【感想・ネタバレ】人喰い――ロックフェラー失踪事件のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年12月31日

首狩りとカニバリズム目的だけで読み始めたけどめっちゃくちゃ興味深いことがいっぱい載ってる

道徳基準のちがい
人間を殺すのが悪か、精霊の意志に背くのが悪か
プリミティブアートすげぇわ
民族、信念、習慣おもしれぇ

私は、何よりも自分が怖れているのは私自身の恐怖に他ならないことがわかっていた
カール・...続きを読むホフマンかっちぇー!

沈黙は金、じゃつまらんもんなぁ

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Posted by ブクログ 2023年02月10日

1961年11月20日、オランダ領ニューギニア沖(当時)でそれは
起きた。オランダ人の人類学者とアメリカ人の青年が乗ったボートの
エンジンに不具合が発生した。

同乗していた現地案内人は助けを求める為に陸地を目指して
泳いで行ってしまった。残されたふたりはボート内で待機して
いたが、アメリカ人青年は...続きを読む案内人の帰還を待ち切れずに空き缶を
浮き輪代わりにして海へ飛び込んだ。

彼の姿が確認されたのはこれが最後であり、後々、衝撃的なニュース
となって世界を駆け巡った。

何故なら、行方不明になったアメリカ人青年は世界の大富豪である
ロックフェラー一族の一員であったからだ。

マイケル・ロックフェラー。父親はニューヨーク知事であり、後に
はアメリカ副大統領となった。その後継者であるマイケルは、所謂
「プリミティブ・アート」に魅せられ、その収集の為に現地を訪れて
いた先での事故だった。

ロックフェラー家の公式発表では海難事故とされているが、この
行方不明事件には長らく不穏な噂が絶えなかった。

マイケルが収集していたのは、ニューギニアの未開の地に暮らす
アスマット族の人々の生活用品だったからだ。

アスマット族は「首狩り族」と言われ、人喰いをすると言われる
人々である。

著者は当時の資料に当たり、現地の言葉を習得し、現地を訪問し、
限られた期間ではあるがアスマット族と生活を共にして、何故、
マイケルは「喰われたのか」を理解しようとする。

アスマット族を理解しようとする著者には好感を持つ。それと同じ
感情を、失踪当時のマイケルは持ち合わせていたのか?が気になる
のだよね。

アスマット族が神聖な儀式に使用していた柱さえ、僅かな対価で
手に入れているのだから。そこに、恵まれた出自から来る「驕り」
があったのではないだろうか。

勿論、それだけがマイケルがアスマット族に殺害された理由には
ならないだろう。マイケルが現地に赴いたタイミングも悪かった。

他部族との戦いがあり、オランダ人宣教師との衝突もあったのだ
から。

カニバリズムはタブーである。よく、「人喰い」をテーマにした
書籍などに書かれていることだが、それさえも文明に頼って生きる
世界の人々の風習・文化の軽視なのではないかと思う。

とか書くと「人の命をなんだと思っているんだ」と怒る人もいるの
だろうな。

「未開の部族」と呼ぶことさえ、文明世界の驕りだと思ってしまう
のだよね。

本書はそんなことまで考えさせてくれる良書である。

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Posted by ブクログ 2019年06月13日

真実は決して明かされることはないのだけれど、どこまで著者の希望するストーリーに添わずして、調査結果が真実に肉薄していくか。がルポの面白いとこなんですが、最後の50ページくらいで、「未開の地」の人々に継承される文化の伸びやかさに、マイケルの死の真相は砂に埋もれていくようにもう重要ではなくなっていった。...続きを読む腐海の底の砂に半ば埋まったナウシカのマスクのシーンみたいに、なんだか感動的だった。

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Posted by ブクログ 2019年05月13日

【暴虐なる神秘】ニューギニアの熱帯で美術品の収集に務めていたロックフェラー家の御曹司・マイケル。原始的な美に惹かれた彼を最終的に待ち受けていたものは、突然の死と、現地人に「喰われてしまう」という衝撃的な最期であった。1961年に起きた実際の事件を取材するとともに、その裏に横たわる文化人類学的な深淵を...続きを読む覗き込んだ作品です。。著者は、「ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー」の編集者でもあるカール・ホフマン。訳者は、小説作品の翻訳も手がける古屋美登里。原題は、『Savage Harvest: A Tale of Cannibals, Colonialism and Michael Rockefeller's Tragic Quest for Primitive Art』。

タイトルから「トンデモ本」を想像する方も多いかと思うのですが、実際は卓越したノンフィクション作品であると同時に、フィールドワークに基づく一級の文化人類学的な作品でもあるという類稀なる一冊。「え、この話はそっちに行くの?」という展開の連続に驚かされると同時に、その先に行き着いた光景に文字通り息を呑む読書体験を味わうことができるかと思います。

〜ウィム・ファン・デ・ワールとマイケル・ロックフェラーのような人々は、アスマット文化を探し、集め、写真に撮り、アスマットと共に旅をし、村の深部まで行くことができた。互いの世界と、実際には見えない世界の次元の違いを知らないままで。〜

ラストは全身から思わず力が抜けるほどの衝撃でした☆5つ

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Posted by ブクログ 2023年09月05日

1961年、首狩り族と噂される部族に殺され食べられた(!)と言われるロックフェラー家の子息、マイケル失踪の真実を追ったノンフィクション。題名に比して残酷な描写は少なく、むしろ著者が得た真相には、異文化コミュニケーションについて色々と考えさせられました。

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Posted by ブクログ 2020年07月07日

期待したほどの面白さではなかったけど、充分に読む価値があった思う。
食人に関する食べる側の思考については一定の類型が視られるのだなと思う。
もう、地球上には、習慣的に食人する人たちはいないのであろうなぁ。

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Posted by ブクログ 2019年11月27日

小中学生の頃に愛読していた「ポケットムー」シリーズの「世界謎の10大事件」という巻に、確か"秘境に消えたロックフェラー"というサブタイトルで収蔵されていたと記憶している。
以来、これまでにこの失踪事件を扱った記事や書籍は何度か読んだが、当時のオランダ政府やインドネシア政府にアメリ...続きを読むカ政府、そしてもちろん現場となったパプアニューギニアの政治的関係や立場を分析し、さらにはロックフェラー家と美術品収集の因縁にまで踏み込んで詳細に報告したものに接するのは初めてだ。
マイケル・ロックフェラーが辿った命運については、本書の序盤でいきなり結論めいた描写が生々しく綴られるが、そのショッキングな推察がどうやら事実だったらしい、と読み進むごとに納得感が増してくるような。

我々にとって身近ないわゆる"文明社会"から遠いところで生活しているコミュニティに関するルポタージュを読むといつも、彼らにとって"個"の概念はひたすら薄く、また生と死の距離が極めて近いことに驚くわけだが、今回もまたその例外ではなかった。

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Posted by ブクログ 2019年09月11日

表紙とタイトルにひかれて、池袋のジュンク堂で買った。
ホラーとかそっち系かなと思って買ったけど、実際に起きた事件をもとに書かれた本だった。

とても面白くて、あっという間に読み終えて、久々に満足した本になった。名前がややこしくて、時々混乱したけど、描写が事細かで、まざまざと風景が浮かんで、ドキュメン...続きを読むタリー映画を見ているようだった。

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Posted by ブクログ 2019年08月09日

そんなことがあったのかと好奇心だけで読み始めた。
異文化の理解とか交流とか簡単にいうけど、そんな甘いものではないということがよくわかる。
自分たちの価値観の中の、上から目線なんて、もってのほかだ。

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Posted by ブクログ 2019年06月27日

マイケル・ロックフェラー失踪事件の事すら知らなかったが、未解決事件には興味がある。軽い気持ちで読んでみた。
著者がたどり着いた真相はいきなり冒頭で明かされる。それは丹念に当時の記録や関係者の証言を辿れば、「事実」としては浮かび上がる。しかし、この本の本質はそれが「なぜ」行われたかであり、そもそも我々...続きを読むが「プリミティブ」「未開」と呼ぶ人びとをどう捉えていたのか、分かろうとしていたのかという問いに繋がる。
殺人、ましてカニバリズムはこの現代社会、この文明に生まれた我々にとっては常識を超えた行為であり、犯罪である。しかし、その思考とは全く異なる思考、文化、文明で生きてきた人びとが確実に存在する。
そういう人びとを、西洋文明はある種「救おう」としてきた。同化させようとしてきた。「理解する」のではなく「同じ」にしようとしたのだと感じる。正しさ、誤り。今日のグローバル社会というものにおいてどのように「文化」が違う者と向き合うか、を考えさせられた。
失踪したマイケル・ロックフェラーは素晴らしい一面を持っていた。しかし、自分が求める「プリミティブ・アート」にある精神と向き合うことがなかった。
最終章に至り、アスマットと「暮らす」ことを選んだ著者の選択。おそらく「向き合う」ことの最終形である。相手と真に語らうには、相手と向き合うしかないのだ。それは別に相手が誰であれ同じ筈だ。しかしそれには困難さも伴う。理解する、の何と難しいことか...。

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Posted by ブクログ 2019年04月19日

そういえば文化人類学の授業好きだったわー、と思い出させてくれた。
ロックフェラーの御曹司失踪という謎の解明よりも、そういった意味合いが強い内容だったが、面白く読めた。
ノンフィクションもいいね!

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Posted by ブクログ 2019年04月16日

期待の亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズI。

1961年に、ロックフェラーの後継者がパプアニューギニアで消息を絶つ。

カニバリズムという文化が少し前まであったことにも驚く。

筆者であるホフマン氏が、この失踪事件の真相を追い求める過程、現地アスマットに住み、その価値観。世界観を共有しようとする...続きを読む姿というか、理解しようとする姿勢、それに基づく後半の記述に圧倒された。

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Posted by ブクログ 2020年01月27日

パプアニューギニア、未開の地、首狩り族。そこで富豪の息子が消息を絶つというノンフィクション。
食われたのか?がテーマではない。

なぜ?食われたのか。そこを理解することが重要。

それにしても、読みづらい本だった。
ノンフィクションゆえに、実際の土地や人の名前が似通っていて、対立する村の名前は似てい...続きを読むるしで大混乱。途中から、理解するのをあきらめて、とりあえず最後まで読むことが目標になった。

途中で、時系列に整理してまとめてくれている章があったので助かった。

普通はさ、の普通が相当違う人たちがいる。でもそういう部分があるというだけで全部ではない。

相手を尊重し理解しようとすれば防げたかもしれない。

まあ、書かれていることは衝撃的である。

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Posted by ブクログ 2019年12月30日

ニューギニアにて、ロックフェラーの御曹司マイケルが消息不明となった事件。
彼は現地部族によって殺害、更に食されたと報道されました。
本書はその真相に迫るレポートとなります。
残虐な描写がありますので、苦手な方はご注意ください。

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Posted by ブクログ 2019年12月24日

1961年、ニューギニアで「プリミティブアート」を蒐集していたマイケル・ロックフェラーの船が座礁し、同船していた者と別れて陸に泳ぐ姿を最後に、彼は行方不明になる。サメに喰われたのか、溺死したのか、首狩り・人喰いの風習があるアスマットに殺されたのか。世界の富豪ロックフェラー家の一員の安否に注目が集まっ...続きを読むたが、事件は解決を見ずに終わった。事件から50年後、著者は民族学のフィールドワークのように現地に入り込み、彼なりに事件のフーダニット、ホワイダニットに至る。収集した証言をどこまで信用するのかはよく民族学でも問題になる。調査者の役に立ちたいという善意の嘘も含めて、相手が本当のことを言っているとは限らないからだ。本書でも著者はその限界に直面する。訳のせいか少々読みにくい文体だが、近代社会とアスマットのコスモロジーの違いが、事件の背後にあることがわかる。理解できない決定的な違いが、ある文化とある文化の間に谷のように横たわることがあるのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2019年05月25日

1961年、世界有数の富豪、ロックフェラー一族のマイケルはニューギニアを探検中に行方不明になった。ロックフェラー家は莫大な財力、政治力をつぎ込んで大規模な捜索を行ったが、マイケルを発見することはできず、彼の消息は未だ謎のままだ。

実はマイケルがどうなったかについては、当時から結論が出ていたが、ロッ...続きを読むクフェラーのメンツや国際関係などが考慮されて、公式には認められていない。本書の最初の数ページで明らかにされる真相は、マイケルが地元のアスマット族に襲われ、食べられたというものだ。

というわけで、本書はマイケルの死因を探るドキュメンタリーではなく、なぜマイケルは食べられたのか、なぜアスマット族は人を食べていたのかという点をメインテーマとする。

マイケルの死から50年後、著者はその現場を訪れ、もはや人食習慣のなくなったアスマット族と日常生活を共にすることで、過去の彼らが他のどの文明とも異なる習慣、思想を持っていたことを明らかにする。アスマット族は儀式として仲間を殺して、その肉を食べていたのだ。そんな彼らにとって、白人だろうが、ロックフェラー一族だろうが、マイケルを食べることはありふれた日常だった。

考えてみれば、人を食べない文化があれば、人を食べる文化があるのも当然なのかもしれない。

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