あらすじ
秀吉の命令により、北条氏の旧領である関東に移封となった徳川家。家康に従い、一族郎党を引き連れて江戸にやってきた茂兵衛だが、辺りは葦が生い茂る湿地ばかりのうえ、あちらこちらで土を掘ったり埋めたりと喧しい。そんな中、陸奥国、南部家の家臣、九戸政実が秀吉の奥州仕置に異を唱え反旗を翻した。井伊直政の寄騎として出陣することになった茂兵衛は、家康から例によって難題を押しつけられる。戦国足軽出世物語、反乱勃発の第十三弾!
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戦は終わってはないが、戦国時代からは移ろい、世代間のギャップが現れ始める描写が面白い。
戦乱から太平へと動きながらも、戦に備えて若者を育てること、現場や実戦がなくて人を育てる苦労に茂兵衛が悩むところなどは、今の時代にも通じる。
コンプラやら、ハラスメント、所属する人材の多様化などで、大きく変わる中で、どう、人を育てるのか、成果を出してもらうのか。戦国の世にも、同じような悩みがあったのかどうかわからないが、どの時代も同じような悩みはあったのかもしれぬ。そう言えば、エジプトのピラミッドにも、最近の若い者はという落書きがあったそうだから、真実かも。
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秀吉の天下統一の最終仕上げ、奥州仕置。この物語は天正19(1591)年に、江戸に移封された家康への出兵命令で幕を開ける。井伊直政の寄騎として、茂兵衛率いる鉄砲百人組が同道を命じられた。九戸政実の乱では、上方勢への恨みを力に死闘を演じる奥州武士と、政実の最期に茂兵衛が見せた武士の情けが印象的。豊臣秀次の暴虐な振る舞いを読んでいると、やがて訪れる徳川の天下になって良かったと思えてならない。物語前半の、まだ初期の頃の江戸城および町割りの様子も興味深かった。
三河雑兵心得
徳川家康のドラマをみながら、これを読むと、下っ端役人の辛さや命の重さをひしひしと考えさせられる。最初は百姓村から逃げ出した茂へえだが、次々と支える主と敵と戦い戦国を生き抜く様が面白い。どんどん中間管理職のしんどさを背負う羽目になっても、主人公の気持ちがかわらないところが好感が持てずーっと読みすすめたくなる本です。
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この小説では、本田正信がいい人に描かれているところが、妙に新鮮に感じました。相変わらず苦労しっぱなしのサラリーマン茂兵衛の心の声が、この巻でもおもしろかったです。そして一番良かったのは、最後の九戸政実の首の逸話。さすが情に篤い茂兵衛でした。
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本巻では茂兵衛の江戸移住と九戸政実の乱が描かれる。
江戸に関しては、未開の地・江戸の雰囲気が出てて良い。多くは都会から田舎への移住の不満が見えるものの、思ったよりは反発はないように見えた。読者目線では発展の余地が大きいことは非常にワクワクする。特に小田原城を参考にした縄張り作りや治水事業などはまさに国のインフラ構築であり、興味深い。
加えて奥州征伐。高橋克彦「天を衝く」安倍龍太郎「冬を待つ城」では蝦夷視点であったため、それを討伐側で見るのは新鮮。それも豊臣ではなく、徳川視点で第三者目線で描かれるのは非常に面白い。作者の蝦夷勢への尊敬の念も感じられてとても良かった。ラストの佐藤監物のエピソードは本作品らしいすっきりとした終わり方だった。
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感想
一から街を作るってワクワクするなぁ。それが今の東京だなんていうのも読んでいて面白い。
あらすじ
徳川家は浜松から江戸への移封で大忙し。辰蔵は左腕を失うも、命を取り留める。茂兵衛は辰蔵の世話をしてくれた綾女に礼を言う。
茂兵衛の一行は江戸に入り、麹町に家をあてがわれる。茂兵衛は、陸奥国で九戸政実が起こした反乱の鎮圧に豊臣勢の一員として井伊直政と向かう。家康はみちのくに禍根を残さないためにそこそこ手を抜いて戦うように茂兵衛に命じる。
九戸政実は降伏し、斬首に処されるが、茂兵衛は気を利かせて首を持ち帰らせる。
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九戸政実征伐が中心で、これが豊臣家最後の制圧の戦いになるそうだ。もう大きい戦いはないので、比較的静かな回。戦いがないと少しだらける。
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本拠を江戸に移すことになった家康。配下武将の茂兵衛宅も新築されてワクワク感がすごい。お隣さんが因縁のライバル、服部半蔵の家とか笑っちゃう。なんだかほんわかしたムードの第13巻。
後半は奥州征伐で待ってましたの攻城戦も展開される。久しぶりに戦場で100丁の鉄砲斉射音が聞けて、これまたワクワク感。既に40歳を越えた茂兵衛の命からがらの一騎打ちもあり、これもうファンサービス多すぎじゃないですか?
ラスト、親子の身代わり話にも胸を打たれる。
はー、お腹いっぱい。
甲斐の武田勢といい奥州の九戸勢といい、あるいは今川・北条にしても、戦国を彩る個性的な武者たちが、三河兵・植田茂兵衛という土臭いフィルターによってなぜか意思を通わせていくドラマが本当に楽しい。信長・秀吉・家康の流れをディフォルメしながら、人がどういう人についていくのかが描かれている。
敢えて一言でいうならば、遠回り。なのかなと思う。遠回りしている人間にエールを送っているのかも。
焦らず。腐らず。
よしよし、もっと遠回りしてやろうとポジティブ変換完了。明日も泥臭くがんばるぞ。
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朋輩辰蔵の重症、綾女との決着、娘との対決(未満)、奥州仕置九戸政実の乱と、胃に穴があきそうな中間管理職の茂兵衛。
活躍と史実との辻褄合わせも楽しく読み終わり。
因縁の相手綾女の潔さに痺れました!
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出世物語はおもしろい。
奥州征伐の話は、詳しく知らなかった。江戸から九戸城のある二戸までの大軍勢での大移動。馬上の者はまだ良いけど、その後、戦するんだから徒歩は辛すぎる…
もしかして、次は海を渡るのか?
遂に追いついてしまった。
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今回の奥州征伐については全く知らず、予備知識無しに純粋に楽しめた。
相変わらずの板挟みの中間管理職の茂兵衛、悩み多き立場が共感できる。
無能なボス秀次。新人寄騎の教育。無茶振りの家康。
ベテラン兵と若手の経験値差からのギャップ、戦がないんだからなんとも埋まらないよね。
なんだかんだとやらなしょうが無いと割り切る茂兵衛、頑張れ!毎回何か勇気が貰える。
どうする家康効果で武将の顔が演じた俳優で想像してしまう。
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一足早く最終話を迎えた「どうする家康」の進行とは違い、信長の死の後、天下を取った秀吉に反抗の意を唱えた東北の武士たち。
それを治めよという指令を受ける。
だが、家康はいつか来るはずの、豊臣との戦いに備え、東北の民たちから嫌われたくは無い。
それで、派遣される茂兵衛たちに、苛烈には戦うな、ほどほどに、、、という。
しかし現場に行ってみれば・・・
長い間、東北の民たちは、朝廷など、時の権力者たちに蹂躙されてきた。その怨念とも言える心の叫びを聞いた茂兵衛。
首を追ってきた元家臣の親子に、首を返す。
毎回惜しいくらいに、読んでしまう素敵な時間。
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実戦では強いのに、私生活では弱くなる茂兵衛。特に娘からは名前を呼び捨てにされながら、強く注意出来ない。たった一度の行為で出来た子供の母親の綾女に対しても揺れ動く。
今回は家康に従って江戸へ住居を移した茂兵衛だが、すぐに岩手の九戸への出陣を命令される。家康からはまたもや厄介な頼み事。
何とか果たそうとするも、次々と降りかかる戦さの場面。最後は胸糞の悪い結末ではあるが、何とか家康の命は果たした模様。
次は朝鮮出兵だろうか。でも家康は国内組だから活躍は少なそうだが?
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三河雑兵物語第十三巻
天下統一を成した秀吉により、江戸に本拠地を移すことになった家康。
我らが茂兵衛もまた、主人に従い関東に移る。
落ち着く間も無く茂兵衛は、井伊直政を大将とし東北に派遣され、謀反を起こした九戸政実の制圧に向かう。
一軍の将となった茂兵衛は、家康の意図、直政の意図、そして敵軍九戸氏の思惑のなか、戦場で命のやり取りに就く。
力の論理だけでなく、様々な思惑のなか、家康にも配慮し、中間管理職として立ち働く茂兵衛。
人柄に惚れる。
次の話を早く読みたい。
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豊臣秀吉天下統一最後の仕上げとなった「奥州仕置」に抗った「九戸政実の乱」で、茂兵衛が重要な役割を担ったというお話。
このあたりの歴史は、ほとんど記憶になかったが、後で調べ直してみると、一般的とされる史実や言い伝えをそれなりにふまえながら、茂兵衛という架空の人物をうまくはめこんでいるの感。