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Posted by ブクログ
私はコーヒーが好みではない(飲めない)ので、普段紅茶ばかり飲んでいる。読んでいる本の中に紅茶を淹れる描写があると、ちょっと嬉しい。
だけどこの本の登場人物たちの傍には、紅茶ではなくコーヒーが似合う。そういう、どこかザラリとして苦味を感じる雰囲気の話ばかりの短編集。
視点人物達の何気ない心理描写から醸し出される自分勝手さ、差別意識、被害妄想、コンプレックス等々……。誰しもが何かしら持っている『エグみ』みたいなものの表現がとてもリアル。
短編集だし、文体がとても読みやすいのでサクサク読み進められるけど、内容はちゃんと心に刺さる。
装丁もとても好みで、カバー用紙のざらっと感、見返しの濃い茶色の紙なども作品の雰囲気にぴったりだった。
Posted by ブクログ
本の見返しと扉の色が、コーヒーを彷彿させてくれる本。五つの短編のなかの様々な場面で、コーヒーが登場していました。
『コーヒーの囚人』
自分を守るためのちょっとしたずるさが、三者三様の形で表現されていました。彼女と彼が、出ていくのと訪れるのが少しの違いだったことで繰り広げられた時間は、一見穏やかでした。しかし、その穏やかさの裏の心のなかは複雑でした。信用していた人の裏切りを、どう自分のなかで咀嚼していくのかが表現されていたように思いました。
グスタフ三世の、コーヒーの囚人の話は面白かったです。
『隣のシーツは白い』
箱入り娘の不倫。なにも失わないずるい男性に嫌悪感を感じました。最後の場面は、不器用な彼女のことをうまく表現している分、いたたまれなさを感じました。
『どこかの喫煙所で会いましょう』
読後感はすっきり。間違った自己肯定感の高さをスパッと切った最後がよかったです。他人のリスクに排他的では、いつか自分が同じような目にあうことに気づかせてくれました。
『招かれざる貴婦人』
ようやく手に入れたマイホームでの出来事。あり得ない状況をやり過ごすなかで起きたできごとで、主人公が変わっていきました。
こんなふうに日々の経験を重ねることで、女性は強くなっていくように思いました。
『風向きによっては』
はじめの『コーヒーの囚人』とつながっていました。似ているようで似てなかった男女の物語でした。
Posted by ブクログ
砂村かいりさんの二冊目。
展開や構成が抜群!というわけではないんだけど、この人の選ぶ言葉で綴られるストーリーと、波長が合うような気がする。
奥田亜希子さんみたいに。
「コーヒーの囚人」は、同居人の元?恋人が急に押しかけてきて一緒に住むという話なのだけど。
真波が副業として働くスーパーでのエピソードに、なんだかグッと心を掴まれる。
今までは一つの業務に集中できたのに、なぜかチーム毎に調理から陳列までを競わされる。
それが明らかに効率を悪くしているのに、リーダーは自分のやり方が正しいと固執するのだ。
あー。なんか分かるなー。
そうやってイライラしても、何も変わらない。
どころか、自分の立場を悪くするだけだったりする。
こんな小さなエピソードが、楽しい。
「どこかの喫煙所で会いましょう」は、構成も上手い。
30歳を間近に迎えた一人の女性を巡る、二人の男性が交互に視点人物になって展開する。
女性の持つ二面性の、それぞれを好きになる二人の男性の対比も面白いのだけど。
誕生日を前にした彼女が二人に向けて「結婚」をちらつかせてからの、二人の思考もまた面白い。
これ、映像化してもいいんじゃないかなー。
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