あらすじ
家康の危機を身を挺してかばい、九死に一生を得た茂兵衛。ようやく傷も癒えたころ、会津征討の陣触れが諸大名に下された。上杉景勝の戦支度を糺す家康の書状に、上杉家家老の直江兼続が無礼千万な返書を寄越したのだ。だが、江戸を経て会津に迫らんとした矢先に、石田三成挙兵の報が舞いこむ。家康はすぐさま北上を中止し、畿内にとって返して三成を討つことを決意する。茂兵衛率いる鉄砲百人組は、先鋒の福島正則、黒田長政らとともに、東海道を西へと奔る。戦国足軽出世物語、機運到来の第十六弾!
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朝廷・豊臣家から公式に会津(上杉)征伐を認められた家康が東北へ下る。その間に石田三成が蜂起したことは史実である。すでにこの頃、徳川家内の若い世代は家康を神格化していた。対して茂兵衛を始めとした古参の家臣は人間・家康を知っており、天下取りに向けて最後の最後まで状況判断に悩み、調略に費やしていたとする書きぶりが面白い。本巻では、竹ヶ鼻城の戦いを中心とした関ケ原前哨戦を描く。木曽川渡河と、攻城戦における茂兵衛の足軽然とした戦働きを楽しめた。「天下分け目の関ケ原」の後に主導権を握りたい徳川勢の苦悩もよく分った。
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感想
茂兵衛も5千石の侍大将になり、戦も減ってきたため、最後の戦という感じ。
別シリーズの近江心得とも繋がる形でキャラが登場。雑兵目線の新しいシリーズか。
あらすじ
家康は会津の上杉の討伐に乗り出すべく大坂を離れる。家康が江戸に着く頃、鳥居元忠が守る伏見城が三成に落とされたとの報が入る。
家康は、東海道の武将を仲間につけるべく茂兵衛を福島正則の元に派遣する。その後、福島、黒田に主導権を取られないよう、目付役として派遣される。
茂兵衛たち混成軍は、岐阜城を落とすべく進発する。決死の思いで1日で岐阜城を落とす。関ヶ原の戦いが迫っていた。
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ついに最新巻に追いついてしまった。物語もいよいよ終盤の気配が漂い、読み終えて寂しさを感じる。
本巻では久々に合戦シーンが描かれ、平八郎とのやり取りも多く、全体として前半戦と中盤以降の“総集編”的な印象を受けた。
もっとも、この時期の合戦は始まる前から勝敗がおおよそ定まっており、実際の戦いよりも「いかに手柄を抑えるか」という政治的な駆け引きが中心で、茂兵衛と同じくやや面白みに欠けるという感想だった。
それでも、胸を打つのは鳥居元忠の討死である。あらためて、この場面は涙なしには語れないと実感した。
次はいよいよ関ヶ原本戦。茂兵衛はどこで戦いを見届け、どのように関わっていくのか――期待が高まる。
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今回も茂兵衛と平八郎の掛け合いが良かった笑
このシリーズを通して、本多平八郎が推しになりつつある。
今回はいよいよ、関ヶ原!?と思っていたが、伏見城の戦い前後がしっかり描かれていて関ヶ原は開戦せず。
家康と鳥居元忠のあのシーンに茂兵衛もいたの!??それは熱いっっ!なんて盛り上がってしまった。
敵と争っている最中の茂兵衛の心のうちがやけに、いままでになく冷静で、あ、、茂兵衛さんほんとに熟練者になってるやん、、、と。
まだまだ突っ走ってくれ!私の推しと!!!
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関ヶ原仁義(中)を読み終わりました。
これまでと同様、茂兵衛が頑張っておりました。今回は、娘婿の弥左右衛門と一緒が多く、初陣にも立ち会いました。本田平八郎と井伊直政などと、天下分け目の合戦に参戦です。
歴史は分かっていますが、色んな修羅場が今後起きるのでしょう。
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関ヶ原は上下の2冊と思ったのが(中)が出てきた。作者の挟み込まれた栞によれば、エピソードがありすぎて中を書いたとのこと。
史実に名高い直江状。もっと直江が抵抗するかと思ったら、呆気なく頭を下げにきた。色々な歴史小説を読んできたが、こんなに抵抗無かったのは初めて。
茂兵衛は大怪我を負いながらも何とか復活。不自由な足を庇いながらも参戦する。最初は嫌っていた婿殿とのやり取りも、何とか認めてきてほのぼのとしてくる。そんな体でも敵の砦に駆け上る時には、完全に復活してきた。婿殿を殺されないように、手助けするのも昔通り。
次は関ヶ原の合戦だが、真田攻めに行くのだろうか、それとも関ヶ原だろうか。次作が待ち遠しい。
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ようやく関ケ原の前哨戦といったところまで来た感じかな。正直本戦に入るまではまったく知らなかったので岐阜城攻略は楽しめて読めた。
まあそこに至るまでは相変わらずの茂兵衛の中間管理職っぷりに泣けてくる。
平八郎のパワハラできる相手も茂兵衛くらいなんで構ってくる。弁えて茂兵衛に絡む辺り平八郎も周りには気遣っているんだな。当人はかなわんけど。
また一回り以上年下の直政に正論で怒られて落ち込むのも何か自分も経験があり悔しいやら悲しいやらの感情もわかっちゃうんだなあ。
岐阜城攻略戦も久々の泥臭い前線で奮闘する茂兵衛、やはりこの人は現場が似合うんだ。わかるわかる。
さあ次巻はようやく関ケ原だろう。もう下巻になっちゃうのにね。
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先のことは誰にも分からん。私も天命に従って生きようと思う。生きるも死ぬも、すべて天命だがね。そう考えれば一々明日に悩まんでええ
利害が対立する癖の強い戦国大名たちをまとめて、一つの方向に向かわせるのは本当に難しいものだ。それを事もなげにやってのける長や秀吉、そして家康は、やはり頭一つ抜けた大英雄なのだろう。
攻め手の目の声を聞くのは、実に嫌なものだ。
「今から、お前を殺しに行くぞ」
と、百人、千人の武装した男たちから宣告されているかと思えば、いい気持ちはしない。さらに武者押しの声には、攻め手側の気持ちを一つにする効果もある。同じ言葉を叫ぶととで仲間や同志を意識し、一体感を高めに高めた上で、後は目を瞑って敵陣へと突っ込んでいく!これが戦だ。
家族や遊び仲間として付き合うなら、思想や趣味嗜好の合う者同土でつるんだ方が楽だし、上手くいく。しかし、仕事で大きな結果を出そうと思うなら、考え方が正反対の者同士が組んで、侃侃諤諤やり合って事を進めた方が、大きな成果を生む。強い組織は、内部対立や内部矛盾を怖れず、むしろ前進への力に変換する機能を持つべきと、そう秀吉は結論づけた。いまや秀吉は大身の身だ。如何に側近といえども、安易に諫言や反論はし難くなっている。「然り、然り」としか言わない家臣団だ。内部での対立をむしろ歓迎する秀吉に取っては由々しき事態である。ただ、対立と矛盾を怖れない家中とは、聞こえはええが、一つ間違うとその家はバラバラになる。だからこそ初めに、秀吉は弟の長秀に根源的な問いかけをしたわけだ。『兄である自分を嫌いかどうか』と。本気で嫌いな相手だと喧嘩別れになってしまう。本物の大戦になってしまう。一番機能するのは、喧嘩をしながらでも事を前に進ませ得る間柄だ。秀吉と長秀の兄弟は、そこを目指している。