あらすじ
地方の不動産会社で働く瑞季は、鬱屈した日常の中、自分だけの小さな楽しみとして「アルパカのヤスオ」のキーホルダーをひそかに集めている。ところが、孤高を貫いて怖がられている先輩社員の今泉さんとの意外な共通点やささやかな交流を通じて、瑞季の心に少しずつ変化が訪れる――表題作をはじめ、誰かにとっては価値のないものを大事に集める人と、その心を汲み取ろうとする人たち。そんな彼・彼女たちが、ぎこちないながらも心を通わせていく姿を優しく綴った、五つの物語からなる愛おしい短編集。/【目次】梅雨が来る前に/きみは湖/トカゲのいる闇/ハマエンドウが咲いていた/へびつかい座の見えない夜
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Posted by ブクログ
さすが砂村さん、人の心の些細なモヤモヤに焦点を当てるのが上手。
「トカゲのいる闇」が一番良かったな。夫が勝手に買ってきたトカゲを、いつの間にか主人公の方が熟知してしまう。
「梅雨が来る前に」は、結末が悔しいな〜。そこでギャルとさくっと結ばれないところが人生…。一歩踏み出せるといいな。
Posted by ブクログ
男女が関わることで生まれる感情の描写が本当に秀逸な作家である。
短編集を読む時によくある、3話目辺りで起こる息継ぎのような時間を挟むことなく、最後まで読み切ってしまった。
特に最後の2話は誰もが人生のどこかで出会うかもしれない感情に深く切り込んでおり、瞬きをする間も勿体なく感じるほどに面白かった。
Posted by ブクログ
「梅雨が来る前に」
「きみは湖」
「トカゲのいる闇」
「ハマエンドウが咲いていた」
「へびつかい座の見えない夜」
収集をテーマにした5話収録の短編集。
全作読んでいる推しの砂村かいりさん。
やっぱり大好き。
どの物語にも思わず二度読みしたくなるキラリと光るフレーズがあって、砂村さんの言葉のチョイスに惚れ惚れする。
全話良かったが、特に秀逸なのは「トカゲのいる闇」。
トカゲの給餌シーン以上にグロテスクな夫の言動に嫌悪感で一杯になる。
妻の決意が記されたラスト4行が最高。
表題作も良い。
主人公の瑞季の揺れ動く感情に共感しかなかった。
Posted by ブクログ
帯にあった「あなたが集めてきたものは、決して無駄なんかじゃない」という言葉に惹かれて読んでみた作品。
短編集になっていて、とても読みやすい作品。
1つ1つの章を読み終わると、心が温かくなりました。
今は、好きな作家さんの本を集めることや、好きなキャラクターグッズを集めることが好きなので、何かを集めることが好きな主人公たちに共感できる部分も多かった印象でした!
これからも、好きなもののコレクションを続けていきたいと改めて感じた作品です!
Posted by ブクログ
初めての作家さん
何かを収集する人やことにまつわる短編集
全体的にほろ苦い!でもそれがいい
誰しも感じたことがあるようなちょっとした生き辛さに対して、割と現実的に対応しようとする主人公達を気づいたら応援してた
他作も読んでみたい
Posted by ブクログ
キミは湖を読んで、浜名湖に遊びに行きたくなった。情景を現す文がよかった!
トカゲのいる闇、私も主婦のモドキかもななんて思ったりした。
こちらの作品は装丁が素晴らしい!各作品がちりばめられてる。浜名湖の写真に、へびつかい座、トカゲ、ボビン、貝の絵。開いたすぐの紙も薄紫で。素敵すぎる。装幀は大原由衣さんとおっしゃるのか。
Posted by ブクログ
初読みの砂村かいりさん。
他の作品も読んでみたいと思わせてくれる短編集でした。
5つの短編は、自分にとっては価値のあるものを集めている人が主人公でした。どの作品も結末は、現実味を帯びている感じがしました。
読んでいるうちに、人の気持ちを理解しようとする相手の優しさに対して、自分の気持ちに正直に決めていいよと言われているように感じました。
【梅雨が来る前に】
コンプレックスをもつ清掃業者の男性が主人公。集めているもののは、仕事先で収集していました。優しさを受け入れるのが楽とは限らないのが現実的だと思いました。自分のことは自分で選択するという主人公の心理に想いを馳せました。
【きみは湖】
突然いなくなった恋人が集めていたものは、一年に一度ずつ収集されたものでした。彼の本当の姿を知っている幼なじみとの時間を過ごし、主人公の気持ちが穏やかになっていくのが、わかる気がしました。
【トカゲのいる闇】
爬虫類は苦手なので、ちょっと無理と感じるリアルな場面がありました。けれども、苦手を乗り越えた主人公が生き生きとしてきて、私はとても勇気付けられました。
【ハマエンドウが咲いていた】
浜で、自分の胸にしまっていた物語を語る老人が主人公。最後に、はっとしました。集めることに夢中になり過ぎた先にあったものが、切なかったです。
【へびつかい座の見えない夜】
不動産屋で働く女性が集めていたものは、ペットボトルについているおまけ。職場の先輩に対する偏見を否定できたこと、家族とも正面から向き合えたことに、よかったと思いました。最後の場面は目に浮かび上がる感じがしました。私が一番お気に入りの短編です。
Posted by ブクログ
コレクションにまつわる5つの短編。
きっと誰もが何かしらコレクションしているもの、ってあると思う。コレクションしているつもりじゃなくても捨てられないものとか。
最初から、えっ?!そんなものを集めているの?!と思う第一話から始まり、ふむふむと思うこともありつつ、何だかハッピーエンドでもない話も多くて、あまり好みではないかも…と思う話もあった。ただ、表題の「へびつかい座の見えない夜」が一番好きだった。職場や家族など日常にモヤモヤを抱える主人公が自分の唯一の楽しみとしてペットボトルについている好きなキャラクターのおまけを集めている。そのおまけをきっかけに職場で浮いている存在の人と接するようになり、ふとしたきっかけで自分の考えや思いを伝えるようになる。何だか勇気をもらえるような、そんな物語だった。なんというか、すごくイメージがしやすくて、こういう職場あるよね、こういう人いるよね、って思わされた。
Posted by ブクログ
コレクションにまつわる5つの短編集。それぞれのラストは必ずしもハッピーエンドとは言えないが、自分の生き方を見つめ直したり、新たな人間関係を模索したりと読後感は何やらほっこりとする。標題作と「ハマエンドウが咲いていた」が好みだ。
Posted by ブクログ
短編集5篇
どの作品も何かを収集することがテーマになってるが、物語はそれとは関係ないような気がする。清掃した家で手に入れる髪の毛、初乗り切符、トカゲの脱皮した抜け殻、海岸で拾う物、アルパカのキーホルダー、思いもよらない物を集める収集者。
「トカゲのいる闇」が良かった。
Posted by ブクログ
『コーヒーの囚人』に続く、砂村さん作品で読んだものの二作目。今回もああ、いい、と思いながら読めた。短編集で、最初の主人公が男の人なのが良かった。一番面白いというか、共感したのは[トカゲのいる闇]で、主人公の心境の変化がさっぱりしていて痛快だった。
Posted by ブクログ
五編の短編集。
日常のなかにある消化しきれないモヤモヤした気持ちを、自覚しながらどうすることも出来ずにいる人たち。
そんな彼女たちが、自分の殻を破り一歩踏み出す瞬間が描かれていました。
一番良かったのは表題作「へびつかい座の見えない夜」。職場でのモヤモヤ、わかる気がするなぁ。どんより曇っていた空から、晴れ間が広がっていくような清々しさを感じました。
「トカゲのいる闇」は、登場する夫に嫌悪感。悪気があるのかないのか、こういうのは質が悪いと思う。「まさかそこから!?」という、主人公の変化と未来への可能性に胸がすく思いでした!
読み終えたあと「爽快」まではいかないまでも、どこか晴れやかな気持ちになれる短編集で好きでした。
残念ながら語彙力不足で上手く伝えられませんが、実際にちょっとだけ心が軽くなったとか、
今よりも良くなっていくような気がするとか、
そんな小さいけれど確かな希望や心の機微を感じられる作品でした。
Posted by ブクログ
「アルパカのヤスオ」が気になる。先輩や妹も悪い人じゃなさそうで良かった。女性は逆境を受け入れてから乗り越えるが男性はそうではないようだ。
Posted by ブクログ
普段の自分なら読まないんだけど、なんとなく気になったので読んでみた本。世の中に対して生きづらさやしんどさを抱えた人達の話だと思って読んでたんだけど、そうか、なにかを収集人達の物語なのか……、と他の人の感想を読んで気づいた。一つ目と二人目の話を読んで、「男が総じてクズな本なのか……?」と思ってたんだけど、そんなこともなかった……はず。