砂村かいりのレビュー一覧
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こういうのが読みたかった!不倫でも、肉体関係中心でもなく、闇を抱えてるわけでもない大人の恋愛話。小説でそういうのが実はあんまり無いような気がする。すぐ相手か自分になにかしらの暗い過去があって、不倫してて原因は過去にあるとか。なんかそういうの多くないですか。これ、全くなんですよ。昔の相手は男性側にも女性側にも現れるけど、ま、大人のお話なので。そういうのどっちもなんもないとかもはやそれは作り話であろうしそんなのが読みたいわけでもない。そういうのが読みたいなら普通に少女漫画に手を出すわけです。まあでも、少女漫画的と言えばそうでしかないのだけど。それを良しとするか、どうか。私は良しとしました。(笑)癒されましたよ!
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Posted by ブクログ
ネタバレ
この本を読んで、愛というのが実に多様性に富んだ概念なのだと感じた。菜穂と尊に性的な触れ合いはないけど、嫌なことがあった夜は一緒に寝て、この人は絶対に味方でいてくれるっていう大きな安心感を感じられるなんて、これを愛と言わずして何を愛と言うのか!と思った笑
愛を感じたシーンはいくつかあった。例えば尊がガレット・デ・ロワの人形が菜穂にあたるようケーキを配分するとか、それに気づいた星夜が悲しいと感じたこととか。砂村さんは本当に、人が人を想うときの愛おしさや痛みの描写が繊細で、読んでいてとても引き込まれる。
そして、どんなセクシャリティでも分かり合える普遍の感情というのは、確かに存在するんだなと思った。例えば、菜穂が男に襲われた時に尊が感じた怒りや焦燥感、星夜が尊に向ける好意に気づいた時に菜穂が感じた独占欲みたいなもの。性的な触れ合いを必要としない人だって、その人が好きで自分のことだけ見ていてほしいっていう気持ちは持っているんだと感じた。勝手にアセクシャルの人は淡白だと思っていたけど、何も激情は性と結びつかないところで生まれることだってあるんだ。
アセクシャルの人って、他人と違うという感覚があって、だからこそ同志を見つけた時に強く惹かれ合うのかな?性欲がない分、きちんとその人自身を好いているような気もするけど、一体どうなのだろうか?色々と疑問が湧く。
マリアージュブランは、フランス語で偽装結婚という意味らしい。最初は少数派のセクシャリティを持つカップルだから偽装結婚なのかと思ってたけど、よくよく考えたらなんで偽装なんだろう?だって、性的な触れ合いを好まない夫婦だっているだろうし、子どもを持たない夫婦だっている。何が真で何が偽りかなんて明確な基準はないのに、結婚したら性的な関係を持って子どもを産むのが一般的だから、偽装だと言われるのは息苦しいと思う。この本を読んだ後は、セクシャリティが違う人でも互いを想う気持ちは持っているし、相手を想うあまりに激情に駆られることだってあるんだって思ったから、二人の関係を外から真か偽かなんて決めつけないでほしいと思った。愛の表現は、夫婦の数だけあるのだと思う。
寂しさを埋めて、ままならない低空飛行の日常をなんとか生き抜く二人の姿はとても親しみやすくて、性的嗜好の違いとかをあまり意識せずにすとんと読むことができた。 -
Posted by ブクログ
2025/07/13
主人公の舘野由麻は9年間付き合っている彼氏の小平和佐からいきなり「好きな人ができた」と告げられる。
結婚を視野に同棲までしていた矢先。でも和佐は一番好きなのは由麻だと言い続けて結婚に向けての話も進めていくのだが、その過程で好きになったという相手のアサミの存在が目立つようになってくる。
和佐の弟の真先は兄のことをありえないとか散々貶してはいるけど、別れるという踏ん切りをつけることができずズルズルと進んでいく関係を描いた小説…だと思います。
テーマ自体は浮気とかそんな感じなんですが、どうにもそんなドロドロした感じを受けないのがこの本の不思議なところだと思います。
いわゆる修羅場というやつがこの小説では頻繁に出てくるわけですが、よくここの登場人物たちはことを穏便に納められるなぁ、すごいなぁとこの作品に没頭してしまいます。 -
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あらすじにあった、「一見価値のないものを集める人たち」による短編集、というテーマに興味を持って読んでみた。
うまく言葉に出来るかは分からないけど、とても良かった。
「梅雨が来る前に」
個人で清掃業を営みながら、訪れた家から髪の毛を収集するという、変わったストーリー。
お決まりの展開ならこうだな、という流れを何故か外していく結末が面白かった。
誰かと共感することが、開示に繋がる訳じゃない。
やっぱり、この続きがあることを期待してしまうのだけど、なくてもアリなんだろうな。
「トカゲのいる闇」
不妊とマネハラとトカゲの脱皮。
読んでいると、早く外の世界に向かうんだ!とハラハラしてしまうのだが、彼女はしっかりと前を見据えて変わり始める。
子どもを産めない自分から脱皮して、自分自身で呼吸をし始めた彼女に、夫も変わり始める。
でも、受け続けた刃が、忘れられることはない。
そういう「根本にある変化のなさ」がこの小説の読みどころなのかもしれない。
それをキャラクターとして体現するのが、「へびつかい座の見えない夜」の今泉さんだ。
歯に衣着せぬ物言いを、お局と敬遠されながらも、スタンスを変えない人。
そんな今泉さんの言っていることを、ぶっきらぼうだけど、女性の働き方に風穴を開けてくれていると捉える瑞季。
ペットボトル飲料のおまけによって、軽やかに紐帯する女性たち。うん、なんか、分かる分かる。
誰かが集めているものに、そっと手を貸したくなるのは、なんでなんだろう。
モノに意味があるのか、行為に意味があるのか。
「揃う」ということが、終わりを表すんだろうか。 -
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ネタバレ【あらすじ】
恋愛感情はない。手を繋いだこともない。世界で一番気の合う、大切な友人と結婚している――男女の新しい在り方を鮮やかに描いた長編小説! 夫婦としてつつましく暮らしている31歳の奈穂と尊。元同級生で、記念日も忘れずに祝い合う仲の良いふたりだが、性交渉はもとより、恋愛感情も存在しない。友人関係だったふたりは、経済面や体裁面でのメリットから婚姻関係を結ぶことを決めたのだった。 恋愛感情に振り回されない、淡々とした暮らしに満足していた奈穂と尊だが、少しずつ二人の関係に綻びが生じて――。
『独身とは、人生の未完成な状態なんだろうか。』
『簡単に結婚しろとかいうけれど、男性に人生の主導権を明け渡してしまうようですごく怖いの。』
『学校で毎日顔を合わせていられる日々とは異なり、卒業後も友達を続けるというのはエネルギーのいることだ。互いに意識して定期的に連絡を取り合い、顔を合わせる機会を設けていかないと友情はだんだんそれぞれの新しい人間関係に上書きされていってしまう。』
『この人は、わたしを粗末に扱わない。』
『人間はやっぱりひとりでは抱えきれないように設計されているんだと思う。この世界はあまりにも複雑だし、大人になればなるほど重い荷物は増えていくでしょ。だからやっぱり支え合うために結婚ってもんがあるんじゃないかな。』
『自分のための言葉は、自分で選び取りたい。』
『自分の痛みにばかり敏感な人間は、もしかしたら自分も誰かの足を踏んづけているかもしれないっていう可能性に気づきにくいんじゃないか。』
【個人的な感想】
普通ってなんだろう。結婚ってなんのためにするんだろう。と思っていた私にぴったりの作品だった。
結婚しなくてもいいと思っていたけど、結婚って悪くないのかも?と思わせてくれた作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
コーヒーは苦くて甘い。
人生も苦くて甘い。
悩みにとらわれた人々の転機にコーヒーが立ち会う。それぞれが選択する未来とは──。
日常の先に潜む、どこか不思議な5つの物語。
ある日、ルームメイトの実果が出ていった。入れ違いに現れた彼女の婚約者と、なぜか同居することになり──「コーヒーの囚人」
真面目が取り柄の地味な会社員が、上司との不倫におぼれた先で出した答えとは──「隣のシーツは白い」
新たな住まいに引っ越した家族の元を訪れる、前住人の老婦人。初めは彼女の訪問を疎ましく思っていたが、待っていたのは意外な結末で──「招かれざる貴婦人」
『「きょうだい児には苦労が多いことは事実だし、その当事者である彼氏がわからないはずないんだよ。それなら自分は子供をつくらないでおこうとかおもわないもんかね」 障害者の家族に寄り添うスタンスをとりながら、結局は自分が障害児の母親になりたくないだけなんじゃないか。』
『彼女が浮気しているらしいことにも少し前から気づいていたけれど、一過性の過ちなど許せるくらい自分の器は大きいのだと思っていた。そして、そんな自分の寛容さに酔っていた。』
『兄は(障害があり)たしかに僕の人生の足枷にはなったけれど、他人に生きる価値をジャッジされなければならないような存在ではない。』
【個人的な感想】
やっぱり砂村かいりさんの作品が好きだなと思った。
設定は全部独特だが読んでいても飽きが来ず、なおかつすっと内容が頭に入ってくる。
個人的には第3話の「どこかの喫煙所で会いましょう」が印象的だった。結婚する彼の兄弟に障害がある人がいる。という状況での彼女の考え方に自分の考えと似たところがありドキッとした。