奥野克巳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人類学という学問は20世紀前半から盛んに研究されるようになった。その考え方の変遷がまとめられた本。
最近の学問だったのか。
・重要人物
ブロニスワフ・マリノフスキ:生の全体
クロード・レヴィ=ストロース:生の構造
フランツ・ボアズ:生のあり方
ティム・インゴルド:生の流転
・変遷
15世紀:大航海時代、海の向こうの世界と出会う、「他者」についての学問が始まる
17、18世紀:人間の本質、人間社会の成立への関心が高まる
19世紀:進化主義的な考え方が広まる
20世紀:フィールドワークによる新しい人類学が始まる
・機能主義:文化の見取り図
制度や慣習の機能を、文化と社会の関連において解明 -
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Posted by ブクログ
具体的な民族誌の事例を基に、我々の「当たり前」をひっくり返し、物事の「そもそも」を問い直す人類学の思考法を通して、学校教育、貧富の格差や権力、心の病や死、自然と人間との関係といった身近でありながら重大なトピックを「ひっくり返して」考え、生きづらさの「処方箋」を探る。
民族により「当たり前」は異なっており、フィールドワークにより紡ぎ出された民族誌の知見により、自分たちの社会の「当たり前」がひっくり返され、物事の根源に立ち戻った本質的な議論につなげることができるという人類学の魅力は、よく理解できた。
「教える」という概念がないヘヤー・インディアンやプナン、貧富の格差がないプナンやサン・ブッシュマン -
Posted by ブクログ
文化人類学ぐらいしか馴染みがないけど、一体「人類学」って何をしているの?と思って手に取った一冊です。
本書では。人類学における四人の重要な人類学者、マリノフスキー、レヴィ=ストロース、ボアズ、インゴルドの紹介を通じて、人類学とは何なのか、主に20世紀の歩みを辿っています。
それぞれの人物の人生や人類学への歩み、どのようなことを考えたのかなどが順番に紹介されていくだけで、最後まで読み進めていっても、この本を読むきっかけとなる「人類学ってどういう学問なのか?」にはなかなか辿り着かない。と言うよりも全然分からない。
でも、終章の「これからの人類学」で、そこまでの流れを総合して人類学のこれからと今 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルの通りの内容なので、「ルポルタージュ」ではないかも。何に分類したらいいのかわからない。エッセイでもないし。とにかくタイトルの通り、人類学者の著者が、プナンというボルネオ島に住む人々に密着して気づいたことを、ニーチェの哲学と織り交ぜて、そもそも人間とは、生きるとは何なのか、現代人の、文明的な生活が本来あるべき人間の姿なのか?と考察しながら書いている。
ちょっとニーチェの引用が難しすぎて読むのに時間がかかってしまったが全体的には面白かった。
プナンは定住することも、家や土地を所有することもなく、森のなかをうろつき、狩猟採集をして暮らす。子どもは学校に行かない。そもそも所有するという概念がな -
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はじめての人類学 奥野克巳
人類学者の紹介と、彼らが人類学者としてどんな実績を積んできたかが章ごとに説明されている。
ぶっちゃけ難しくてよく分からんかった。笑
最終章に全てまとめられているので、初めに最終章を読んでから、序盤に戻り、掘り下げて読んでいった方が分かりやすいかも…。
人類学とは、自民族以外の民族を研究する学問である。
フランスでは「民族学」と呼ばれている。
日本の「民俗学」とは違う。
序章を読んで気づいたのが、この本を手に取った私の根本的な勘違い。
もっと、精神論的な「人類とは」みたいな研究かと思っていたよ笑
そういったものは、やはり哲学や精神分析論とかになるのですかね。 -
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著者の奥野さんは伊藤さんとの共著「人類学者と言語学者が森に入って考えたこと」を読んで知ったので、別の著作も読んでみようと思い呼んだ。
この本はあとがきにあるようにいろんなところで発表した文章をひとまとめにした本のようで、いろいろと重複が多い。また誰がどういっているというような記述が頻出してきて著者も十分消化しきれていないようで、あるいは探求の過程がそのまま書かれているようで、面白くもあったが、よみにくくもあった。
マルチスピーシズ人類学やアニミズムなどがとりあげられ、人類学が人間中心では到達できない地平に人類から離れた俯瞰する視座を設定する。そうすると人そのものも決して確固たる基盤があるわ -
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各章の最初にニーチェの言葉が引用されています。
それがとても良い。ニーチェの言葉は説得力あるし、元気出る!
パースペクティヴィズムという概念があることを初めて知りました。
自分が生き物をじっと観察する時にやりがちなこと。
今、私に見られている対象物(生き物)がその瞬間何を考えてどう感じているのか、見ている私との関係は今どんな風か。
これ、パースペクティヴィズムの端くれちゃうの?!ちょっと出来てた気がして嬉しくなった笑
自然の中で、ただ自然の声を聞き狩猟して食べ物を得て暮らすプナン。
個人の所有欲という人間の本能かもしれない部分を幼い時期に徹底的に潰し、共同体の一員として平等に分配して皆で利 -
Posted by ブクログ
社会学と社会人類学はかなりオーバーラップするところがあって、その違いってなんなんだろうと思い、手に取った。
どちらも常識の関節外しではあるんだけど、人類学分野はあまりにも遠回りというか、社会の前提というより、文字通り人類のそもそもを問う学問という感じがして気が遠くなる。
どこにでも順応出来て冒険が楽しい人にとってはたまらないんだろうけど。
逆カルチャーショックを得るまでの過程があまりにも長いと私は思ってしまった。
P.130
インドネシアの民族・プナンは日ごろ、居住地やキャンプから少しだけ離れた森の中の「糞場」で、人目につかないようにして用を足します。州政府が、衛生政策として作ったトイレには