あらすじ
新たに版図となった甲斐と信濃を踏みならすため、茂兵衛は信州惣奉行の寄騎として東信濃に派遣される。彼の地でまみえたのは有力国衆である真田昌幸。実力は申し分ないながら狡猾さと変わり身の早さから信用が置けないと評される御仁である。一方その頃、主君家康は苦悩していた。織田家を簒奪した秀吉との間で開戦の気運が高まるものの兵力の差は歴然、しかも血気に逸る徳川家臣団は制御不能に陥っていた。かような訳で、隠れ非戦派の茂兵衛にもついに出陣が命じられるが……。戦国足軽出世物語、右顧左眄の第8弾!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今回も安定の面白さ。茂兵衛も上に登ってきたので、これからはそう簡単に出世はできない一方、彦左衛門や左馬之助の成長や新たな部下の存在が物語を盛り上げる。
今回初登場の「表裏比興の者」真田昌幸。上田合戦も控えているだけに茂兵衛が昌幸とどう絡むのかが楽しみ。
本作は巨大か知り豊臣勢力との関係性が焦点だった。茂兵衛の考える通り、兵力差でいえば勝てない相手だが、そこを食い下がり互角の戦いに持っていくのは流石の三河武士であり、それを体感させるストーリーが上手い。反戦派の茂兵衛は家中でも苦しい立場に立たされそうだ。
Posted by ブクログ
そこそこ出世し、守るべき妻子と体面を持ってしまった茂兵衛の憂鬱。そして、平八郎から阿呆の花井を押し付けられてしまった。「花井のような男は……大事な仕事は一切任せず……これぞ頭立つ者の心得」とは、現代の会社組織でも言えること。表裏比興之者・真田昌幸、長男・信幸、次男・信繁(幸村)との出会いが、今後どのように絡むか楽しみだ。小牧長久手の戦いは、本シリーズでの他の戦と同様、臨場感あふれる筆致で良かった。
Posted by ブクログ
偉くなっていけば、それなりの悩みは尽きないもの。昔も今も変わらないサラリーマンのような冒頭の茂兵衛の葛藤が面白いです。また、この巻では、真田昌幸が登場!茂兵衛の目からどのように映るのか楽しみでした!いろいろと重要な役割を任されるようになった茂兵衛。まだまだ続きます!
Posted by ブクログ
感想
馬鹿息子の信雄に振り回される時期。たまったもんじゃないなぁ。
あらすじ
茂兵衛は、伊賀越えで知り合った家柄だけが取り柄の花井を平八郎から押しつけられる。他の寄騎は反対したものの、四番目の寄騎として預かることに。
茂兵衛は、大久保忠世のいる小諸へ行く。東信濃を抑える役目だ。そこで真田昌幸と会う。
その後、信雄と秀吉が対立するにあたって、家康陣営では主戦論が強くなるが、家康は慎重な姿勢であった。
信雄の軽挙な行動で戦端を開くことになった。小牧長久手の戦いでは、初戦は家康軍が森・池田を打ち破る大勝であったが、その後は膠着し、信雄が秀吉と勝手に講和したことで戦は終わる。
その後、家康は大阪に上洛するように秀吉に請われる。
Posted by ブクログ
中間管理職の悲哀を味わう茂兵衛。阿呆な名門の息子を上司に押し付けられ、部下からは一斉に非難される。また、部下にも上司にも気遣いの毎日。30代も後半となり、白髪も出るし体力の衰えも。
信州に出陣し、仕事は真田昌幸と息子2人と親しむこと。毎日のように上田城へ出向く。
後半は小牧・長久手の戦いに出陣。周りは反豊臣秀吉ばかりのところに茂兵衛は和戦派。大勢の前で家康に問われて大苦戦。小牧・長久手の戦いでは一応活躍。
老成してきた感がある。若さが感じられなくなってくると、読むペースもスローダウンか?
Posted by ブクログ
信長が亡くなり織田vs豊臣をベースに真田昌幸と繋ぎをつける様子や、徳川軍内の井伊隊武田残党兵に弔い戦を挑まれる森長可、という戦場の熱気と流れにドキドキしました
Posted by ブクログ
織田信長の死のあと、秀吉が後継者のように振る舞い始めた。織田家は二分された。
秀吉の武力と比べると家康は圧倒的に不利。
信長の遺児との協定は筋道としては正当なものであったが。
いかんせん、この信雄があっさりと秀吉に城を次々明け渡す。
梯子をひかれた格好だ。
正当な後継が秀吉と和睦をした後、家康も停戦というか手を引く。
徳川の三河衆の秀吉憎しの強い声の中、できれば生き延びて機械を待つつもりの家康は同じく、死に戦は避けたい茂兵衛に無言で助け舟を出させるが。。。
Posted by ブクログ
シリーズ初期の作品のような「爽快感」は少しずつ減ってきている印象もあります。
茂兵衛も、彼が率いる足軽衆も精鋭ぞろいとなり、窮地を機転と武勇で切り抜けるというハラハラドキドキする展開も多くはありません。
むしろ、子どもが生まれて「自分の評価が子どもの人生を左右する」ということに対する恐怖が、これまでの茂兵衛の大きな魅力であった思い切りのよい自由な言動を抑制してしまっていて、そのことに気付いている茂兵衛の自己嫌悪に読者も中てられているような気もします。
豊臣秀吉が発言力を増す中で、彼と闘うことを声高に主張する臣下に囲まれその対応に頭を抱える家康と、判断に私情をはさむようになってしまった(そして挟まざるを得ない状況に追い込まれたとも言える)茂兵衛の葛藤は共通する部分もあるのかもしれません。
いつかまた、茂兵衛が胸を張って活躍できる日が来るのを心待ちにしています。
Posted by ブクログ
2023.2.13
平八郎様分かってやってよ〜
2人がもめると切ないなぁ。
すぐに2人で議論しあって、お互いの言い分を分かった上で認め合えれば良いけど…
けど、この時代での茂兵衛の感覚は日本のLGBTQの方達に匹敵する程の居心地の悪さなんだろうなぁ。
場合によっては命に関わるかもしれないし。。
そんな中、自分の考えを持っている茂兵衛は偉すぎる(><)
『死ぬ気』の一言が入っただけで、かくも盛り上がれる『侍という人種』を茂兵衛は奇異にも、滑稽にも、愛おしくも感じていた。
Posted by ブクログ
人は現在にのみ生きることは許されない。過去を引き摺り、将来を思い悩みながら、愚図愚図と不器用に現在を生きるしかないのだ。禅坊主が言うように、「今、この時にのみ生きる」ということができたら、どんなに楽だろうか、と心底から思う。
人間関係は難しい。正論を言うは易く、行うは難し。