あらすじ
大矢家当主・小太郎は、堅物の朴念仁。甲府から五年ぶりに江戸へ帰ると、博打で借金を作った父・官兵衛が、返済のために邸内で貸家を始めていた! しかも住人は、借家で賭場を開くゴロツキや、倒幕思想を持つ国学者など曲者揃い。そんな時、老中から条件付きで、小太郎の出世を約束してもらうのだが――。常識破りの親子バディシリーズ始動!
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Posted by ブクログ
非常に面白いシリーズが始まった。官兵衛と小太郎の父子をはじめ、武士でありながら肩肘張らず自然体であるところが心地よい。士農工商という封建社会の中でも、身分の垣根を越えた人間関係は確かに存在していたはずで、井原氏の小説はそれを無理なく、自然な形で描いているのが魅力だ。特に小太郎は、当主であり大家であるにもかかわらず、その立場を誇示することなく、年長者には礼をもって接するという好人物である点がとても良い。
物語のテンポも良く、棚子の紹介から斬り合い、そして賭場での大波乱へと続く展開には大いに満足した。そんな小太郎が序盤で撃たれるという謎を残しながらも、ますますこの父子に肩入れしたくなる構成は見事。全体としてヒリヒリする緊張感はありつつも、命懸けになりすぎない絶妙なバランスが、気軽に楽しめる読み心地を生んでいる。
次作にも大いに期待したい。
Posted by ブクログ
これは、面白い。主人公が真面目一徹の朴念仁かと思ったら、最後にとんでもない正体が明らかになるところなど、一筋縄では行かない先行きが暗示されて、今後が楽しみだ。登場人物の秘密も、これからゴロゴロ出てきそうで、何かワクワクする。