あらすじ
【電子書籍限定! 由麻の同僚・丹羽さん視点の後日談短編「旅とハンカチ」を収録!】「もうひとり、彼女ができたんだ」。付き合って九年、同棲して四年。結婚間近と思っていた恋人・和佐からそう告げられた二十九歳の由麻。和佐は「由麻と別れたいわけではない」「ただ、もうひとり、どうしても付き合いたい人ができた」と言い出し、由麻は混乱する。怒って別れればよいのか、一時の過ちだと思って待てばよいのか、歪な関係を受け入れたらよいのか――愛していた日常はどうすれば戻って来るのか。恋の痛みが走る著者デビュー作、待望の文庫化。 ※本書は二〇二一年三月にKADOKAWAより刊行された『炭酸水と犬』を加筆・修正し、文庫化したものです。 ※紙版初版限定特典の後日談「緑の休日」は電子版には収録されておりません。予めご了承ください。
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Posted by ブクログ
面白かった。
ジャンルとしては恋愛モノ。
ある日、主人公は彼氏から「他に好きな人ができた」と言われる。そこで「あ、そうなの。じゃあさよーなら」とならないのが小説で、なんやかんやあって主人公は彼氏にめちゃくちゃ悩まされる。
この小説はその「なんやかんや」の展開を作りだすのが非常に上手だと思った。物語として読む分には楽しいけれど、現実世界だったら確実に病むだろうなという展開がいい。
文章もお上手で、ページ数的には450ページくらいあるのにすらすら読めてしまった。
ラストも痛快。絶対バッドエンドだろうなと思っていただけに、いい意味でこちらの予想を裏切ってくれた。
あとこの小説を読んで思ったのは、どんな恋であれ、「はじまる」その瞬間はとてもワクワクするということ。でも裏を返せばドキドキワクワクするのは始まりだけで、慣れてきてしまえばそれを維持するのはとても難しいのだろうなと再認識できた。
本作のラストはハッピーエンドなわけだけど、主人公たちの恋はその後どうなるんだろうと思わずにはいられなかった。
というわけで⭐︎5つ。
Posted by ブクログ
ジャケットとタイトル、あらすじ全部に興味を持ったので購入しました!
始まりが主人公の由麻が彼氏の和佐に「もう一人彼女ができたんだ」という一瞬どういう意味か分からなくなる位の衝撃的な一言から面白そうだなと興味を持ちました。
現実世界でもう一人恋人ができたと言われたらその時点で別れると思いますがこの本ではそうはならず和佐とそのもう一人の彼女にずっと振り回されてもやもやしながらもどんな結末になるんだ!?とページをめくる手が止まらない位の勢いで読み進められました。
最終的には由麻と和佐は別れて和佐の弟の真先と一緒になりますが結末から考えると序盤から真先が由麻に好意を抱いているのかなと感じる行動はいくつかあったなと…
フィクションの話ですが実際に経験している人がいてもおかしくないのかもと思ってしまう出来事が部分的にも少しあったので自分が由麻の立場だったら相当辛いだろうなと思いました…
Posted by ブクログ
2025/07/13
主人公の舘野由麻は9年間付き合っている彼氏の小平和佐からいきなり「好きな人ができた」と告げられる。
結婚を視野に同棲までしていた矢先。でも和佐は一番好きなのは由麻だと言い続けて結婚に向けての話も進めていくのだが、その過程で好きになったという相手のアサミの存在が目立つようになってくる。
和佐の弟の真先は兄のことをありえないとか散々貶してはいるけど、別れるという踏ん切りをつけることができずズルズルと進んでいく関係を描いた小説…だと思います。
テーマ自体は浮気とかそんな感じなんですが、どうにもそんなドロドロした感じを受けないのがこの本の不思議なところだと思います。
いわゆる修羅場というやつがこの小説では頻繁に出てくるわけですが、よくここの登場人物たちはことを穏便に納められるなぁ、すごいなぁとこの作品に没頭してしまいます。
Posted by ブクログ
「もうひとり、彼女ができたんだ」
そうですか別れましょうとはならない2人の関係が面白かった!主人公の友達目線で読み、心の中で「別れろ」と何回唱えたか。好きになるのは一瞬なのにどんなに傷つけられても嫌いになれない...恋愛のややこしさが煮詰まってました。
結構分厚めなのに、スルスル読めてあっという間に読み終えました!
Posted by ブクログ
表示が可愛い!
苦しいくらい感情移入してしまった。
砂村さんの恋心の描写がとても好き!
恋人との甘やかな時間、恋人がもう一人の彼女に向けた淡い気持ちへの強烈な嫉妬心、恋人の弟を意識してドギマギしてしまうところ、共感できすぎて胸が張り裂けそうだった。ドキドキした。恋人の煮え切らない態度には苛ついたし、何で早く別れないのかと思ったけど、あまりに現実味がなくて受け入れられないのだなと思ったし、何より9年も付き合っていたし、妙齢だし、すぐに決めきれないのがリアルだなと感じた。
最近、20代後半の女性が恋愛に悩む小説がとにかく刺さる。自分と重ねて苦しくなってしまう。でも、5年後、10年後にこんなに強烈な読書体験ができるかは分からないからもっと読みたい。
Posted by ブクログ
読み終えた今は「めちゃくちゃ好き!!」って感想だけど、読んでる間、3分の2くらいはずっと彼氏にイライラしてたのは本音。笑
これは好き嫌いが分かれる作品かも。
Posted by ブクログ
真先くん健気で可愛い〜頑張れ〜の気持ちで読んでたので報われてくれてよかったです
感情移入はし難かったけど、恋愛経験に乏しいからですかね。面白かったからこの作家さんの別の作品も読んでみたい
Posted by ブクログ
爽やかな炭酸系のタイトルに騙されて読み始めたらアラサーのドロドロした恋愛ものでした。すごく面白かったです。
「もうひとり、彼女ができたんだ」という不穏な台詞で始まる長編小説。突然の事態に理解が追いつかず、ただ唖然として時が過ぎる序盤と、テレビドラマのように次から次へと事件が勃発する中盤、感情が溢れ出す終盤とそれぞれ趣が異なっています。どの部分も面白く、グイグイ読ませてくれるのだけれど、圧倒的に序盤が面白かったです。
思いがけないアクシデントに遭遇した時、ドラマや映画のように即座に怒ったり泣いたり、相手を非難したり出来るものではありませんよね。ましてや9年も付き合って結婚も間近と思っていた恋人からそんな恐ろしい告白をされた日には、、
何もできなさ加減が限りなくリアルでした。やっぱり序盤のこの描写は必読です。
そして、最愛の人がいながらもう一人彼女ができちゃう彼氏にも実は少し共感してたんだけど、読み進めていくとかなりヤバい奴でした。なんか自分が試されてる気がしますね。
Posted by ブクログ
私的にはわかる部分もあるかも、と思ったけど男の人が読んだらどう感じるんだろう?
弟は兄の恋人という近くの存在だからこそ思い続けていられたのかなと思った。
Posted by ブクログ
「もう1人彼女ができた」
そもそも第一にこの一言が理解できない。
さも普通のことを言っているように見えて、正気じゃない。
この彼氏本当に狂っている…
と思っていたけど、彼女もおかしくないか?
9年も付き合っていたら長年付き合っている分、情があってこんな中途半端にしてしまうものなのか?
こういうことって普通にあるものなのか?
そんな違和感をずっと抱きながら読み進めていたら彼氏の弟という新しい違和感が。
結局そういう感じかよ。
人間の好き、嫌いという感情は特別なものなんかではなくて、至る所に溢れている。
恋愛ってありふれたものなんだよな。
美しいものであり、残酷なものでもあるんだよな。
モヤモヤしながら読み進めました。
Posted by ブクログ
私は、恋愛というものを真剣に考えられない。
恥ずかしいとかそんなものではない。
私は相手の行動で自分が揺さぶられることが
好きじゃない。
好きな人となるとさらに揺さぶれる。
真剣に考えるほど、人をおかしくさせていくのか
恋愛だと思う。
本作、「炭酸水と犬」は恋愛というものに揺れ動く人たちばかりが登場する。
どの主人公も恋愛が絡んだ時の行動がリアルで生々しい。
主人公の由麻は、長年付き合っている恋人への愛情から不義理なことをされても決断ができない。
由麻の恋人、和佐は由麻を愛してるからではなく、自分のルールとポリシーを中心に動いてるゆえ、由麻を傷つけていることに気づかない。
和佐が第二の恋人として呼ぶアサミは、バックボーンから見ても、妬み嫉みが強く手段を選ばない。その大胆さが和佐を惹きつけている。
誰も悪くないのに、全員の判断や行動にイライラする。
恋愛感情が介在するとこんなにも厄介なのか。
それでも誰もがどこがで作中の人物のような人たちと出会い、どこかで自分の恋愛観と共感する。
地に足をつけさせてくれない。
そんなふうな気持ちにさせる作品だった。
Posted by ブクログ
彼氏の言動に苛々しながら読む場面もあったけど飽きることもなく最後まで読めた。
途中からこうなるんだろうな、と言う展開が読めてしまったのが残念なところ。
Posted by ブクログ
結婚を前にする人、恋に迷う人にはとても刺さる話ではないかなと思う。400ページがあっという間だった。
今読んでる夏目漱石の作品が一部引用されててびっくりした。夏目漱石、改めて後世の文学にものすごい影響与えてるなと思うなどする。
『こころ』の問いが自身の作品でもずっとテーマになってるような気がする。恋は、罪悪ですか。
#2024 #2024年12月
Posted by ブクログ
読み手がそんなに若くなくても(笑)解るわあって感じ(笑)
ドラマの続きが気になるように読み耽った。
こんなん普通別れるよなあと、思いながらもまあまあ別れられない心の葛藤。
腐れ縁的な感覚。
まあね
私なら「彼女からは聞いたことのない音楽が聴こえるんだ」って、その言葉を聞いた時点で別れるけど(笑)
この作家さん読んだのは初めてだけど、ライト小説かと思いきゃ、文学的な哲学的な理系的な深い言葉がずんとくる。
「宇宙を彷徨う孤独な原子が結合すべき原子を見つけたような」
それは一番幸せだ。
Posted by ブクログ
ずっと読みたかった作品。
文庫化をきっかけに手に取った。
9年付き合っている同棲中の恋人とは結婚秒読みのはずだったのに…彼の告白で穏やかだった生活が崩れ去った。
「もうひとり、彼女ができたんだ」
隠れて浮気されるよりも、堂々と二股される方が辛いかも。
彼の誠実なのか不誠実なのか、よく分からない言動全てに理解ができず、終盤までイライラしっぱなしだった。
それなのに、この物語がどう決着するのかが気になって読む手が止まらなかった。
終盤のあるシーンから、この2人の見方がガラッと変わった。
無自覚な好意って時に残酷だな。
✎︎____________
どんなにジャンキーな嗜好品や娯楽よりも人間が抜け出せないもの、それは習慣というものだと思う。(p.6)
異性への興味って、どっからどこまでがセーフなんだろうな(p.47)
本当の「好き」はきっと本能的なもので、説明なんかできない。(p.109)
見えるものだけがすべてじゃない。(p.386)
恋は、人をださくするのかもしれない。(pp.388~389)