あらすじ
秀吉による天下統一の総仕上げとして、北条征伐が始まった。だが、北条氏の本拠である小田原城は、かつて謙信や信玄も落とせなかった天下の堅城。さらには関東一円に張り巡らされた支城網により備えは万全だった。これに対し、二十万人の秀吉軍は各個撃破を選択、徳川勢は東海道からの進軍を阻む箱根の山中城を攻略することに。茂兵衛率いる鉄砲百人組は西の曲輪の陥落を目指し、北条流の築城術に苦しめられながらも、知恵と根性をふり絞って少しずつ前進する。戦国足軽出世物語、悪戦苦闘の第十二弾!
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井原忠政氏の歴史小説。連載ものと知らずに12巻から読み始めてしまうwしかし途中からでも話が分かるよう配慮された文章。茂兵衛という主人公が非常に魅力的で物語に引き込まれる。戦国時代の歴史的な描写についても細かく説明が各所に書かれており、歴史小説慣れしていなくても読みやすい。全体的に親切設計。
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舞台は小田原合戦。今度は北条規氏との深く交わる。大物との絡みが当たり前になってきて、雑兵時代の生死をかけた生き様とは違い、政治の駆け引きが面白い。ラストでは辰蔵が負傷し、綾女とも再開し、どうなる、茂兵衛?
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茂兵衛が、家康の朋輩・北条氏規が守る韮山城を攻撃する陣に配備されたことから、小田原征伐を一歩引いた視点から見ることができた。織田信雄が小田原に呼び寄せられたことから、豊臣勢の福島正則を悪役に据えているのも面白い。小田原落城後、秀吉の制裁は氏政、氏照の切腹と、その介錯を実の弟・氏規に命じるという鬼畜の所業。この北条兄弟のやり取りに涙しそうになった。論功行賞では、家康に所領加増と引き換えに江戸が与えられるのだが、これは秀吉にも家康にもWin-Winなことという新たな発見があった。
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この巻は、茂兵衛VS福島正則が面白いと思えば、氏政と氏照の切腹の場面も臨場感があって良かったのですが、兄2人の介錯をする氏規が気の毒でした。そして、辰蔵が思わぬ負傷をしたかと思えば、最後は再会と、まさに息つく間もない展開。これは、この先もますます目が離せません!
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感想
茂兵衛もなかなか出世しないな。でもなんとか3000石まで漕ぎ着けた。
あらすじ
北条と豊臣が戦をすることになり、徳川家も豊臣側で参戦する。茂兵衛は、井伊直政と西の曲輪を攻める。
続いて、茂兵衛は家康の幼馴染みである北条氏規が治める城を攻める。家康は、ある程度攻めて、降伏させる腹づもりであったが、功を焦る豊臣方は苛烈に攻める。秀吉から途中で総大将を任されて、無事に氏規を降伏させる。
茂兵衛は、氏規と氏直を高野山に移送する護衛の役を任せられる。移送中に北条の残党に襲われて、辰蔵が左腕を落とす怪我を追う。金ソウ医を求めたが、そこにいたのは綾女だった。
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最後の決戦『小田原合戦』に参加する茂兵衛、相変わらずの鉄砲百人組組頭だが、家康から頼りにされ、各地に回る茂兵衛。娘、綾乃のもへえ呼びを無くそうと頑張るがなかなか直らない、、、
今回は山中城や韮山城を攻める茂兵衛。山中城では畝堀などに苦戦するも、なんとか撃破。しかし、家康に韮山城の城主、北条氏規を救えとの命。敵ではあるが命を救わなければならない。苦戦するも、北条氏規が降伏。無事任務完了。領地も増え順風満帆な生活を始める。奥州征伐も楽しみです。【小6】
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三河雑兵心得 第12巻
茂兵衛の身分は変わらず鉄砲組頭だが、今回の戦場はいよいよ小田原。
秀吉の全国統一を阻む最大のライバル、北条氏との戦いを描く。
特に最近、私が小田原の山野を歩くことが多いため、北条氏、茂兵衛が戦う地名、その場の情景がリアルに想像できる。箱根を超えてきた豊臣・徳川軍が見た景色が。
主君の家康のみならず、秀吉にまで憶えめでたい茂兵衛は、今回も小田原攻城のキーとなる支城の一つ韮崎城攻城戦に参戦する。
そして氏政の弟氏規を降伏へと持ち込む。
三河雑兵心得も十二巻となると、当初の蛮勇のみではなく、勇ましくあるが様々な状況を考え、解釈し、真っ直ぐに取り組む。その茂兵衛の成長した武将ぶりが嬉しい。
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リアルな描写で変わらず面白い。
ストーリーはもちろん、その中での心の動きや行動の原理など、生身で生きる人物が、生き生きと、悩みながら、折り合いをつけながら行動していく姿がとてつもなく面白い。英雄豪傑ではなく、一人の人間として主人公を描いていることに共感を覚える。
そんな話だからこそ、様々に心に刺さる言葉がある。
竹束や、逆茂木造りなど、戦争は常に自然破壊をする
雑兵が陽気な軍隊は滅法強い
男の嫉妬は女のそれ以上に恐ろしい
人格を磨くには数十年を要し、学識を身につけるには十年が必要だ。その点、書なら二年も学べば、それなりの文字が書けるようになる。
切腹のシーンは、苦境にあっても腹を括って清々しく生きる人間の勁さがある。
時勢というもの。かくの如く、北条氏がいかに良き領主でも、力及ばざれば滅ぼされるのが戦国の倣いである。そこは仕方ないのだろうが、彼らの場合、たぶんに時勢を読み違えた感がなくもない。
ふん。豊臣の天下は、秀吉めの知恵と運が、忠義も正義も知らねえ欲深な下人どもの利害を糾合し、無理に成立させた砂上の楼閣よ。豊臣政権の根底ある虚妄性、脆弱性。
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北条討伐の山中城、韮山城戦での茂兵衛の奮闘に楽しませてもらった今巻。
裏事情の推察や先読みも上手くなり、でも驕らず初心を忘れない(?)彼の魅力が満載でした。
そして毎回の、そこで終わるの!?
次巻も楽しみです。
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待ってました!
このところロビー活動ばかりが目立ってくすぶっていた茂兵衛推し(私)に朗報。小田原攻めでは大乱闘を演じてくれている。嬉しい。
肉体的には、はや40代。私と同年代かと思うと、槍と槍のぶつかり合いは望めない。鉄砲100丁を率いる姿は知将の雰囲気さえ漂っている。心中では「おらぁコイツのことが嫌ぇだなあ」と愛らしい毒を吐きながらこうべを垂れ、家康とはツーカーの仲。さながらファミコンを支えたゲームボーイみたいな存在ではないか。
何言ってるか分からないし。
それにしても茂兵衛はどんどん大人になっていく。沈黙は金。雄弁は銀。実は人物分析に長けていて、余計なことを言わない。必要な言葉は人にズシンと響く。そして言葉よりも行動する。こんな歳のとり方がドタバタ族の自分にとっては理想だ。
最近では小説のおかげか、茂兵衛のはるか後方ながらも方位を違わず近づいている予感がある。ゲームボーイはいつかSwitchになることを夢見て、あとは電池寿命との待ったなし。
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歴史的事実は基本的に歴史の教科書通りに進めながら、家康の人物像が、山岡荘八や、どうする?のそれらとは大きく違っている点も面白いが、本書は百姓上がりの中間管理職的な茂兵衛の物語にこそ惹かれるものがあって、ここにきてまた面白くなりそうな展開になってきた。
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大河ドラマとほぼ同じ時期の「小田原攻め」の物語。
俳優の見た目とはいささか違い、物語の登場人物たちは年齢も高い。
北条一族の人柄も描かれ、大河とは一味違う仕上がりに。
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植田茂兵衛が少しずつ成り上がっていくのが毎回面白いのだが、今巻でも腹黒い家康、秀吉に翻弄され、年下の福島正則にも上から命令、意地悪される。そんなに簡単には上手くいかない中間管理職。そんな辛い立場に共感できる。
それでも上役の家康の思考を読もうとするやり取りも面白い。
小田原攻めについてもあまり知らなかったので、北条氏の終わりについても良く知れた。
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前作から5ケ月、小田原合戦まできた。
山中城、韮山城攻めは、両方の城を見に行ったことがあるので感慨深い。
山中城は茂兵衛一族で潜入し、城の詳細を調査。秀吉の前で地図を下に説明するという大役。城を実際に見た時に、障子堀が印象的な大変な場所。何とか落城させるが、次は韮山城。こちらも険しい山城。家康の友人だった敵方の大将を救うため、家康の無茶振りで茂兵衛が使者になる。一緒に使者に行った武将が撃たれて死ぬという危険な場所。家康と何度も連絡を取り合い、相手の投降を引き出す。
東海から江戸への移封に伴う領地拡大も、出世に余り関心の無い茂兵衛は、大活躍なのに僅かの加増でも納得してしまうというお人好し。
このシリーズを安心して読めるのは、この無心さかも知れない。出世を目指し、権謀術数を駆使して成り上がる物語で無いところが良い。家康や秀吉に翻弄され、ぼやきながら従う姿が面白い。
最後に、茂兵衛一族に悲劇が。次作ではどうなるのだろうか?
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雑兵が陽気な軍隊は滅法強い。これだけは譲れねー真理だからな。そもそも常勝などあり得ない。戦場では押し込まれる時が必ずある。鋼のように規律正しい軍隊は負け戦に脆いものだ。その点、規律の中にも笑顔が混じる柔らかさのある軍隊は負け戦でも心が折れない。
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いよいよ関東・小田原攻め、殿様から無理難題を受け、鉄砲隊を率いて、悪戦苦闘しながらも、何とか前進。
物語には無いが、北条氏規は結局どうなったか気になり、調べたら、その後赦されて大坂に所領を与えられたらしい。よかった。