井原忠政のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
もう死にかけの寅八を見捨てて行こうという部下に対して茂兵衛が言う。
好きや嫌いじゃねえ、もしお前が寅八みたいになっても、俺はお前を連れて帰るよ。息があるうちは絶対に見捨てられねえ。仲間が連れて帰ってくれる、そういう安心感がなけりゃ、戦なんかやってられない。足軽10人で組を作るってのは、つまりはそういうことだ。
茂兵衛は倒した敵から首を取らないできた。それは、敵は倒すまでが敵であり、死んだ相手はもはや敵ではないということだ。首を切るのは死者に対する冒瀆であり、首が無ければ手柄の証拠にならず、出世できないとすれば、それならそれでよかった。いや、出世はしたいが、別の方法でするといった。 -
Posted by ブクログ
井原忠政『羆撃ちのサムライ』河出文庫。
珍しい羆物の時代小説。幕末の蝦夷地で武士の身分を捨てて羆撃ちとなり、新たな人生を切り開いていく男の物語。テーマは面白いが、荒削りな文章と起伏の少ない単調なストーリーが残念だった。期待は大きく裏切られた。
幕末に箱館戦争で敗れ、右肩に銃創を負って敗走を続ける奥平八郎太は山中で巨大なヒグマに襲われるが、辛くも銃で撃ち倒すもヒグマの最後の一撃を頭部に受けて意識を失う。瀕死の八郎太を救ったのは、庄内藩の元武士で鉄砲方組頭の鏑木十蔵と喜代の夫婦だった。近いうちに自らが労咳で果てる運命の十蔵は八郎太に羆撃ち猟師になることを勧める。
定価830円
★★★