あらすじ
コーヒーは苦くて甘い。人生も苦くて甘い。悩みにとらわれた人々の転機にコーヒーが立ち会う。それぞれが選択した未来は――。ある日、ルームメイトの実果が出ていった。入れ違いに現れた彼女の婚約者と、なぜか同居することになり――(「コーヒーの囚人」)。真面目が取り柄の地味な会社員が、上司との不倫におぼれた先で出した答えとは――(「隣のシーツは白い」)ほか、日常の先に潜む、どこか不思議な5つの物語
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Posted by ブクログ
魅惑的な香り、美味しさ、濃く、苦味、コーヒーと恋愛を重ねながら、読んでいた。恋愛には、酸いも甘いもあるけれど、この作品集は、酸いが多めで、恋愛する中で、知らないうちに通り過ぎる違和感や噛み合わなさみたいなものが思い起こされる感じがした。
最後に、実果の人となりに触れる機会があって、嬉しかった。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
コーヒーは苦くて甘い。
人生も苦くて甘い。
悩みにとらわれた人々の転機にコーヒーが立ち会う。それぞれが選択する未来とは──。
日常の先に潜む、どこか不思議な5つの物語。
ある日、ルームメイトの実果が出ていった。入れ違いに現れた彼女の婚約者と、なぜか同居することになり──「コーヒーの囚人」
真面目が取り柄の地味な会社員が、上司との不倫におぼれた先で出した答えとは──「隣のシーツは白い」
新たな住まいに引っ越した家族の元を訪れる、前住人の老婦人。初めは彼女の訪問を疎ましく思っていたが、待っていたのは意外な結末で──「招かれざる貴婦人」
『「きょうだい児には苦労が多いことは事実だし、その当事者である彼氏がわからないはずないんだよ。それなら自分は子供をつくらないでおこうとかおもわないもんかね」 障害者の家族に寄り添うスタンスをとりながら、結局は自分が障害児の母親になりたくないだけなんじゃないか。』
『彼女が浮気しているらしいことにも少し前から気づいていたけれど、一過性の過ちなど許せるくらい自分の器は大きいのだと思っていた。そして、そんな自分の寛容さに酔っていた。』
『兄は(障害があり)たしかに僕の人生の足枷にはなったけれど、他人に生きる価値をジャッジされなければならないような存在ではない。』
【個人的な感想】
やっぱり砂村かいりさんの作品が好きだなと思った。
設定は全部独特だが読んでいても飽きが来ず、なおかつすっと内容が頭に入ってくる。
個人的には第3話の「どこかの喫煙所で会いましょう」が印象的だった。結婚する彼の兄弟に障害がある人がいる。という状況での彼女の考え方に自分の考えと似たところがありドキッとした。
Posted by ブクログ
本の見返しと扉の色が、コーヒーを彷彿させてくれる本。五つの短編のなかの様々な場面で、コーヒーが登場していました。
『コーヒーの囚人』
自分を守るためのちょっとしたずるさが、三者三様の形で表現されていました。彼女と彼が、出ていくのと訪れるのが少しの違いだったことで繰り広げられた時間は、一見穏やかでした。しかし、その穏やかさの裏の心のなかは複雑でした。信用していた人の裏切りを、どう自分のなかで咀嚼していくのかが表現されていたように思いました。
グスタフ三世の、コーヒーの囚人の話は面白かったです。
『隣のシーツは白い』
箱入り娘の不倫。なにも失わないずるい男性に嫌悪感を感じました。最後の場面は、不器用な彼女のことをうまく表現している分、いたたまれなさを感じました。
『どこかの喫煙所で会いましょう』
読後感はすっきり。間違った自己肯定感の高さをスパッと切った最後がよかったです。他人のリスクに排他的では、いつか自分が同じような目にあうことに気づかせてくれました。
『招かれざる貴婦人』
ようやく手に入れたマイホームでの出来事。あり得ない状況をやり過ごすなかで起きたできごとで、主人公が変わっていきました。
こんなふうに日々の経験を重ねることで、女性は強くなっていくように思いました。
『風向きによっては』
はじめの『コーヒーの囚人』とつながっていました。似ているようで似てなかった男女の物語でした。
Posted by ブクログ
コーヒーが登場する短編集。砂村かいりさんといえば、炭酸水と犬やアパートたまゆらを読んでときめきの過剰摂取をし、1人できゃあきゃあした思い出があるので、ほっこりするお話が多いのかなと思いきや。濃く入れすぎたコーヒーの苦味がべったり舌に残っているような、そんな苦い余韻が残る。
所々に日頃「何か嫌だ」と引っかかりつつ深く気にしないようにしてきた感情のささくれみたいなものが散りばめられていて胸がザワつく。そのザワつきが癖になり、あっという間に読み終わってしまった。もっと読みたい。
"招かれざる貴婦人"の得体の知れない不穏な空気がとても好きだったなあ。
Posted by ブクログ
・コーヒーの囚人
全員が恋の関係になった?
・隣のシーツは白い
シーツの確認はなんとなくしたくなるのはわかるけど、拗らせすぎてて、ほんとうにどこに着地したい人なのかわからなかった。けど、話は面白い。
・どこかの喫煙所で会いましょう
なんか好き
あと2つも読んだけど、前半から期間空きすぎてメモするの忘れてた。
寝る前読むのにちょうどいい本。
コーヒー飲みながらが一番いいんかもやけど、笑
Posted by ブクログ
5つ短編集。表題作と隣のシーツは白い、どこかの喫煙所で会いましょうの三つが私は良かった。だめと分かっているけれども…心情描写に引き込まれた。
どれも経験したことないことだけど、なぜだか分かると思えるような気持ちになるのが不思議。
作者の他の作品も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
どこか私には馴染みがある話で
すーっと身体にストーリーが入り込み読み進めてしまった。
自分の軸がないようで、こだわりを持つ人々。
それを分かっていながらも、これが私として生き続けるんだろうな。
カフェでドリップしたのではなく
誰かにコーヒーを淹れてもらいたくなった。
Posted by ブクログ
「コーヒーの囚人」
「隣のシーツは白い」
「どこかの喫煙所で会いましょう」
「招かれざる貴婦人」
「風向きによっては」
5話収録の短編集。
現在、大注目している砂村かいりさん。
今まで刊行された長編五作品も良かったが、初の短編集となる本作も面白かった。
どの物語にもコーヒーがアクセントとして登場する。
ほんのりとした甘やかさを感じていると突如現れる酸味と苦味にやられる。
身近に存在していそうな登場人物に自分を投影し、共感したり悩んだりしながら読み進めた。
棘も毒もあるけれど、随所にドキッとする言葉が散りばめられた上質な短編集。
Posted by ブクログ
日常とその中に潜む非日常の感覚が面白かった。みんなそれぞれ身勝手で自己中で、不満を抱えながらも未来に向かって決断していく。ほろ苦い結末にブラックコーヒーが印象的な短編集。
Posted by ブクログ
コーヒーの囚人と聞いて、どんな話なんだろうと思いました。中身を見ると、不思議な同居、社内不倫、障害への偏見など様々でした。個人的に感じたのは、自分を大切にする事です。特に自分の正義を大事にするというか、最後はスッキリするお話が多かったです。筆者の書き方が上手で、物語に入り込む事ができました。個人的には、ストーリーの深さよりも、筆者の情景描写が上手で、サクサク読める著書でした。
Posted by ブクログ
複数話に分かれていて読みやすかった。
恋愛や家族間などコーヒーが身近なものとして描かれていて、おもてなしからリラックスタイムにと色んな役割をしていた。
Posted by ブクログ
『コーヒーの囚人』の話自体、面白かったなー。知らなかったし、囚人にコーヒー3杯、紅茶3杯毎日飲ませる実験て。そんな要所要所にコーヒーが出てくる短編集。不倫の話やきょうだい児の話はなんか救いがなくて後味悪い。
Posted by ブクログ
短編集はそんな好きでもなく読まないのだが、どのお話も趣向をこらしてあってあっという間に読んでしまった
「どこかの喫煙所で会いましょう」
「招かれざる貴婦人」
が良かった
Posted by ブクログ
全てのお話がにコーヒーが出てくるので飲みたくなる。
お話事態もほろ苦さがあって切ない。
コーヒーの囚人は同居している友達が不在の間その恋人と暮らすことになる奇妙なお話。だんだんと距離が縮まる二人だったが、お互いの秘密には踏み込めないもやもや感がありつつ、最後は意外な真実だった。
隣のシーツはもう虚しさしか残らなかった。上司が滅茶苦茶嫌な奴かと思ったが後半はどっこいどっこいかな。
どこかの喫煙所で会いましょうがスピード感もあって、はっきりしたストーリーだったので印象に残った。さんざん男性達を振り回してきたけど、最後に見切りを付けられたであろう最後にスッキリした。
招かれざる貴婦人がちょっとホラー味が・・・これはミイラ取りがミイラになる展開だったのかな?
風向きによってははちょっと自分には難しい内容だった。言葉では表せないなんとも言えぬ最後。
Posted by ブクログ
私自身、そして近しい友だちも(おそらく)経験したことがない恋愛の短編集でした。恋愛で切なくなる一歩手前、泥沼化しない恋愛、男女関係を生きている人もたくさんいるのでしょうね。好きなコーヒーを飲むことと同じように、男女関係が当たり前にあって、人生に花(?)を添えているっていいなぁと思いました。『隣のシーツは白い』のラストシーンで、梶井基次郎の『檸檬』を思い出し、現実はそんなカッコ良く終わらないよね〜と、共感、クスッとしました。
人それぞれの人生を生きた気持ちになれるから、小説を読むのは、やめられない!です。
Posted by ブクログ
どの物語にも必ずコーヒーが登場するのだが、それはほっと癒してくれるものだったり、ほろ苦さを味わうものだったり様々で、何だか人生の難しさやもどかしさを表しているようだ。
特に印象深かったのは「どこかの喫煙所で会いましょう」。恋人の兄が障害を抱えていると知り、結婚を躊躇する有沙の気持ちが理解できなくもないし、それを知って気持ちが冷めていく彼氏の気持ちも分かる。しかし一番心に残ったのは有沙の浮気相手である寿のセリフ。
「人は誰しもリスクを背負って生きている」
「他人の持つリスクに排他的でいれば、それはいずれ己にも降りかかってくるものだ」
まさに、そのリスクに対応する努力をし続けることこそ人生なのだと思う。
順風満帆な人生などあり得ない。誰しも悩みを抱えており、正論だと分かっていても納得できなかったり受け入れられないことだってある。もやもやする思いを抱えながらも進んでいく人たちがよく描かれていた。
Posted by ブクログ
人生の転機となるような場面で、さりげなくコーヒーが出てくる短編集。
コーヒー好きとしてはとっても心惹かれてしまう本。装丁の色味も好みで、グレーのニュアンスカラーが内容にもしっかりマッチしていると思う。
登場人物に起こるハプニングは、自分の身にも起こりそうで、起こらないかな…という絶妙なバランス。
(実際に起こったらイヤなのは間違いない。)
何か思わぬことが起きた時に、落ち着いてゆっくりコーヒーを淹れてみるって、確かにちょっと冷静になって我に返るきっかけになりそうだと思った。