工藤勇一のレビュー一覧
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麹町中学校の改革で有名な工藤勇一さんの著書。
対談を聞いたこともあり、考え方の一部は知っていましたが、全体的な工藤さんの考え方を知ることができ、改めてイメージで判断していたなと思ったところでした。
「考えて行動できる子どもたち」を育てるために、どうやって学校を変えて行ったのか、様々な試行錯誤が盛り込まれた新書です。
生徒と教師の関係性、組織論、校長の存在意義、教育委員会の役割、PTAの在り方、さまざまな現状への課題と、その変革の現実を触れた章が大半を占めていますが、私の心に響いたのはそこではありませんでした。
言葉の力、対話でどう学校から民主主義を作っていくのか、それを主張した終章の2つでした。
「どうしたの?」「どうしたいの?」「何か手伝えることある?」という自律型人間を作るための問いは、1人の子供を育てる親として、そして1人の地方議員として、大きな学びになりました。 -
Posted by ブクログ
麹町中学校に民主主義を実践しながら改革をしてきた工藤氏と、教育哲学者の苫野氏による対談本です。テスト廃止・制服変更など、学校改革の実践例を交えつつ、現代教育が抱える問題点と、民主主義教育の本質を説いています。
生徒はもちろんですが、保護者や教員も巻き込んで現場を改革していった工藤氏。苦労も滲み出るその言葉には実践者ならではの説得力があります。
工藤氏は、民主主義の象徴ともいえる多数決について再考を促しています。多数決は少数派を切り捨てる「多数者の専制」に陥りやすく、これだと「誰一人置き去りにしない社会」は実現できないと述べています。多数決は「どちらでもいい」場合のみ使い、対立の場面では第3のアイデアを模索する「超ディベート」をすべきだという提言が印象的でした。
また、安易に相手の気持ちを考え、思いやりを持つよう教育することにも警鐘を鳴らしています。氏は子供たちに「この案を採用したら誰が得をして、誰が損をするのか。損をさせない方法は何か」という構造を考える癖をつけさせているそうです。この習慣は、社会に出てからも有効だと思いました。
本来、民主主義とは「すべての人が対等で自由であることを、互いに認め合うことをルールにした社会」を指します。対立が生じた際、感情的な衝突や妥協に終始するのではなく、「そもそも何のためにやっているのか」という最上位目標(全員の利益になる合意)に立ち返る重要性を、本書は改めて教えてくれます。
トラブルが起きた際、大人が裁くのではなく、「どうした?」「どうしたい?」「何か手伝えることはある?」の3つの声かけをすることで自立を促しているのも印象的でした。大人はあくまで伴走者という姿勢を徹底することで、子供に当事者意識を持たせています。このアプローチは、教育現場のみならず、組織作りやマネジメントにおいても使える知見です。
日本にこのような教育が広まることで、民主主義を実践的に学んだ子供たちが社会をより良くしてくれる期待が湧いてきました。本書で語られていることは、教育現場に留まらない学びがあると思います。ビジネスパーソンにもぜひ読んでほしい1冊だと思いました。 -
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個人的まとめ
〇手段と目的を勘違いしない
挨拶は手段。
良いコミュニケーションを取るためが目的
学力高得点を取る、外国語の習得は手段。
〇大人や社会が子供に対してサービス過剰になると
・子供の自立が阻害される
・ 自己解決できない。
・感謝の気持ちを持たない。
・過剰サービスの不満を言う
〇勉強だけ頑張ってきた学生の特徴
・社会の一員としての自覚がない
・やりたいことが、ない、見つけられない
〇国際学力調査(PISA)日本の特徴
15歳の時点で学力は高いが、大人になると勉強をやめてしまう
〇いまだに学校にある軍隊式
・整列や行進。全体とまれの体は「隊」。
・起立、気を付け、礼、着席の命令形
・日本の運動会はイギリス将校の助言で海軍兵学校で始まったもの
・「服装の乱れは心の乱れ」??
(※軍事教育とは各自の主体性を奪い命令に従う兵士を育てるためのもの)
〇「憲法改正」は当たり前
戦後に諸外国で憲法改正が行われた回数は
アメリカ6回、カナダ19回、フランス27回、ドイツ67回、中国10回、韓国9回。日本はなんと0回
〇塾に通う小学生の割合(公立)
1年生:27%、6年生:51%
〇「不登校」の生徒の居場所づくりをせずに、ただ学校へ戻そうとすることは無責任。
〇日本の若者の自己肯定感や幸福感が低い理由
・「自己決定」する場があまりにも少ないから
・何でも大人が指示を出し、できないとダメだし
・子供に対して「○○しなさい」と言いたい気持ちを抑え、その子が自己決定する機会をさりげなく作ることが必要。本人が「このままでいいのか?」と感じないかぎり考え方や行動は変わらない
・個性を否定され、他者と比較され、周囲と同じようなことを求められる
〇部活は
勝ち負けにとらわれずその競技を生涯楽しむ基礎を作るためにある
〇子供の主体性を取り戻す効果抜群の問いかけ
1どうしたの?
2どうしたいの?
3何かできることはある?
〇大人が子供に高圧的な指導をすればするほど、その大人に対する不信感は増す
子供を抑圧することで子供の心が乱れる
〇子供の行動はその子なりの主張のもとになされる
「正しい、正しくない」ではなく、まずは受け止めることが重要
〇幼児教育の早い段階から「思いやりが大切」」との心の教育されてきた日本の子どもたちは空気を読むことが上手くなり、「自己主張が苦手」になってきている
〇「型にはめない教育」をすれば、子供は自分で考え伸びたい方向に勝手に伸びていく
〇音楽、美術、体育の授業で評価をつけることは不適当。才能の問題
〇無理やりやらされる勉強を嫌がるのは自然な反応である
一斉授業は子供にとって非効率
〇自毛証明や下着チェックなどは人権侵害である
〇協調性と忍耐力??
それは従順さを求めているのだろうが、今企業が求めているのは常識や監修を疑い、主体的に改革に動ける人材である。それに今や組織に属さなくても働く手段はいくらでもある
〇高卒認定試験(大検)
16歳以上ならば誰でも受診可能。合格すれば高校に行かなくても18歳で大学受験ができる。逆に言うと大検に合格しても18歳にならないと大学受験はできない
〇内申書
内申書を意識している中学3年生の割合は8割
教員から「内申書に書くぞ」と言われた子供15%もいた。これは脅しであり、即教育委員会に報告するべき
〇日本では外国から来た子供を年齢によってその学年に振り分けるが、アメリカでは希望した学年に編入してもらうことができる
〇日本の飛び級制度
それが可能な大学はたった10校。累計の入学者数は たったの152名
アメリカは毎年20万人が18歳未満で飛び入学している
〇大学に入学した時点で将来何をしたいのかわからない学生が多い
それを模索するのが小中高の教育。
〇結果ではなく「プロセスを褒める」ことで子供の心理的安定性を高めることができる
〇子供同士のトラブルで大人が必ずやらなければならないこと。それは「事実の確認」
1 被害者、2観察者、3加害者 の順に話を聞くこと
〇情報とは
1事実 2伝聞 3推測 4デマ
〇引きこもりの支援
学校に適応するのではなく「社会に適応」するための支援や教育をしなければならない
以上 -
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個人的まとめ
〇日本人が民主主義を理解しづらい理由
日本人が「民主主義」に持っているイメージ
多数決、人権擁護、弱者保護、自治、自由など
このように意見が分かれること自体民主主義が根付いてない証拠
〇多数決の危険
「多数決= 民主主義ではない(ルソー)」。
しかし、どちらを選んでも誰の利益も損ねることがない時は多数決で決めても良い
〇ヘーゲルは「なぜ人間だけが戦争を無くせないのか?」その根本的な理由を人間だけが「生きたいように生きたい」という欲望があるから。と言っている
〇憲法解釈の誤解
憲法は国家権力から国民への命令ではなく、その反対の「国民から国家権力への命令」
〇民主主義では何を考えても自由だが、唯一してはいけないことは「民主主義の否定」
〇「みんな違ってみんないい」??
素敵な言葉だが、これは過激思想なども肯定する危険性をはらんでいる。
「他者の自由を侵害しない限りみんな違ってみんないい」と言うべき
〇学校は何のためにある?
1平和のためにある
自分だけのためだったら勉強は家でもできる。学校がなかったら絶対に世界に平和はやってこない。
2持続可能な社会を作るためにある
〇質問のやり方のマジック
A と B どちらかが正しいか?、という二者択一的な問いを突きつけられると、人はどちらかが正しくてどちらかが間違っている、という思考のマジックに引っかかる
〇戦争と民主主義
専制国家や独裁国家は特定の人物の意思でいとも簡単に戦争を起こすことができる。民主主義国家はある程度のシビリアンコントロールが効くのでその中でしか 軍隊を動かせない
大多数の国民は戦争をしたくないから戦争を抑止できる可能性が高い。
〇日本は校長経験者が新人教員に対して同質性、従順さ、規律をひたすら求める。
教員も子供たちに同質性、従順さ、規律、を求める
〇体罰は学校教育法という法律でそもそも禁止されている
〇飛び抜けて人気のある教員がいる学年は学級崩壊が起きやすい
〇子供は基本的に自分が信頼している人からしか価値観を学ばない
〇「べき」論と「ありたい」論
教育をめぐる議論はすぐに「何々すべきだ」とべき論が交わされている。しかしべき論 はどこにも行き着かない。「○○したい、○○でありたい」という風に考えると相互理解が生まれやすい。
〇勉強とは?
分からないものを分かるようにすることが目的
〇スピーチコンテストは英語ではなく、まず日本語でやろう
〇誰かのこだわり
日本の学校が子供たちにとって非常に窮屈な空間になっている原因のほとんどが「誰かの変なこだわり」 例:理不尽な校則
〇高校野球の甲子園大会
日本の学校に民主主義が浸透したかを示す 1つのバロメーターは、「高校野球の甲子園大会がなくなる時」。どう考えても夏の炎天下にフラフラになったエースが連投するっていうのは人権的に大問題である。それに一度負けたら試合ができなくなるトーナメント方式も大問題である
以上 -
Posted by ブクログ
個人的まとめ
〇自立できない子供を作る大人の悪いクセ3つ
・手取り足取りで教える
・壁に当たればすぐ手助けする
・喧嘩にはすぐ仲裁に入り仲直りさせる
〇学校の本来の目的
・人が社会の中でよりよく生きていけるようにすること
〇学習指導要項
・子供達に必要な力をつけるための手段であるはずが目的となってしまっている。
・教育の優先順位は低い
〇教育の大部分はなんとなく慣例によって動いている
〇宿題
・学力を向上には自分が分からない事を分かるようにするプロセスが必要だが多くの宿題においてはそのことが欠けている
・すでに理解している子には時間の無駄。理解できない子にとっては重荷
〇書いて覚える方法は
・20回30回も書く作業では脳はほぼ思考停止状態である
〇藤井聡太八冠の有名な話
・担任教師に「授業をちゃんと聞いているのになぜ宿題が必要なのですか?」
〇自力的に学ぶ経験を積まない子は決して工夫して仕事ができる人にはならない
〇「みんな仲良く」、という言葉はコミュニケーションが苦手な子供にとっては苦しい
それよりも「人は仲良くすることが難しい」、ということを伝えていくべき
〇「静かに聞きなさい」と言うのではなく、子供たちが話を聞かないのは内容がつまらなかったり、自分と関連性が見いだせなかったりするから。本質的には話し手の問題だと捉える必要がある
〇「学校へ行くのが当たり前」、という価値観ではなく、「学校が大人になるための一つの手段に過ぎない」という考えが普通になれば「不登校」という言葉すらなくなるだろう
〇「小1プロブレム」という問題がある。なぜ立ち回り遊ぶことがなぜいけないのかと問うてみることも必要。イスを変えてみたり、座る場所を変えてみたり、座る時間を変えたりすることで全然問題ないということがある。むしろ「座っていなさい」と叱られることで自己肯定感が失われる問題が出てくる。
〇黒板はただ書き写すだけでは、「書き写すことが目的」となり、その間の思考がほぼ停止する
〇フリーの時間を明確に
フリーの時間とは帰宅してから就寝するまでの時間のうち、食事や入浴などの生活時間を抜いた「自由に使える時間」のこと。これを計算して明らかにするだけで生徒たちの意欲は大きく変わった
〇対立はあって当たり前、それを対話で乗り越えて行かなくればならない。トラブルを学びに変えるということが大切。人はそういう工夫ができるからこそ、やりがいを持って 物事に取り組むもの。そこには緊張感が生まれるしリスクを負って取り組むという覚悟も生まれる
〇自分の進路を狭めていけばいくほどその先の進路が逆に広がるということもある という新しい考え
以上 -
Posted by ブクログ
工藤先生の思考は、従来の教師のものとは異なるため賛否あるようですが、個人的には概ね賛成です。ちなみに現職公立中学校教諭です。昨年、たまたま機会があり、チーム担任制を経験しました。本書に書かれているように、担任の責任の分散や教員同士の連携強化など、肯定的な効果を実感しました。(もちろん課題もありたしたが…)また、工藤先生の「生徒一人が主体性をもち、自律することができる」や「一人の生徒もこぼさない、100%の合意を目指す」という考えに強く共感しています。もちろん実現には、並大抵の苦労では不可能だと思いますが。自分がもし校長となったら、最上位目標を常に心に刻み、生徒と保護者にとって最良となる選択をしていきたいと思います。あと、教育委員会の少し知ることができ、勉強になりました。
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Posted by ブクログ
工藤勇一さんの対談内容がとても刺激的で、私が理想とする学校教育を提示されていて一気読みしてしまいました。「誰1人置き去りにしない」が心の軸に、いえ、生き方の軸になっていて、民主主義とか自由の相互承認とか難しい言葉を使われてますが。本質は「対話」。このスキルを私も学んでこなかった。自分と違う考え方を否定したり論破するのが強さであり正しさだと思っていたし、何かを生み出せるスキルではない事にも気づいていた。
日本の教育は、ドラマ「御上先生」のように上手くいかないだろうけど、保育者である私自身がこ」なら、言葉を獲得する時期の幼児期の子どもたちとが変わっていく中で、対話の力が芽吹くような保育を展開したいと感じた。
教員だけでなく、保護者にも保育者にも読んでほしい一冊。