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地方の不動産会社で働く瑞季は、鬱屈した日常の中、自分だけの小さな楽しみとして「アルパカのヤスオ」のキーホルダーをひそかに集めている。ところが、孤高を貫いて怖がられている先輩社員の今泉さんとの意外な共通点やささやかな交流を通じて、瑞季の心に少しずつ変化が訪れる――表題作をはじめ、誰かにとっては価値のないものを大事に集める人と、その心を汲み取ろうとする人たち。そんな彼・彼女たちが、ぎこちないながらも心を通わせていく姿を優しく綴った、五つの物語からなる愛おしい短編集。/【目次】梅雨が来る前に/きみは湖/トカゲのいる闇/ハマエンドウが咲いていた/へびつかい座の見えない夜
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Posted by ブクログ
あらすじにあった、「一見価値のないものを集める人たち」による短編集、というテーマに興味を持って読んでみた。
うまく言葉に出来るかは分からないけど、とても良かった。
「梅雨が来る前に」
個人で清掃業を営みながら、訪れた家から髪の毛を収集するという、変わったストーリー。
お決まりの展開ならこうだな、という流れを何故か外していく結末が面白かった。
誰かと共感することが、開示に繋がる訳じゃない。
やっぱり、この続きがあることを期待してしまうのだけど、なくてもアリなんだろうな。
「トカゲのいる闇」
不妊とマネハラとトカゲの脱皮。
読んでいると、早く外の世界に向かうんだ!とハラハラしてしまうのだが、彼女はしっかりと前を見据えて変わり始める。
子どもを産めない自分から脱皮して、自分自身で呼吸をし始めた彼女に、夫も変わり始める。
でも、受け続けた刃が、忘れられることはない。
そういう「根本にある変化のなさ」がこの小説の読みどころなのかもしれない。
それをキャラクターとして体現するのが、「へびつかい座の見えない夜」の今泉さんだ。
歯に衣着せぬ物言いを、お局と敬遠されながらも、スタンスを変えない人。
そんな今泉さんの言っていることを、ぶっきらぼうだけど、女性の働き方に風穴を開けてくれていると捉える瑞季。
ペットボトル飲料のおまけによって、軽やかに紐帯する女性たち。うん、なんか、分かる分かる。
誰かが集めているものに、そっと手を貸したくなるのは、なんでなんだろう。
モノに意味があるのか、行為に意味があるのか。
「揃う」ということが、終わりを表すんだろうか。
Posted by ブクログ
5編から織りなす短編。
どのお話も各章の方がとあるものを集めているお話。
梅雨が来る前に⇨独立して清掃業をおこなう主人公。コンプレックスを抱える彼が、お客であるとある女性に出会い、、、
きみは湖⇨職場恋愛で出会った彼が突然いなくなった。彼がいなくなった手がかりを探しに故郷へ。そこで出会った彼の幼馴染が、、、
トカゲのいる闇⇨不妊治療がうまくゆかない夫婦がペット(トカゲ)を飼うようになった。夫の出張中にトカゲの世話をする事になった主人公がそれをきっかけに前を向くお話
ハマエンドウが咲いていた⇨海でのひと恋のお話
へびつかい座の見えない夜⇨怖がられている先輩と主人公のお話
砂村かいりさん、いろんなお話書けてやはりすごい、、、
Posted by ブクログ
初読みの砂村かいりさん。
他の作品も読んでみたいと思わせてくれる短編集でした。
5つの短編は、自分にとっては価値のあるものを集めている人が主人公でした。どの作品も結末は、現実味を帯びている感じがしました。
読んでいるうちに、人の気持ちを理解しようとする相手の優しさに対して、自分の気持ちに正直に決めていいよと言われているように感じました。
【梅雨が来る前に】
コンプレックスをもつ清掃業者の男性が主人公。集めているもののは、仕事先で収集していました。優しさを受け入れるのが楽とは限らないのが現実的だと思いました。自分のことは自分で選択するという主人公の心理に想いを馳せました。
【きみは湖】
突然いなくなった恋人が集めていたものは、一年に一度ずつ収集されたものでした。彼の本当の姿を知っている幼なじみとの時間を過ごし、主人公の気持ちが穏やかになっていくのが、わかる気がしました。
【トカゲのいる闇】
爬虫類は苦手なので、ちょっと無理と感じるリアルな場面がありました。けれども、苦手を乗り越えた主人公が生き生きとしてきて、私はとても勇気付けられました。
【ハマエンドウが咲いていた】
浜で、自分の胸にしまっていた物語を語る老人が主人公。最後に、はっとしました。集めることに夢中になり過ぎた先にあったものが、切なかったです。
【へびつかい座の見えない夜】
不動産屋で働く女性が集めていたものは、ペットボトルについているおまけ。職場の先輩に対する偏見を否定できたこと、家族とも正面から向き合えたことに、よかったと思いました。最後の場面は目に浮かび上がる感じがしました。私が一番お気に入りの短編です。
Posted by ブクログ
コレクションにまつわる5つの短編。
きっと誰もが何かしらコレクションしているもの、ってあると思う。コレクションしているつもりじゃなくても捨てられないものとか。
最初から、えっ?!そんなものを集めているの?!と思う第一話から始まり、ふむふむと思うこともありつつ、何だかハッピーエンドでもない話も多くて、あまり好みではないかも…と思う話もあった。ただ、表題の「へびつかい座の見えない夜」が一番好きだった。職場や家族など日常にモヤモヤを抱える主人公が自分の唯一の楽しみとしてペットボトルについている好きなキャラクターのおまけを集めている。そのおまけをきっかけに職場で浮いている存在の人と接するようになり、ふとしたきっかけで自分の考えや思いを伝えるようになる。何だか勇気をもらえるような、そんな物語だった。なんというか、すごくイメージがしやすくて、こういう職場あるよね、こういう人いるよね、って思わされた。
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