない働きはじめた翔太だが、なぜか店にやってくるのは糖尿病や腎炎など、様々な病気を抱える人ばかり。

    それもそのはず、「まぎわ」はどんな病気にも対応し、患者に寄り添った食事を提供する、特別な食事処だったのだ。

    塩一つまみ気軽には使えない店の正体に戸惑いを隠せない翔太。そんな中、翔太は末期がんをわずらう元モデル・如月咲良のための料理を作ってほしいと主人に依頼され――。

    病と向き合う若き料理人の葛藤と成長を現役医師が描く、圧巻の感動作!

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    2023年10月14日
  • まぎわのごはん

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    現役のお医者さんが書いたのか。なるほどー。
    終末医療、最後まで食事をすること=生きること。
    もちろん.叶わない人もいるだろうけど、なるべくそうありたい。
    そんな希望を叶えてくれる食事処に出会った和食職人修行中の翔太の成長物語でもある。
    元医者のマスター、元看護師の小夜ちゃん、闘病中の芝親方。
    登場人物もシンプルでよい。
    これはシリーズ化もありかな?
    また読みたい。

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    2023年01月08日
  • まぎわのごはん

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    ネタバレ

    それぞれの登場人物の描写が丁寧で、好感を持てた。
    咲良と向き合い、一度は逃げ出し、腹を括って戻ってきて、そこからラストまでの流れは夢中になって読んだ。そして泣いた。

    食べることは、生きること。
    死ぬまで何かを食べなければならない。

    素敵な本でした。

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    2021年06月29日
  • まぎわのごはん

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    初めは主人公の短絡さにイラッとしたけれど、まぎわでの彼の成長に心が暖かくなった。
    身近で今まで亡くなった方を思い出し、最期を想像して胸がキュッとなった。
    私は最期に何を食べたいと思う人生を歩むだろうか。

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    2026年10月31日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    本格派ミステリの傍ら併読。医療従事者の働きに感謝。アンソロジーは、様々な作家が読めて楽しく、選択肢が今後広がるかも。介護の問題は、古くて新しく、考えさせられる。

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    2026年10月31日
  • 偽医者がいる村

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    医療事故で居場所を失った産婦人科医が、医師のいない村で人々と関わるなかで、自分自身を見つめ直していく。さまざまな事情を抱えた人々が支え合い、それぞれに生きる道を見つけていく

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    2026年10月25日
  • 偽医者がいる村

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    オーディブルにて耳読。
    限界集落の医療問題は根深いですね。まして産科医は訴訟リスクも高く過酷な労働環境などの要因で減少していると聞きます。予期できないトラブルは誰も責められないはずなのに…。
    母子ともに命を救ってくれている産科医、お産婆さんには頭が上がらない。

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    2026年10月23日
  • あの日に亡くなるあなたへ

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    著者が産婦人科医であり産婦人科がテーマの小説ではあるが、医療の内容は薄め。過去と電話で繋がる設定は良いが、なぜ真相を早く言わないのかモヤモヤした。感動的なストーリーではあるが、モヤモヤや疑問の方が強く残った。過去を大きく変えてしまう展開に主人公が追いついていない。

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    2026年09月10日
  • スウィッシュ!

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    バスケのルール ゲームを知ってないと難しい見せ場が当然あるが、専門用語がわかりにくかった。
    高校生課題図書ですが、この頃の高校生はバスケのルール 知ってるのだろうか?

    特定の人物の性格に助けられた作品
    父親の掘り下げが甘く、現実味があまりない。

    でも、この作者が好きだから読む。

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    2026年08月18日
  • スウィッシュ!

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    この時期になると本屋には課題図書が沢山並ぶ

    今年は高等学校の部を手にしてみた
    著者が藤ノ木優さんだったのも選んだ理由

    「医療は魔法じゃない、怪我と向き合うのはあくまで自分なんだ」

    私も同じようなことを言われたな…
    沢山のドクターたちに

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    2026年08月06日
  • スウィッシュ!

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    ネタバレ

    青春スポーツ小説。
    愛奈がバスケをはじめるきっかけになった羽瑠とのはじめてのプレーに感動。
    女性アスリートに起こりやすい健康問題も描いていて中高生にも読んでほしい内容。

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    2026年07月02日
  • あの日に亡くなるあなたへ

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    ネタバレ

    ありがちな設定(過去と電話が繋がる)なのに、ありがちな展開にならない。
    途中途中で、記憶がさまざま入れ替わっていく様を読むと、読んでいるこちらまで混乱してくる。
    これ、最終的に翔子の記憶の中にも、未来の息子と話をしていた事実が生まれるってことよね?
    ものすごい不思議な展開だと思った。

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    2026年06月19日
  • アンドクター 聖海病院患者相談室

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    研修医凪沙の成長1ヶ月。ってところか。
    著者が医師なので、医療行為の場面や、病状についてとてもリアリティがあるなと思う。
    凪沙が1番初めに失敗するシーン。
    「自分は医者である。患者をどうにか助けねば」と、思うあまりに暴走してしまう感じ、すごくわかるなーと。
    医師ではないが、キャリアコンサルタント資格を手にした後、私は面談で失敗した。
    凪沙と似たような気持ちに落ち入り、「どうにかしなきゃ」と暴走し、クライアントの信頼を損ねてしまった。
    あのときの光景、まざまざと思い出せるなー。。。

    伯母が肺がん末期でホスピスに入院していた過去があるので、武田さんの過程には感情移入をしてしまった。
    幸せなラストだったと思うよ。
    武田さんにとっても、家族にとっても。

    いつか、もっと成長した凪沙の物語もみてみたい。
    その頃には、凪沙は、指導医になっているとかね。

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    2026年06月17日
  • スウィッシュ!

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    成長期での栄養管理の大切さ

    脚を怪我してしまった。エースで親友の羽瑠が全治四ヶ月と診断を受ける。
    このままでは高校生最後の試合に出れない。
    愛奈はチームのために、スポーツドクターの父である竜介に相談するが・・・

    部活に取り組んだからこそ分かる、青春スポーツ小説でした。
    パフォーマンスを上げるために食事管理がとても大事だと改めて教えていただきました。また、女性ならではの悩みなどがリアルにあり、別の大変さを知れました。

    一言言えるのは、全てを否定するのではなく、人の考えに寄り添ってあげる器の大きさも大切だなって感じます。

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    2026年06月01日
  • 偽医者がいる村

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    ネタバレ

    ジャーナリストの記事のせいで居場所を失った医師が、ずっとそのジャーナリストを恨んでいたのに、
    実際に会ってみると、ジャーナリストのほうも自身の記事が炎上したことで、文章を書けなくなっていた。怒りの矛先はどこなんだー?!と悩みながら、田舎のぎりぎり経営の産院で手伝いをしていくうちに、おじいちゃん先生から大事なことをたくさん学ぶ。
    岩手なのかな?東北なので方言に親近感があった。

    お医者さんをあんまり責めたくないなと思った
    ほんとうに大変なおしごと。

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    2026年05月31日